唐突な事件で何が悪い
頑張りᕙ( ˙꒳˙ )ᕗマッスル
「泥棒っ!!」
住宅地を走っている途中。若い女性の声が聞こえる。
ひったくりか?助けないと!
人より多めの正義感に従い。次の十字路をその声がした方え曲がる。前の十字路の手前まで来た時、上下黒い服を着た男が走り抜ける。
男が走ってきた方を見ると座り込んだ状態で男へ手を伸ばす若い女性が。
迷わず男を追い掛ける。
「まて泥棒!!」
男は速い。が、本気で漕いでいる自転車ならジリジリと距離を詰める事ができる。
「止まれぇっ!」
男の隣に並び、足を勢いよく突き出す。男は勢い良く倒れ、俺も反動で倒れる。
互いにアスファルトの道路上を転がる。
ふぅ、一息ついて改めて相手を確認する。
背丈は俺と同じくらいか、ガタイも普通。
男は無言でボクシングの構えをとる。この状況で逃げるのではなく戦う辺り、かなりの危険人物だろう。
「悪いが俺は強いぞ。」
右足と右腕を軽く引き、左腕を前え突き出す。これでも親父から武術を教わっていたのだ。
両者の距離は5メートル程か。まずは距離をつめないと…そう思った時。俺の考えが甘いと分かった。
「何っ?!」
男が1歩こちらへ踏み込んで来た。問題はその1歩が5メートルの間合いを軽いステップで詰めるとゆう規格外のものだった事だ。
そのまま腰を捻り、右のストレートを繰り出すだろう。避けるか?捌くか?
だがその思考は一瞬、ほんの一瞬痛みに上塗りされる。
「っ?!」 男が踏み込んだ右足が俺の爪先を容赦なく踏み抜いたのだ。
顔面に迫る男の拳。加速の全てが乗った強烈な物だ。やばい、これは……
っと、その時…なんて都合よく助けが来るはずもなく容赦なく顔面へ拳がめり込む。
「がぁぁっ」
一瞬意思が飛ぶ。だが直ぐに受身を取ることで仰向けに倒れながらも頭部を守ることが出来た。
「はっ……はっ……」
強く背中を打った為息を深く吸えない。そして顔面がどうしようもなく痛い。こんな一撃素人では無理だ。
下から見上げる様にして男の顔を覗く。
すると普通では無い点に気づく。目が赤い、血がそのまま目を流れているような赤だ。そして顔には黒い線がいく筋も走っている。それは木の根にも見えなくはない。
「ははっ、人間じゃねーのかよ……」
「うん、『もう』人間じゃ無さそうだね。」
可憐な声が俺の愚痴に答える。
その声の方を見ると声と同じく可憐な少女が居た。
可愛らしさと美しさを両立した小さな顔。髪はキラキラと光を反射する美しい銀髪で腰まで伸びている。肌は髪と同じ程の透き通る様な白で、黒のフリルが沢山付いたワンピースとのコントラストでより美しさが際立っている。
「一般人がいるなんて…まあ、仕方ないか。」
少女はどこからかカッターナイフを取り出し、それを右手で握る。
「こんな小物を私が相手するなんてあれだけど。今はこれしか無いし丁度良かったかも。」
やばい、まさか戦う気か?!
「辞めろ!逃げるんだ!」
精一杯声を振り絞り逃げる様に促す。が…
「気なしないで。私…『勇者』だから。」
その言葉に驚愕する。勇者…人類の危機に立ち向かう者達。現代においては異能力者の犯罪行為を取り締まったり、戦争・紛争行為に介入して早期解決を行う国家公務員。
恐らく現代のヒーローと呼ばれる者達の一角だ。