であい、そして。
固まったレイモンドの頭上に降り下ろされる角。
しかし、その凶器は当たる前に宙に止まった。
「え、」
なんで、という前に気付いた。
明らかに不自然な位置で止まった角。
つまり、
「誰かと契約している…?」
そして、その契約者が指示をしたということだろう。
「レイモンド君、大丈夫かい!?」
クルーパーの声が、遠くから聞こえてくる。
そう、この魔物と契約を結んでいるのはクルーパーだった。
レイモンドが迷い込んだのは、気性の荒い魔物が多くいる場所だった。
その魔物達を押さえる為にいた魔物に彼は襲われた。
それは、近付くと襲ってくる狂暴な魔物、レグローであったのだ。
そして。
スライムを無事捕まえたレイモンドは、客間で待っていた母親に怒られた。
「レイモンド。迂闊な行動が死を招くのです。今度からは先程のようなことをせず、素直にクルーパー達に任せなさい。頼れる人がいるときは頼るべきです。貴方はまだ未熟者ということを忘れないように」
「はい、すみません、母上」
「はは、フリダンカさん、レイモンド君も反省しているようだから、許してあげて欲しいな」
「貴方は貴方自身の失敗があるでしょう。何故そのスライムと契約を結んでいないのですか」
フリダンカはレイモンドの隣でぷよぷよしているスライムを見た。
「我々に非があることは認めるよ。でも、スライムと契約を結ぼうとしなかったわけではないんだ。結べなかったんだ」
クルーパーの話では、何度も契約を結ぼうとしたが、上手く結べなかったそうだ。
「契約が失敗することなんて、まず無い。それが続けて失敗したのだから、どうしようかといったところだったんだ」
「そういうことですか…」
それきり、フリダンカは口を閉じた。
沈黙が広がる。
それを破ったのは、スライムだった。
スライムがレイモンドの身体を登り始めたのだ。
「ちょっと、スライム、どうしたんだ」
レイモンドの肩の上でふよふよ動く。
レイモンドはくすぐったそうにしている。
「これは…」
クルーパーはその様子をまじまじと見て、
「レイモンド君。そのスライムを初めての魔物にしないかい」
「クルーパー、どういうつもりですか?」
フリダンカがクルーパーを睨んだ。
「このスライムは、誰にもなつかなかった。それが、今レイモンド君に体をすり寄せている。これはスライムの友好行動なんだ。そしてスライムは初心者向けでもあるし、まさにぴったりだからだ」
「だからといってレイモンドが危険な目に遭った元凶の魔物を、契約も無しにレイモンドに『使わ』せるというのですか」
フリダンカは強い口調で反論する。
それに、クルーパーは落ち着いて対応した。
「そうではないよ、フリダンカさん。レイモンド君なら契約を結べるかもしれないんだ」
バトルはまだ書きませぬ。ぬぬぬ。
書くことになるのかな…?