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お菓子作りはどうしても書きたかったところなんですよね。御転婆さんに仕上がってきましたね。
ここはギルパレート家厨房。
「マリアンヌお嬢様!厨房に鍵をかけないでください。奥様に怒られてしまいます。出てきてください。」
と必死な様子の我が家お抱え料理長。
私は聞こえないフリをし、
「ロバートお母様にバレる前にちゃっちゃっとはじめるわよ。」
その姿は前世で王妃だったといっても、誰も信じられないだろう。
私は、朝から厨房に忍び込み、厨房にたっている。
美味しいものに目がない私は、自分でも料理をしてみたくなってしまったのよね。これで1人でも万が一生きていくことになっても、生きていけるはず。今日は、ロバートを巻き込み、厨房で料理をすることにしたのよね。
横でロバートは、
「規格外とは、認識してましたが、まさか料理までしようとするなんて、ちまたのご令嬢は、自分で料理などしませんからね。やはり頭の中身はお花畑ですね。」
「だって、自分で作れた方が、いざ没落して平民になっても生きていけるじゃない?」
「没落!?ギルパレート家は、そもそも没落などしません。王の右腕と言われる宰相をやられてる旦那様が没落させることはありえません。ポンコツお嬢様は、やはりポンコツですね。甘やかされてるお嬢様が平民になれるわけがありません。平民になった時点で攫われて、奴隷行き、生きていけませんね。」
「ポンコツ、ポンコツ言わないで。平民になっても生活できるよう努力するわ。」
「だから、平民には、なりませんし。その努力は無駄では?よっぽど淑女のマナー教育の方が有意義では?ポンコツお嬢様には、わかりませんかね。」
もう説明するのもめんどくさそうにするロバート。
「私には何も聞こえない。聞こえませーん。
さ!ロバート、お菓子を作るわよ。私こっそり、抜け出してクッキーの材料を買ってきたのよ。」
これでもかってほどのドヤ顔をする。
「お嬢様、ドヤ顔する前に、屋敷を抜け出したなんて爆弾発言やめてくれます?いつ抜け出したんですか。油断も隙もありませんね。ギルパレート家の隠密部隊の監視をすり抜けるとは、さすがポンコツお嬢様ですね。奥様にバレたら、私も道連れじゃないですか!って聞いてない。」
隠密部隊?!あの微笑ましそうに親切にお買い物を手伝ってくれた黒づくめの方々のことかしら?知らなかったわ。お菓子を作ったら、感謝を込めて渡さなければ。
まず、小麦粉をザルでふるってと。
卵を割って、人生初の卵割り。
意外とできるものね。
うんうん、やれそうだわ。料理のレシピを見ながら、我ながらうまく作れてるわ。
クッキーの生地をこねる時に、一緒に魔力を練り込ませて、これでもしかしたら、回復とかできたりして、実験って楽しいわ。
出来上がったクッキーは、とても美味しく作ることができた。ロバートは、意外と美味しく作れてることにかなり驚いていた。
私はやればできる子なのよ。前世の私とは一味ちがうのよ。ふふふ。
と気分良く厨房を出ようとしたところに、
ばったり母様と目があう。
「お母様、、、これには、訳が。」
後ろには裏切り者のロバートが舌をだして、申し訳ありません。と口パクをしている。
「マリー。ロバートと料理長に聞いたわよ。
罰として、一週間部屋から出てはいけませんからね。厨房を使いたいなら、素直に言いなさいな。マリーが、上のものが勝手なことをすると、下のものも迷惑するのよ。学びなさい。」
私はお母様に言われて、はっとする。これでは、前世と一緒ではないか、迷惑の度合いが違うにせよ。人に迷惑をかけてしまったのはいけないことだわ。
「お母様、ロバート、料理長ごめんなさい。
きちんと、許可をとってから、料理をするようにするわ。」
お母様に抱きしめられる。
「よくできました。でも、クッキー上手にできたんでしょう。お母様にもくださいな。」
お母様が、優しく微笑む。
「はい。こちらですわ!」
お母様が一口食べると。
「あら?売ってるものより美味しいかもしれないわ。何か隠し味でもあるのかしら?」
お母様、秘密ですわ。
次も厨房に入りたい時があれば、きちんと言いなさいね。
「わかりました!」
お母様に料理の許可がとれて、一安心だわ。次は、ブラウニーでも作ろうかしら?
楽しみがたくさん増えたわ。