ほかく。
少し調が変わります。
『ぷにぷに』が驚きから戻れないかように動かなかった。
「おい!こんな所にスライムがいるぞ!」
突然、声がした。
そこには、三人組の人がいた。
「はあ、そんなはずないだろ、ラウン」
「いや、本当だって!あそこあそこ!」
「えぇ、そんなわけ…って本当!?」
「マジでマジで!早く捕まえようぜ!」
ラウンと呼ばれた者と、その仲間達は驚きを隠せないようだった。
『ぷにぷに』は、自分がスライムと呼ばれたことに気付いたのか、ふるふるし始めた。
「なんだ、あのスライム、揺れてるぞ」
「もしかして、何か攻撃をしてくるのか!」
慌てるラウン。
「何いってやがんだ、普通スライムが攻撃なんてしてこないだろ」
「そ、そうだった。ならなんで揺れてるんだ?」
「分からない。とりあえずさっさと捕まえよう」
「そうだな!よし、これでしばらく贅沢出来る!」
「使いすぎちゃだめだからね、ラウン」
「分かってるって」
明るく話しながら、『ぷにぷに』に三人は近付いていく。
『ぷにぷに』は、ただふるふるし続けるだけで、抵抗はしなかった。
こうして、『ぷにぷに』はラウン達三人によって捕まった。
「この子、ぷにぷにしててかわいい!」
『ぷにぷに』は、抱きしめられていた。そうはもう、とてつもない位。
「そんなのスライムなら当たり前だろ…」
「えー。ならラウンは触ったことあるの?」
「あるわけ無いだろ。魔物使いじゃあるまいし」
「ならワレイが魔物使いになっちゃおうかなぁ」
「お前にゃ無理だろ。つかスライムじゃ戦えないぞ」
「ぐぬぬ。ならペットならいい?」
「スライムって貴族のペットだろ。勘違いされて襲われるかもしれないし、止めておいた方がいいだろ」
「えー。こんなにかわいいのに、ぷにぷにちゃん」
「名前を適当につけるな」
『ぷにぷに』は、静かに話を聞いている、ようだった。
そして、とある建物の中に『ぷにぷに』は連れ去られた。
「お願いします」
「はい、了解です。少々お待ちを」
ワレイと呼ばれた者は、しぶしぶ受付にスライムを渡した。
『ぷにぷに』はふるふるしながら、受付の人に連れていかれた。
「あー、もっとぷにぷにちゃんをぷにぷにしたかったなぁ」
「無理無理。流石に冒険にスライムを連れていけるわけ無い」
「それはそうだけど…」
「ま、そのスライムで結構稼げたからいいじゃない」
「でも確かにスライムは高く売れるけど、一年ずっと遊べるほどでは無いな」
ラウンの発言で、場の空気が悪くなった。
「ラウン、さっきからあなたは何が言いたいの?私達の言うこと全部否定するし。折角久しぶりに大きく稼げたのに、それで何が不満なの?」
「ラウン、そんな楽したいなら、違う職にでもつけばいいんじゃないか?」
「い、いや、先をみるのは大事なことであって、」
「しかも、あなたは最近スランプ気味で何も為せていないじゃない」
ラウンは何も言い返せなかった。
そして沈黙が場を満たした。
「『ラウリオレイ』のパーティの方々、査定が終わりました」
沈黙を破ったのは受付の人の声だった。
無言のまま、ラウンが向かう。
それは唐突だった。
「おめでとうございます。今回のスライムは稀少種の一体でしたので、通常の約10倍、600,000で買い取らせて頂きます」
「…は?」
ラウンは、一瞬にして固まった。
「探索者にとって一度に渡すには多すぎる金額なので、こちらの方で一旦全て預らせて頂きます。お使いになられる時は申請頂ければ渡しますので、またこちらに来てください。ではその手続きを致しますので…」
受付の人が淡々と述べる中。
ラウン達は、呆けることしかできなかった。
お金の単位はありません。
(細かい説明はしたい時にします。)
(追記)
語尾が間違えていたので修正しました。
一部表現を修正しました。