2.
私の名前は
ギルパレート フォン マリアンヌ
歳は5歳。
侯爵家の長女で、両親には、目にいれても痛くないと言われるくらい溺愛されている。
前世では、全く両親には、可愛がられていた記憶がない。私のことは道具か何かと思っていたのでしょう。
ここは、私が死んでから200年ほどたった世界のようだわ。流行病で生死を彷徨ったせいで、前世の記憶を呼び戻したみたいだわ。
また貴族に生まれてしまったので、同じ道を歩まないように、しなくては。
贅沢は敵だわ。私は、あんな思いは、したくないわ。
「お嬢様、そろそろ起きる時間です。お布団から出てください。」
「まだ出たくないわ。お布団大好きですもの。
ロバート、おやすみなさい。」
「毎度毎度お嬢様を起こすのには、苦労します。では、失礼致します。」
「あっ!酷いわ。布団を剥ぎ取るなんて。」
私はうるうるした目でロバートを見つめる。
「お嬢様、その手にはのりません。」
ぷーと頬をふくまらせる。
「可愛らしい僕のお嬢様。
奥様たちが、朝食を一緒にと、食堂でお待ちなのです。なので、ご準備させていただきますね。」
また、だめだったわ。手強いわ。大抵私の涙には弱いと言うのに。おかしいわ。
私は諦めて、身支度を整えてもらう。
お嬢様の髪は、とても綺麗ですわね。
ロバートが顔を綻ばせ微笑みながら、私の髪を櫛でとく。
支度が出来上がった自分の姿をみて、思わず、美少女ぷりに驚いてしまった。