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魔法少女っているよね?★DYBiMGs ?*  作者: ににんが
第1話:『誕生!!魔法少女』
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4 (1-1) 改訂

 ここは宝石市ほうせきし。都心からは大体電車で30分位の場所にあって、ぱっと見た限りだと、どこにでもある日本の郊外の街の一つ。といった感じ。でも、宝石市は昔から芸術家が数多く生まれる文化の街として有名で、画家や作家、音楽家に俳優、それに映画監督やゲームクリエイターとか、本当に多くの芸術家がここ宝石市からは生まれているの。あっ、そうそう。私のママもパパと結婚する前までは宝石市で舞台女優をしていて、けっこう人気があったらしいの。街中でママと一緒に歩いている時、今でもたまにファンだったという人から声を掛けられる事があるし、ママは今でもすごい美人なんだ。クンクン……ほら、街の匂いを嗅いでみると、そこかしこから芸術の甘い匂いがしてくるでしょう? えっ? 私の気のせいだって? そんなことないよ。ほら見て。ここにもかわいらしいライオンの子供の彫刻が飾ってある。私、そんな宝石市のことが大好き。もちろん家族も友達も街に住んでいる人達も、みんな大好き。


 季節は春。桜は既に9分咲きで、あと少しで満開だ。やっと寒さも和らいできて過ごしやすくなってきた。街の色は空の晴れ晴れとした青と桜のピンクに染まってくっきりと色鮮やかだ。そんな気持ちのいい街の風景と陽気な空気に誘われて、いつもよりかなり早く家を出てしまい朝の桜並木を学校に向かって歩いている少女。髪は綺麗な黒髪で、その髪を頭頂部にひとまとめに結んでいる。いわゆるポニーテールでまとめた後ろ髪が、歩いていると背中の辺りでかわいく左右に揺れている。口は一文字にキュッと締めているが、口角は常に少し上向きで、クラスメイト達の話によると、彼女の不機嫌な顔は見たことがないという。小さな顔に大きくてきれいな瞳とまっすぐに整った鼻、そしてキュッと引き締まった口。背は平均より少し高いくらいか。それに彼女が今着ている高校の制服。彼女が通う地元の宝石女学院高校は、制服がかわいいことで有名で、上半身は紺のブレザーに、ブレザーの下には指定のグレーのセーター、ホワイトのブラウスの首元には水色のリボン、下半分は水色と白のチェックのスカート、それに白のハイソックスに足元はローファーという服装が彼女のかわいらしさを一層引き立たせている。彼女が街を歩いていると、男女に関わらず、100人いれば99人は振り返って見とれてしまうくらい、それくらいに彼女は魅力的なのである。だが、彼女自身はそんなことは全然気にしていないようだ。困った人を見つけると自然に手を差し伸べる。それが彼女。物語の主人公日乃彩ナミなのである。


 私の名前は日乃彩ひのいろナミ。宝石女学院高校に通う高校1年生の女の子。春って出会いの季節でもあるけど、別れの季節でもあるよね。だから春って段々暖かくなってきてすごくワクワクした気持ちになるんだけど、同時にすこし悲しい気持ちにもなるの。高校に入ってから一年間、お世話になった3年生の先輩達はもう卒業しちゃったし。だから、少し寂しいな。でも今日の終業式が終わったら、明日からは春休み。春休みの間も色々と予定が入っちゃってるし、そして春休みが終わったら、あっという間に高校2年生だ。2年生になったら後輩も入ってくるし、もっとしっかりしなきゃダメだよね。


 彼女は、外の空気があまりにも気持ちよかったので、学校の最寄りの駅の一つ手前の駅で降りて、今はそこから歩いて学校に向かっている所である。彼女は、いつもだったら前を向いてしっかりと歩いているのだが、今日はくっきりとした空の青色と満開に近い桜の桃色のコントラストがあまりにも綺麗なので、少し上を向きながら歩いていた。それに彼女の通う高校は少し低い山を登った頂上に位置し、学校に行くのに20分程の緩やかな坂道を登っていく必要があるため、彼女の視線は自然と青空の方に注目することになった。そして、それは彼女が坂道を登り始めてから10分程した時のことだった。


 あれ? 空を見てたら、雲の上の方からなんか小さな隕石のような物体が学校に向かって落ちてきてる。えっ!? もしかしたら学校にぶつかるかもって思ってハラハラとしてずっと見ていたら、学校まであと50mくらいの所で、なぜか急にピタッと止まると、それからゆっくりと地上に向かって垂直に降りていった。あの隕石?一体何なんだろう? どうやら学校の奥にある裏庭の方に降りていったように見える。周りを振り返ると、今日は朝早く家を出たせいか宝石女子高の学生は一人もいなかった。通勤途中の会社員の人が数人歩いているけど、誰も隕石には気づいていないようだ。思い切って誰かに言ってみようかなと思ったけど、相手の人に迷惑だし、それになぜかこれは絶対に誰にも言っちゃいけないっていう気がしたのでやめた。とりあえず今日の終業式が終わったら、すぐに裏庭の方に行ってみよう。


 それから、ナミは学校に着いて教室に一番で入ると、その後はいつもと同じように今日の授業もつつがなく終了し、ほぼすべての1年生が来年から2年生になることも決定したみたいだ。クラスメイトのみんなも学校から帰る準備をしている。ナミも準備をしながら、みんなが教室から出て行ったら、バレないようにすぐに裏庭の方に行かなくちゃ、と席に座りながらクラスメイト達の様子を観察していた。そうしている間にも、「日乃彩さん、また2年も同じクラスになれたらいいね。」とか、「ナミ、春休みもどっか一緒に遊びに行こうね。」とか、クラスメイトが帰りがけに彼女の席に来ると、次々に彼女に声を掛けては教室を出て行った。


 最後に、一人のクラスメイトがナミの席に歩いてきた。

「ナミ、一緒に帰ろう。」

 そして、やさしそうな笑顔でそう声を掛けた。


 彼女の名前は、奈野原なのはらホタル。ナミとは小学生の頃からの幼馴染で、高校でも同じクラス、そしてナミの一番の親友だ。背は平均より少し小柄ながら、明るめの茶色の髪にふんわりとしたカールボブの髪型が、くりっとした大きな瞳の彼女によく似合っている。それに、アクセントにさりげなくつけた髪留めが、彼女のセンスの良さをよく表している。日乃彩ナミが正統派美人というなら、奈野原ほたるは男女を問わず庇護欲を掻き立てられるようなかわいさの極みにある女の子。とでもいったら正解だろうか。実際に、彼女は学校の外では、同世代向けの雑誌でモデルの仕事をしているそうだが、彼女自身は内気で、本来は目立つような事が苦手なので本当はあまりやりたくないらしい。彼女は昔から絵を描く事が好きで、将来はファッション関係のデザイナーになることが夢であり、その勉強を兼ねて、という事で半ば成り行きでモデルをする事になったそうである。


「ごめん。ホタル、今日はちょっと用事があって……一緒に帰れないんだ。」

 ナミは、両手を合わせて本当に申し訳なさそうな顔をしてホタルに謝った。

「えっ? そうなんだ……。それじゃ仕方ないね。じゃあまた帰ったら連絡するね。」


 ホタルは、高校に入ってもお互いに用事がない時は、いつもナミと一緒に学校から帰っていたので、今日も自分が来るのを席で待ってるんだと思っていたのに、ナミに断られた事に少なからずショックを受けてしまった。でも、あのナミが断るんだから、本当によっぽどの用事があるんだろうな。とすぐに納得し、今日は一人で帰ることにした。


 よし、みんなクラスから出ていった。中には部活に行った娘もいるけど、みんなに気づかれないように今から裏庭の方まで行ってみよう。裏庭は学校のグラウンドの高い金網のフェンスを挟んだ向こう側にあって、小高い丘のようになっている。本当はうちの生徒は裏庭には行っちゃダメってことになってるんだけど……。なぜか絶対に行かなきゃいけないっていう気がすごくするの。


 ナミは、グラウンドに入って裏庭に繋がるドアの前まで行くと、しばらくはクラスメイトの誰かのクラブ活動を見学しているように装って手を振ったりいたが、やがて誰も自分を見ていないことを確認すると、金網のフェンスのドアをそっと開け、さっと裏庭に入ると速足で坂道を登っていった。裏庭は、ザラザラとした砂利道と、どこにでもありそうな木が不規則に生い茂っているような無味乾燥な場所で、普通なら誰もこんな場所に好んで行こうだなんて思わないだろう。ナミは、裏庭を少し登ってグラウンドからは誰も見えない所まで来ると、早速あの隕石を探し始めた。裏庭自体はそんなに広い場所ではないので、すぐにでも見つかるかだろうと思っていたが、なかなか隕石は見つからなかった。そして、探し始めてかれこれもう30分が経過していた。


「あれ? おかしいな。すぐにでも見つかると思ってたんだけど。もしかして……何かの見間違いだったのかな? いや、そんなことない。絶対あるはずだ。絶対に見つけなきゃいけない。」

 なぜかその時、ナミの中には絶対見つけなきゃいけないという使命感のような想いがあった。


「絶対探さなきゃ。それに、あの娘は長い間、私に会うのを待っていたんだから。」

 あれ? あの娘って一体誰のこと? 私、何言ってるんだろう?


 そして、それからしばらく探す事さらに30分。とうとう目的の物が見つかった。それは、おそらく着地の際に、地面に二本の足を着けようとしたものの、地面の石か何かにでも引っかかってしまったんだろう。そのまま坂道を転がり落ちて、木と茂みの間に深く潜り込んでしまっていた。三角の二本の足の部分が上を向いて、それは銀色の巨大な猫の顔のオブジェのようにも見える。


 「やった!! あった!!」

 ナミはそれを見つけると、うれしさ一杯でその物体の元へと駆け寄った。


「あれ? なんだろうこれ?」

 それは予想した隕石のようなものではなかった。それは全体が銀色の外装パーツで固められた機械でできた球形の物体だった。パッと見た感じだと、テレビで見る宇宙人が乗ってたりする宇宙船なんかに似てなくもない。でも、人が乗るにはサイズが小さすぎる。


「これって……もしかして、宇宙船?」

 じっくりとその宇宙船?を観てみると、構造はすごくシンプルで、球形の宇宙船の上部の左右には三角のジェットのような物が二つと、球形の真ん中より少し上辺りに緑と赤のボタンが付いているだけで、その他には何もない。そして真ん中辺りで球形が区切られていて、恐らくこの部分が開いて、中に何かが入っているのだろうか?


 ナミは、中を開けて見ようと思って、緑のボタンと赤のボタンを何回も押してみたが、全く反応がなかった。 宇宙船の周りをグルグルと回ってじっくりと探してみたけど、宇宙船の中を開ける装置みたいなものはないみたいだ。宇宙船の外側には何か文字のようなものが書かれていたみたいだけど、相当時間が経過したようで、ほとんど解読不可能なくらいに消えて読めなくなっている。ナミは、なおも宇宙船を観察し続けていると、ある事に気がついた。


「あれ? これって猫みたいに見えるけど、本当は上下逆さみたいだぞ。」

 このサイズだったら自分一人でもひっくり返せそうだ。よいしょっと……。何とか宇宙船を上下元通りにしてから、宇宙船の前でひざを曲げて座ると、あごを両手に乗せて一体何が出てくるのか、ワクワクしながらしばらくはそこで待つ事にした。


 そして、それから大体5分が経過した時だった。宇宙船の真ん中の方からカタカタ、カタカタっていう音がしてきた。それが10秒程続くと、プシューッという何かのロックが外れた音と同時に、真ん中から静かに宇宙船が開いた。ナミは、すぐに宇宙船の中を確認しようとしたが、中からドライアイスのようなひんやりとした白い煙がモヤッと飛び出してきたので、少しの間は中に何があるのかよくわからなかった。もしかして宇宙人がいたりして? なんて想像しながら白い煙が消えていくのをワクワクしながら待っていると、宇宙船の中には暖かいクッションが敷いてあり、そこにはかわいらしいアメリカンショートヘアの子猫が眠っていて、その上には大事そうに毛布が掛けられていた。

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