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魔法少女っているよね ☆初期版*  作者: ににん(ni-ning)
第3章 二回目の異変と謎の子犬
38/73

38 (3-6) 赤色の魔法少女

 蛍の一連の変身モーションをポカーンと観察していた南美は、すぐにすごくうれしそうな顔になって、蛍の元に近づくと、


「うわー、すごいよ蛍。すごく高くまでジャンプしたよ。魔法少女ってやっぱりすごいんだね。」

 南美は、魔法少女になった蛍に対してすごいを連発すると、次は蛍の魔法少女姿をじっくりと観察しだした。


「ジロジロ見ないで。恥ずかしいよ。」

 蛍は両手で顔を隠した姿勢のままだったが、猫耳が垂れ下がって、コスチュームの後ろにつけてある尻尾が、ミカの尻尾みたいに、恥ずかしさのあまり、あっちに行ったりこっちに行ったり、かくかく、せわしなく動き回っていた。


「へー、やっぱりこのコスチュームって蛍が私達に見せてくれたデッサンと同じデザインになっているんだね。蛍によく似合ってるし、すごくかわいらしいよ。ふむふむ…なるほど、尻尾も自分で動かすことができるんだね。」

 南美は、蛍の魔法少女姿を様々な角度から観察しながら、蛍のファッションセンスと蛍のかわいらしさにすっかり感心していた。


「それと、かわいい子猫をいじめる悪い人は許さない。だっけ? それ蛍が考えたの?」

 三玖も、こぶしを顎に当て、斜め横から蛍の魔法少女姿を冷静に観察しながら、普段通りの表情で蛍に話しかけた。


「それに、変身した時のポーズも、すごく猫っぽくてかわいらしくって。私、思わずキュンとしちゃったよ。」

 南美も三玖の質問に被せるように、うれしそうに蛍に感想を述べた。


「ポ、ポーズもセリフも自然に口から出てきただけだから。あ、あの、改めて感想を言われても困ります。」

 蛍は腕を下に突っ張って、顔を真っ赤にしながら、二人に反論した。蛍としては、これ以上自分に注目してほしくなかった。


「うん、蛍の言う通りだよ。魔法少女に変身する時のポーズやセリフは、本人の性格や内面、そして自分はこうなりたいっていう本人の心の奥底にある願望が自然に表現されたものなんだ。」

 ミカが、蛍の主張に同意するように、そう説明をつけ加えた。


(お願い。いちいち解説しないでもらえますか?)

 蛍は、ミカのフォローになってないフォローに、ますます顔が赤くなった。


「そ、それよりも、南美達も早く魔法少女に変身しないと…。」

 蛍は、話題を変えようと、もじもじしながら、南美達にそう言うと、


 南美は、ハッとして、

「あっ、そうだ。こんなことしてる場合じゃなかった。よし、ミカ行くよ。」


「うん、わかった。」


 南美とミカは、再び目を閉じてお互い強く願うと、次の瞬間、南美の首元に掛けられたペンダントの赤い宝石と、ミカのリボンの五色の中の赤い宝石が強く光り輝きだした。そして、ミカは尻尾で空中に星を描くと、尻尾の先からは猫が描かれたスカラベが出現し、次にミカが尻尾を振り上げると、スカラベは南美の元へと飛んでいき、南美の首元のペンダントにがっちりとはまった。


(よし、変身できる。)

 南美はそう確信して、目をしっかりと開けると、自分の周りが鮮やかに輝いて、赤色の魔法子猫からの祝福を今、自分は全身で受けとっているという感覚を感じた。南美は、蛍と同じようにその場からクルクルと回りながら高くジャンプすると、蛍の時より高い地点で、とうとう赤色の魔法少女に変身した。そして地面に着地すると、


「世界中をみんなの笑顔で一杯にしたい。五色の魔法少女レッドキティ!」

 なみは両足を少し開いて、左手を脇に折り曲げ、右手の拳を大きく空中に突き上げると、蛍の時と同じように、自然に口からセリフと決めポーズが飛び出した。


 南美は、しばらくはそのまんまのポーズでじっとしていたが、スーッとポーズを解くと、手の平を開いて両手をまじまじと見ながら、


「へー、魔法少女ってこんな感じなんだ。体の奥底から、ものすごい力が溢れ出しているのが感じられるよ。」

 南美はそう言いながら、今、自分が驚異的な力を得たことを実感した。


「やっぱり南美が魔法少女のコスチュームを着ると、かわいさに加えて、かっこよさが際立っていい感じ。この服は、元々南美が着ることをイメージしてデザインしたから、やっぱり南美が一番似合うね。」

 蛍は、うれしそうに小さく拍手しながら南美の方に近づくと、南美の赤色の魔法少女姿を見てニッコリと満足そうに微笑んだ。


「ありがとう蛍。…でも、思っていたより簡単に魔法少女に変身できたね。」

 南美が蛍に対してそう言うと、横から、


「そうね。案外簡単だったわね。」

 と、三玖の声が横から聞こえたので、三玖の方を振り向くと、三玖の方も、すでに五色の魔法少女グリーンキティに変身していた。


「あれ? 三玖も変身しちゃったの?」

 南美は、キョトンとした表情で三玖に聞いた。


「ええ、せっかくなんで、ついでに変身しておいたわ。」

 それに対し、三玖は普段と変わらない落ち着いた感じで答えた。


「あれ? 変身する時のポーズとセリフは言ったっけ?」

 続いて、南美は三玖にそう質問した。


「うーん、くるくる回りながら空中を飛んでいる時に、何か頭の中でセリフやらが自然と湧いてきたんだけど、なんか今の自分にはしっくりこない感じがしたんで、今回はパスすることにしたわ。それについては、ちょっと次回までに考えておくことにするわ。」


「そう? それから変身する時は変身するってちゃんと言ってね。勝手に変身してもらうと困るんだけどなー。わかった。それじゃ、セリフとポーズは次回までの宿題ね。」

 南美は少し不満げな表情で、三玖に対し、最後にそう指示を出した。


「でも、三玖が魔法少女のコスチュームを着ると、気品があってきれいな感じになって、これはこれでいい感じ。」

 蛍は、三玖の緑色の魔法少女のコスチュームをじっくりと観察しながら、うれしそうに三玖にそう感想を伝えた。


「あら、そうかしら? …それで、この猫耳は何の意味があるのかしら? 尻尾の方は何かの役に立ちそうだけど、私達に耳が四つも必要なのかしら?」

 三玖は自身の魔法少女姿を確認しながら、不思議そうな顔をして蛍にそう質問すると、自分の猫耳を何度も上下したり、尻尾を曲芸のように動かして、器用にいろいろな形を作っていた。


「あの…そ、それは魔法子猫のアクセント、というか…。」

 蛍は、再び顔を真っ赤にしながら下を向くと、小声でそうつぶやいた。


「それよりみんな、そろそろ光の塔の方に向かわないと!」

 その時、ミカが思い出したように、みんなに注意すると、


「あっ、そうだ! よし、みんな急ごう!」

 南美がそう言うと、四人はグラウンドに向かって、再び全速で駆け出した。


 教室で異変が起きた時は、急いで駆け出した四人だったが、玄関で魔法少女に変身することになった辺りから、気づけば、異変が起こる前のような、すっかりまったりとした空気になってしまっていた。


 南美を先頭に正面玄関を出た四人は、左に向きを変えると、グラウンドの奥の方からは、前回と同じように光の塔が天高く伸びているのが確認できた。そして、校舎の脇をまっすぐに駆け抜けると、間もなくグラウンドの前まで到着した。


「あれ?」


 南美はグラウンドに目をやるやいなや、思わず、その場にそぐわない間の抜けた声を出した。南美達がグラウンドを見ると、前回と多分同じ位置に、グラウンドの奥辺りから、一本の光の塔が天高くまで伸びていたのだが、教室の窓から見た時は死角になって見えなかったのだが、対面のグラウンド手前の奥辺りにも、もう一本、光の塔が天高く伸びていたのだ。

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