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真面目じゃなくて何が悪い。  作者: エムフォーエーワン
4/5

1人目だぞ、何が悪い。

黒に包まれた白が踊る。

男の繰り出し続ける拳をひらひらと少女は避け続ける。


男は人外だ。さっき見えた顔もそうだが、腕を伸ばし、戻す。その動作が異常な程に早く、連打は正しく『絶え間ない』。


しかし、『勇者』と名乗った少女もまた常人では無い。男の連打をひらひらと苦もなく避け続けている。


「ひったくり。進行度はステージ1。凡雑な身体能力向上と下位の強奪スキル。雑魚中の雑魚。こんなの普通に警察で十分なのに…」


息を切らす所か余裕気に言葉を発する少女…


「こんな小物でも強そうに見えるなんて。ほんとに不便な能力だな〜。」


強そうに見えると呟く少女。しかし、その言葉には自分の方が上だと分かりきってる。その自信が見て取れる。


幾ら拳を放っても紙一重で避けられる。

その事を理解したのか男が連打を急に中断し、右足で蹴りを繰り出す。


簡単にずらしにくい重心、少女の下腹部に吸い込まれるように男の右足が伸び…


「何それ?殴った方がマシだよ。」

男の蹴りは届かない、否、蹴りが届く前に少女の放った高速の拳が男の顔を打つ。


パァァンッ!!弾ける様な高い音と共に男の体が仰け反る。


流れるように少女は動き続ける…

少女が握っていたカッターナイフの刃をギチチチと伸ばし、柄を握り締める…


「コモンスキル『四細線』」


スパッ、スパッ、スパッ、スパッ。


男の首の左右と両方の手首にそれぞれ1ヶ所ずつ細く赤い線が走る。


首の2カ所からは勢いよく。手首の2カ所からはドロドロと。新たな出口を見つけた男の血液が溢れ出す。


「来世を信じろ犯罪者。」

少女が告げる死の宣告。


「あああぁぁぁぁぁあっっつ!!!」

男が悲鳴を上げる。痛みではなく、死への恐怖からだろう。


叫び終わった後。倒れた男の顔は黒に蝕まれ……例えるなら悪魔の顔そのものだった……

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