箱の中で
そうやってラウン達に売られた後。
『ぷにぷに』は、大きめの木箱に入れられて運ばれていた。
ふるふる揺れず、じっとしていた。
「しかし、色なしスライムは初めて見ますな」
「まったくですね」
そんな『ぷにぷに』を連れた二人の運搬人は、とあるところに向かっていた。
「そういえばこいつはいつも以上に大人しいですな」
「蓋を閉めなくても運べる位ですね」
「全くですな」
箱の中の暗闇で、『ぷにぷに』はじっと何かを待っているようにふにゃりとしていた。
「コルスチャーだ。クルーパーはいるかな」
「少々お待ちを」
着いたのは、大きな大きなお屋敷だった。
二人を出迎えた使用人は、主人に伝えに行き、少し経って戻ってきた。
『ぷにぷに』はふるふるしていた。
「どうぞ」
それを聞いて、二人は使用人についていく。
何回も扉をくぐった先に、主人はいた。
「やあ、コルスチャー。それに隣は新人さんか」
「久しぶりだな、クルーパー。隣のこいつはソルナだな」
「はじめまして、ソルナです、今回はこのような場所に訪問させて頂き、ありがたく思います」
「はは、よろしく、ソルナさん」
『ぷにぷに』は、箱の中でふにゃりふにゃりと動いていた。
「さて、クルーパー。久しぶりに大物だな」
「どれどれ、早速拝見させて貰おうか」
コルスチャーは箱をクルーパーの前まで動かす。そして丁寧に蓋を開けた。
中では『ぷにぷに』がふるふる揺れていた。
「おお、何も入ってないかと思ったら、色がないスライムとは。なんとも珍しい」
「スライム自体珍しいといえばそうですが、その中でも初めて見られた色がないスライム、それがこのスライムです」
ソルナが説明を入れる。
「ふむ、話には聞いていたが、実物を見るとなかなかなものだ」
クルーパーは、色なしスライムを撫でる。
「撫でた感触も不思議な何かを感じさせるようだ」
「そうですか?受付いわく持ってきた人は普通にスライムとして扱っていたらしいですが」
「こら、ソルナ、クルーパーは冗談を言っただけなんだな」
「はは、ばれてしまったか」
三人とも、笑った。それにより場が明るい雰囲気になる。
「では、もらっていくぞ」
「今回はいくらになりそうですかな」
「はは、20から30位が私の予想かな」
「流石ですな」
「稀少種のスライムだからね。このくらいいってくれないと」
「全くですな」
「はははは…」
二人の笑い声が室内を満たす。それに対してソルナは笑いながらも混乱していた。
(20?30?どういうこと?)
『ぷにぷに』は、それに答えたのか、ふよふよ箱の中を動いて回り始めた。
スライムの大きさは抱きしめるのに丁度良いクッション位です。
(追記)
一部表現を変更しました。