登場人物紹介とこれまでのあらすじ ~現実の世界~
■佐倉 三月
28歳、身長172センチ。どこにでもいる風な普通の男性。
二重の異世界転移に巻き込まれ、意識だけが行ったり来たりしている。
神巫女町大災害で失った家族や恋人を取り戻すため、迷宮の異世界、神々の異世界を行き来して、過去を変える願いを叶えようと奔走する。
政治家の父と、剣士の祖父の影響を受け、権謀術数に長けた一面を持ち、剣術にはそれなりの覚えがある。
全てを無くした過去に向き合い、自分に課せられた使命を全うしようと誓う。
■神水流 夕緋
三月の幼馴染み。28歳、身長165センチ。黒髪ロングの清楚な女性。
三月のアパートに押しかけ女房気味に通い、食事等の世話を焼いてくれている。
現在は婚約を交わした恋人同士の関係。
幼少時から頭脳明晰で身体能力が高く、自他共に認める神童だった。
霊感にも優れ、魔を祓う神通力を秘める、元神水流の巫女である。
その正体は、異世界のダークエルフと悪神を従える超常の存在。
強大な黒龍を身に宿し、神にも等しい力を持っている。
■神水流 朝陽
三月のもう一人の幼馴染みで、夕緋の双子の姉。
身長164センチ。黒髪ボブカットで朗らかな性格。
享年18歳。神巫女町大災害で噴石の直撃を受け、命を落とした。
夕緋と同じく、神水流の巫女であり、当時の三月とは恋人関係だった。
才能は並以下で、非凡の夕緋と比べられては惨めな思いをしていた。
それもあり、世話好きの三月にいつもべったりで仲が良かった。
■佐倉 清楽
三月の父親。天之市市議会議員を務め、若年ながら敏腕を振るっていた。
享年47歳。神巫女町大災害で市庁舎ごと地盤沈下に飲まれ、行方不明のまま。
7年間の失踪期間満了後、死亡が認定されている。
由緒正しい剣術を継承しており、三月の剣の師匠でもある。
佐倉の家の実子ではなく、祖父と愛人の間に生まれた非嫡出子。
■佐倉 祥子
三月の母親。専業主婦として佐倉の家を支えていた。
巫女である朝陽と夕緋に、無礼な振る舞いをする息子にはらはらしていた。
享年43歳。神巫女町大災害で、地震で倒壊した自宅に押し潰されて死亡。
■佐倉 剣藤
三月の祖父。いわゆる地元の名士で、昔は街のまつりごとにも関わっていた。
自宅に道場を構えるほど剣術に通じ、骨董の剣を集める愛好家。
一人きりの孫の三月に剣を教え、剣についての知識を与えた。
三月が子供の頃、病気で他界している。
■神水流 宗佑
朝陽と夕緋の父親。女神社の宮司で、将来を期待されていた。
婿養子で肩身の狭い思いをしていたが、清楽と意気投合して懇意にしている。
享年42歳。神巫女町大災害に遭い、火山性ガス中毒で命を落とした。
■神水流 怜
朝陽と夕緋の母親。先代の神水流の巫女、正当後継者。
自らも巫女としての務めを果たし、現任の朝陽と夕緋の育成に力を注いだ。
享年38歳。神巫女町大災害に遭い、火山性ガス中毒で命を落とした。
■鍔木 宗司
三月の友人。小学校から高校までを一緒に過ごした、仲の良い同級生。
三月のファンタジー好きの趣味は、宗司の影響によるところが大きい。
神巫女町大災害後は、仮設住宅地にて生き残った祖父とともに暮らす。
幼少時の三月が、大喧嘩をした原因をつくった張本人でもある。
巫女派閥は夕緋推しで、今でも夕緋と秘密裏に繋がっている。
■鍔木 恭蔵
宗司の祖父。神巫女町大災害を孫の宗司と生き残った。
痴呆が進んでおり、災害当時を思い出してはうなされる毎日を過ごしている。
佐倉の家、特に剣藤とは付き合いがあったようだ。
■フィニス
イシュタール王国の人間と、それに与する者を滅ぼそうするダークエルフの女。
身長178センチ程度、銀色の長い髪で褐色肌。
百年前に終わったはずの亜人戦争を、未だに一人で続けている修羅。
異世界の破壊神ヤヨイの力を借り、パンドラの地下迷宮を暴走させる腹づもり。
夕緋と行動を共にしており、何かしらの協力関係にある様子。
■八咫
日和と夜宵に仇なす、蜘蛛の禍津日ノ神。
ひょろ長い長身は180センチ以上で、病的に肌が白い。
ざんばら頭の髪型、蜘蛛の巣の柄の着物を着流している。
神巫女町に祀られた太古の男神で、今は誰からも忘れ去られている。
夕緋に付きまとい、恋人関係の三月を殺したいほど疎ましく思っている。
■雛月
地平の加護の疑似人格で、故人である神水流朝陽と同じ姿をしている。
物語を正しく進めるため、ストーリーテラーの役目で三月を導こうとする。
普段は三月の心の中だけに存在し、物質世界に現れることはない。
三月の性格を基にしている割には、突飛なことを言い出すトリックスター。
化身体に選ばれた朝陽の情念に引っ張られ、三月のことが好きで仕方がない。
加護として頼れる反面、過激なアプローチでいつも三月を困惑させている。
◇◆◇
■これまでのあらすじ ~現実の世界編 カミナギ~
佐倉三月はある晩を境に、二重の異世界転移に巻き込まれた。
一つは迷宮の異世界。
パンドラの地下迷宮を踏破する使命を帯びる勇者として。
一つは神々の異世界。
天神回戦を勝ち上がり、力を失った女神を救うシキとして。
二つの異世界を行き来し、やがて三月は自分の使命を理解していく。
迷宮の異世界で得た地平の加護を駆使し、神々の異世界で天神回戦に勝利して、タイムリープの先に過去を変える願いを叶えること。
神巫女町大災害に見舞われた過去に向き合い、三月はすでに滅んだかつての故郷へと10年振りに里帰りを果たした。
そこでアイアノアとエルトゥリンと再会し、二つの異世界の攻略法を授けられ、月の加護を手に入れるための鍵を受け取った。
しかし、それを「敵」は黙って見ていてはくれなかった。
突如として現れた黒龍が、アイアノアとエルトゥリンを消し去った。
ファンタジー世界の魔物が大勢湧いて出て、逃げる三月を追い立てる。
神巫女町から脱出する際、危機に瀕した三月のため、雛月は三月の脳に居場所を無理やりつくり、現実世界に知覚できるよう姿を現した。
三月は雛月と協力して、追っ手の異界の神獣を退け、魔都と化した故郷から落ち延びることに成功する。
三月は三巡目の異世界転移に臨むべく、再び故郷を後にした。
自分を追い払った黒龍の正体が、まさか夕緋だとは露とも知らずに──。




