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序文

「この町を良くしたい」


平民の青年、カリストがはそう思って冒険者になった。


この町には様々な問題がある。

政治の腐敗。貴族達は政争に明け暮れ、私腹を肥やす為に増税を行う。

モンスターによる被害。農作物と物流は荒らされ食料不足が発生する。


それらの被害は全て平民に押し寄せられる。

飢餓状態は当たり前。仮に食料が市場で出回っても、増税で金の無い平民は満足に買えなかった。


カリストはこれらを解決するには、冒険者になるしかないと考えた。

モンスターを倒せば、食料の被害を抑えれる。

その功績で冒険者ランクを上げて町での地位と発言力を上げれば、

政治に介入も可能かもしれないと期待した。


しかし、冒険者になってからは期待を裏切られる毎日だった。

特に酷かったのが「勤労感謝税の日」だった。


その日はモンスターが大量発生し、討伐依頼が多く出された。

カリストはパーティーメンバーと共になけなしの金を使って装備を揃えて多くの依頼を受けた。他の平民出身のパーティーもこれに続いた。

カリスト達の奮闘によりモンスターは討伐され農作物は守られた。

-これで今日は依頼達成報酬で装備を良い物に変えて、余った金で腹いっぱいにご飯を食べれる-

しかし、受け取った報酬はいつもと変わらなかった。死なない程度に食料を買って装備を修理したら残らない金額。


貴族が宣う理屈-いつも職ありつけていられるに事を貴族に感謝の意を表す為-


実際は平民出身の冒険者に力をつけさせると貴族が立場を失うから、それを阻止する為に生かさず殺さずを維持するための天引きだ。


貴族達は冒険者ギルドを支配しており、報酬を横領するのは当たり前だった。


「下級冒険者は使い捨てられるしか無いのか。怪我をした時に治療費を払えないFランク冒険者は死ぬしかないのか。不遇にも稼ぎが少なかった冒険者の老後は野垂れ死ぬしかないのか」


寿命を全うできる冒険者はほんのわずか。

そのほとんどが王族や貴族や大商人の出身の上級冒険者。

金に物を言わせた重装備で身を包み、安全にクエストをこなす。

もし怪我をしても金で後遺症無く治せる。


それに引き換え下級冒険者は怪我をしても金が無いから後遺症無く怪我を治せず、クエストをこなせない程に老衰すれば余生なく死んだ。

Fランク冒険者カリストは、今までに何人もそんな同僚達を見てきた。


現状の下級冒険者は使い捨ての社会の歯車でしかない。


「冒険者の労働環境を改善しなくてはならない」


カリストはギルドマスターのもとへ向かった。

ギルドマスターを説得できる可能性ある。それはカリストのスキルで得た知識だ。


この世界の人は16歳の成人の日にスキルを発現する。スキルの種類はその時の当人が欲しいものに沿ったものとなる。スキルの性能は才能による。たいていの人は攻撃スキルや身体強化スキル等の小手先のものが発現するがカリストは違った。

-この町を良くするための知識が欲しい-


そうして得た「異世界検索」。

このスキルは、ここではない世界の知識を知る事ができる。

そのスキルで知った社会保障や労働組合という制度をこの世界に採用すれば、下級冒険者の生活は良くなる。

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