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名前、決めた。

 レイモンドは自分の部屋に戻った。そして椅子に座って考え事をしていた。


「名前、名前…」


 スライムは今、彼の頭に乗っている。時折、ふるふると体を動かしていた。


「ぷにぷに、って名前とかは…ちょっと雑かもしれない」


  彼は何故その名前が浮かんで来たのか分からなかった。

 すると、暇になったのか、スライムが頭の上から跳ねて、床を転がっていった。


「ちょっと待って、スライム」


 レイモンドは慌てて追いかける。その間にも、スライムはふにょんと転がっていく。

 そして、壁にぶつかって止まった。


「大丈夫かい、痛くないかい」


 レイモンドがスライムに追いつく。そのまま持ち上げようとして、スライムに避けられた。


「え、ちょっと」


 スライムは壁に沿って進んでいく。


 ふよふよ。ふよふよ。


 角にぶつかると、また次の壁に沿って進んでいく。


 ふよふよ。ふよふよ。


 それを追いかけるレイモンド。

 途中で、気づく。


「壁に沿って動くなら、待ち伏せすればいけるはずだ」 


 そして、先に回って待ち伏せをした。

 何にも気づいていないようなスライムが、近づいてくる。


「今!」


 伸ばした手は、しかしすり抜けた。

 レイモンドは驚いて、周りを見回す。見つからない。

 どこにいるんだ、と目を鋭くして探す。



 見つけたときには、スライムは既に部屋の反対側にいた。


「待て、スライム」


 レイモンドは再びスライムを追いかけた。






「はあ、はあ、」


 結局、スライムはレイモンドに捕まることなく部屋の中をくるくる回っていた。

 レイモンドは疲れ切ってベッドの上で横になっていた。

 今もスライムはまるで勝ち誇ったようにくるくる回っている。


「もう、スライム、なんで君は…」


 くるくるくるくる。


 くるくるくるくる。





 しばらくして息が戻ったレイモンドは、また椅子に座った。


「名前、決めた。スライム、こっちに来て」


 そう言った瞬間、頭にふよんと重みがかかった。


「やっと戻ってきた」


 レイモンドは、頭にいるふにふにを、目の前に持ってきた。

 スライムは、ふよんと揺れたきり、おとなしくなった。


「君は気まぐれで、追いかけっこが好きで、いろんなことに興味がある、そんなスライムだと今日で思ったんだ。だから、スライム、君の名前は、」



 「ノー」



「だよ。昔読んだ本のなかに出てきた、僕が大好きな名前なんだ」


 スライムは、動かない。

 レイモンドは、黙ってスライムの様子を見続けた。


 突然、スライムがふるふるし始めた。そして、スライムの体が、一瞬光った気がした。

 それに驚く間もなく、スライムがレイモンドのほうに向かっていった。そのままぷにぷにな体を彼にすり寄せてきた。

 その行動に、レイモンドは笑って抱きしめた。


「よろしく、ノー」







ここから、レイモンドとスライムのノーとの、日常が始まる。

どうなるか、それはまだ誰にも分からない。











これでこの章はおわりです。

次はノーちゃんと出かけて色々するお話になる…予定です。

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