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魔法少女っているよね ☆初期版*  作者: ににん(ni-ning)
第2章 『誕生??魔法少女』
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26 (2-4) 伝説の五色の魔法子猫達

 高校2年生の始業式の当日、南美なみは、人生で初めての遅刻をして、自分が赤色の魔法少女だということがわかって、放課後になって世界が白黒になってその動きを停止し、惑星ウラニャースからミカを連れて帰るため、ミカのパパとロボットが現れ、親友のほたるが黄色の魔法少女に変身して、そのロボットを倒した。すでにこれだけのことが起こった、まさに激動の一日となってしまったわけだが、南美とミカと蛍の三人は、当初の予定通り、これから南美の家で今後の打ち合わせをすることになった。


 南美は、ミカをバックパックに入れると、蛍と並んで、学校からお家までの道のりをじっくりと周囲を見回しながら歩いていたが、世界が白黒になる前と後とで、特に何も変わったことはないように見えたので、少しホッとした。バッグの中からは、ミカの小さくすすり泣く声が、かすかに聞こえてきた。南美は、お家に帰る道中、蛍から、自分がいない間にグラウンドで起こったミカの悲しい出来事について聞いていたので、ミカのことを不憫に思いながらも、しばらくの間はそっとしておくことにした。


 そらからしばらくして、南美のお家に着いて、南美がバックパックのチャックを開けると、ミカが元気よくバッグから飛び出してきた。どうやら、自分が泣いていたことを南美達に気づかれていないと思っているようだった。三人は南美の部屋に入ると、予想外に今日一日でいろいろなことが起こり過ぎたため、まずは何から話をすればいいのだろうと思ったが、今回の出来事で一番情報を集めていたのは、やはりミカだった。ミカは立ち上がって、二人の周囲を一往復して、コホンと一つ軽く咳払いすると、


「うん。では、私から話させてもらうね。まず、惑星ウラニャースから、私のパパとロボットが突然私達の前に現れたことなんだけど。実はウラニャースには、ものすごいエネルギーの塊が、地中深くから天空に向かって飛び出しているウラニャースの光の塔っていう、ウラニャースでは象徴的な光の現象があって、私達ウラネコは、ウラニャースで必要な全てのエネルギーをそのウラニャースの光の塔から得ているの。それで、今回ロボット達は、そのウラニャースの光の塔の莫大なエネルギーを異次元に転送するエネルギーに転換することに成功していたみたい。そして今日、光の塔を伝って、ウラニャースから地球までやってきたみたい。でも、それと世界が白黒になって時間が停止したことと関係があるのかわからない。」


「へえ、そうなんだ。でも、ロボット達は、何でそこまでしてミカのことをずっと捜していたんだろう?」

 南美は、ミカにそう尋ねた。


「私達とロボット達がする約束っていうのは絶対で、それは可能性のある限り、永久に守るべきものという機能が、基本的にすべてのロボット達に備わっているの。それでパパが、ロボット達と私達家族全員をロボットにするっていう約束をした、と私に言っていたので、それで、私がウラニャースから脱出したその日から、ロボット達は、ずっと私のことを捜していたんだと思う。それで二週間前に、私が地球にようやく降り立って、ロボット達は私を発見することができたので、それでウラニャースの光の塔の力を使って、今日私を連れ返すために来たんだと思う。」


「へえ。」


「それで、ウラニャースの光の塔なんだけど、実は莫大なエネルギーの中に、かつて魔法大国だった頃のウラネコの叡智と魔法力が眠っていて、なぜかわからないんだけど、ウラネコ達が魔法の力を捨てて、科学文明国家を選んだ過程で、その力をそこに保存しておいたみたい。もしかしたら、いつかウラネコ達に、再び魔法力が必要になる日が来るかもしれないと思い、そうしたのかもしれない。」


「へえ。」


「それは、私がロボットに捕まって、蛍が魔法子猫だったらと強く願った時に、光の塔から、何か温かい光の塊が、私に向かって飛んできて、それを私が受け止めた時、すべてのことが理解できるようになったの。それで私自身は、やっぱり今以上に魔法が使えるようにはならなかったけど、ウラニャースに伝わるすべての魔法を五色の魔法子猫達に授ける力は手に入れたみたいなの。それで、蛍を見た時に、蛍は黄色の魔法子猫の雷属性の魔法が使えることがわかったので、それで蛍に魔法を授けようとしたら、突然私の尻尾から、私と蛍を繋ぐスカラベが現れて、蛍が首にかけていた黄色の宝石と結びついて、それで蛍は黄色の魔法子猫に変身することができたの。」


「スカラベ? 黄色の宝石?」

 南美が不思議そうな顔をして、ミカに尋ねた。


 すると蛍は、黄色い宝石ががっちりとはまった猫の模様が入ったスカラベを首元から外すと、南美に渡した。南美は、そのスカラベを見ながら、


「へえ、これがスカラベっていうんだ。なんかかわいらしいね。…でも、なんで蛍は黄色の宝石を持ってたの?」

 南美は、再び不思議そうに、次に蛍に問いかけた。蛍は、困惑しながら、


「この宝石ってそんなに大したものじゃなくて。実はこの宝石、以前に雑誌の撮影の時に、アクセサリーの一つとして用意してあったものなんだけど、撮影が終了した後に、担当の人から、今日持ってきたアクセサリーの中から、なんでも好きなものを一つだけ持って帰ってもいいよって言われて、それでその時に、その中からこの黄色の宝石をもらっただけなの。だから、この宝石がそんな貴重な宝石だったなんて…。どうして?」


「うーん、確かに不思議だ。」

 南美も、蛍の話を聞いてそう思った。


「でも、南美は赤色の宝石を持っているよね?」

 ミカが、突然南美にそうふったので、南美は、一瞬キョトンとしたが、


「あっ!!」

 南美は一言そう叫ぶと、首元に掛けていた赤い宝石がついたペンダントを首元から外した。そして、その宝石を見ながら、


「あれ? 確かにもってる。でも…これ、いつ、どこで手に入れたんだろう? それに私、なんでこのペンダントを毎日身に着けてるんだろう?」


 南美は、自身の赤い宝石をいつ、どうやって手に入れたのか。そして、なぜいつも肌身離さず身に着けているのか、考えてみたが、自分でもまったくわからなかった。


「そういえば私も、なぜこのペンダントを毎日身に着けていたのかわからない。」

 蛍も、南美の意見に同意すると、少し怖くなってきた。そんな二人の様子を見ていたミカは、


「すごく不思議なことなんだけど、でも実際は、少しも不思議なことじゃないの。それぞれの色の宝石は、プレシャスストーン(PS)といって、まさしく魔法の宝石になるんだけど、それを持っているということは、五色の魔法子猫であるという証であって、何があっても、しかるべき持ち主の元へと必然的に戻ってくることになっているの。そしてその持ち主は、意識していようが無意識だろうが、自分の身体の一部として、その宝石を常に身に着けるようになっちゃうようなの。」


「ふーん。」

 南美は、理屈はわからないが、ミカがそう言うなら、それで間違いないのだろうと思った。


「私も思い出してみると、南美と一緒にいる時に、南美がずっとその赤い宝石のペンダントを身に着けていたことは知ってたんだけど、今日ウラニャースの光の塔から魔法の叡智を授かるまで、なぜかそのことについて、まったく気にならなかったの。」


「うん、そうか。だったら?」

 南美が、嬉しそうにミカに尋ねると、


「うん、やっぱり南美は赤色の魔法子猫で間違いないよ。」

 ミカは笑顔になって、そう答えると、


「やった! これでミカとはこれからもずっと一緒だね。」

 南美は、笑顔一杯でミカを抱きしめた。南美にとって、ミカとずっと一緒にいられることが、まずは第一優先だ。だが、しばらくすると深刻な表情になって、


「でも、ミカがウラニャースを出てから、もう五百年以上が経っちゃったんだよね。それに、ミカのパパもママも、ウラネコ達はみんなロボットにされちゃったって。それなのに、どうやったら私達魔法少女達で、ウラネコ達を救うことができるんだろう?」

 南美は、一番肝心な部分をミカに尋ねた。すると、ミカは、


「私も、どうやって伝説の五色の魔法子猫達が私達ウラネコを救ってくれるのかわからない。でも、ウラニャースの光の塔から魔法の叡智を授かった時、私のパパとママから聞いたこの伝承は、本当のことだっていうことがわかった。だから、五色の魔法少女達が揃った時に、きっと南美や蛍達が私達ウラネコを救ってくれるって信じてる。それに、パパはネコ型ロボットになっちゃったけど、蛍が黄色の魔法少女になった時、パパから、「ミカ。よくやった。えらいぞ。」って言う声が、私には確かに聞こえたの。」


「そうだったんだ。」

 南美は、ミカの話を聞くと、やさしげに微笑んだ。


「それと、これは地球の人達には申し訳ないんだけど、ロボット達は、私をウラニャースに連れ戻すために、ウラニャースの光の塔を使って、またこっちに来ると思う。でも、グラウンドでロボットから逃げながら分析してたんだけど、時が止まってすべてが白黒になっている間、実際の人や建物は、ごっそりと、どこか別の世界に転移していて、白黒になった人にキズがついても、特に問題はないらしいの。」


「そうなんだ。でも、できるだけキズつけないように気をつけなくっちゃね。」


「うん、そうだね。それと魔法子猫が魔法を使うには、ウラニャースの光の塔から魔法力を送ってもらう必要があるので、ウラニャースからロボット達が来た時にしか魔法が使えないみたい。」


「そうか。でも、だったら特に問題ないね。普段魔法が使えないんだったら、別に自分が魔法少女だって隠す必要もないしね。魔法少女になったとしても、その時は誰も見てないんだし。」

 南美は、蛍の方を向きながらそう言うと、蛍も、


「そうだね。それだったら安心だね。」

 蛍も、自分の魔法少女姿を誰にも見られずにすむことがわかって、少しホッとした。


「こうなったら、後は残りの三色の魔法少女達を探すことが先決だね。でも、どうやって探したらいいんだろう?」

 南美は、ミカにそう尋ねると、


「うん。それなんだけど、伝説の五色の魔法子猫達は、私が探すんじゃなくて、向こうの方から、自然に私の方に集まってきてくれるみたい。ほら、もうすでに二人の魔法子猫達が私の側にいてくれるんだもん。だから、もしかしたら残りの三人の魔法子猫達も、もう私達の近くまで来てくれているのかもしれない。」

 ミカは、南美と蛍に向かってニッコリと笑い、そう伝えた。


「そっか。私が宇宙船に乗ったミカを見つけたのも、もしかすると必然のことだったのかもしれないね。それだったら、もしかしたら学校に、私達以外にも魔法少女がいるかもしれないね。」


 南美は、そう言うと突然ハッとして、何か思い出したみたいで、

「あっ! そういえば。」


 南美は、学校で異変が起きた時、生徒会室で唯一彩りを残していた若葉さんのことを思いだした。そして、今日の放課後の生徒会室での出来事を二人に話すと、


「そうか。だったら若葉さんも魔法子猫かもしれない。だったら、明日みんなで若葉さんに聞いてみようよ?」

 ミカがそう提案してきたので、南美は、


「…うん、そうしようか。」

 南美は、今日注意されたばかりなのに、さっそく明日もミカを学校に連れていくことになって、親身になって相談に乗ってくれた若葉さんに対しての申し訳ない気持ちと、それに、学校で一番の常識人といっていいくらいの若葉さんに、こんな突拍子もない話を果たしてまともに聞いてもらえるのだろうか? そう考えると、かなり気が重かった。

2年A組

緋色南美=日乃彩なみ(赤色の魔法少女)

菜の花蛍=奈野原ほたる(黄色の魔法少女)

若葉三玖=新葉みく(緑色の魔法少女)

2年D組

露草詩叙=遊草しの(青色の魔法少女)

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