第十一話 ちょっと二人とも!コメディなんだからなんかボケとこうよ!
長い間更新してなかったくせに、なんだその分の短さは!なんて怒られても文句の言えない分の短さ!ホントごめんなさい!意外と進学校って大変なのよね!
とまあ、こんなくだらない言い訳をまえがきに書いたこともプラスアルファで深くお詫びします<(_ _)>
今後はできる限り早く更新できるように頑張りますので、見捨てないでね!あと、このサイト見れない間にたくさんの感想をいただいてますいた!本当にありがとうございました!感想をくださった方々、返事書けてなくてすいませんでした!あと、本当にありがとうございました!
長くなりましたが、それでは本編へどうぞ!
「やっほ〜、神谷くん。」
「ああ、文月か。」
俺の試合からさらに一、二試合が終わった後、座って広がる草原を眺めている俺の後ろから文月が話しかけてきた。たった今この世界に戻ったらしい。一度この世界から外に出ると、戻ってくるのには少し時間がかかるらしいな。
「いやいや〜、まさかあんなに綺麗に負けるとは思わなかったよ。それにしても、どうやったの?詳しく教えてよ?」
「ふん、首を切られた時点でおおよそ解ってはいるんだろ?わざわざ聞くことでもないだろう。」
あの試合、俺が如何にして心を読めて、且つ情報系魔法を完璧に使いこなす文月の裏をかいたか?それは単純に情報系魔法の隙をついただけだ。
「まず第一に、お前を斬る前にも言ったが、お前はあの魔法を使いすぎた上に、依存しすぎてんだよ。だからそのメカニズムを俺に解析された上に、それを逆手に取られて負けたんだよ。」
俺の分析はこうだ。心の中、それは他人から見れば単なる情報にすぎない。何を考えているか、何を見ているか、それは脳が周りの情報を吸収し、電気信号という情報を送っているだけのことだ。なら、それを読み取るのは情報系の魔法だと俺は推測したんだ。
そして、次に情報系の魔法の欠点。情報魔法が入手する情報は膨大だ。しかし、その情報を読み取るのは魔法でもなんでもなく、人間の脳なんだ。人間の脳はそこまで言うほど優秀じゃない。故に、そんな膨大な情報を脳に取り入れる情報魔法を使っている間、ほかの魔法を使うことができないんだ。
「大体、あの弓を出した時点で怪しいとは思ってたんだ。お前が作り出した弓、観察してみたが、ありゃ普通の弓で何の魔法付属効果もなかったろ?」
具現化系の魔法で武器を作る利点、それはこの魔法付属効果にある。自分で作った武器には、何かしらの特殊効果をつけれたりする。弓でいえば、矢が燃えるとか、矢が刺さったものは凍りつくとか。
そんなものもないのに、なぜそんな未完成ともいえる具現化系の魔法を使っていたのか。そんな弓を使うくらいなら、魔法を使ったほうが誰だって強いはずなのに。その理由は簡単だ。情報系魔法のせいで、普通の魔法が使えないからだ。
「へえ、流石神谷君。すごい頭の回転だねぇ。」
「まあ、といっても確信を持てたのは砂埃上げてからだけどな。」
砂埃を上げてから、文月は挑発のように話しかけてきた。だが、見方を変えれば違う解釈もできる。文月は、本気で俺の心理を読めていなかったのでは?それを隠しつつ、俺の心理を内情を知るためにわざとらしい言い方をして、まるで挑発のように俺に質問し続けていたのだ。
その証拠に、こいつは俺のウソにあっさりだまされたのだ。
「にしても俺が矢が刺さった時に痛いって言ったのを、あそこまであっさり鵜呑みしてくれるとは思ってなかったがな。」
弓矢が俺の腕に刺さった時、確かに腕は動かなくなったが、実際は痛くもかゆくもなかったのだ。だが、俺はとっさにウソをついてみたのだ。それをこいつは嘘だと思わずに信じた。それこそが、こいつがその時に俺の心を読めていなかった証拠。おおよそ、俺の位置を探るためにエリアサーチでも使ってたんだろう。そうでもしないと、狙えるはずはないからな。
「それじゃあ、最後にひとつ。どうやってあたしのエリアサーチをごまかしたの?確かに、神谷君の生体反応はなくなってたはずなのに。」
「ああ、あれか?あれは陣術の一種だ。複製魔法。俺と同じ体を複製する魔法。だけど、心は複製できねえ上、人間の体としての活動は行われてねえから、そこには死体とまるで変わらない俺の体が残るわけ。」
「それじゃあ、どうやって逃げたの?ずっとエリアサーチで神谷君の周囲を見てたんだから、いきなりそんな複製ができたら気付くはずだよ。」
俺はその質問にだけは、ニヤッと笑うだけで答えることはしなかった。
「勝手に心でも読んで調べるんだな。」
それだけ告げると、俺はただっ広く続く景色に視線を戻した。だが俺がそういった後も、文月は俺の心を読もうとはしていなかった。
「……いつまでも読心魔法に頼ってちゃだめだよね。神谷君の策の正体は、自分で考えることにするよ。」
そう言って、文月は俺の横に座った。
「次の試合始めんぞ!藤堂、久瀬、集合!」
赤羽の声が耳の鼓膜を通して、というよりは直接頭に響いてきた。この尋常じゃなく広い空間、魔法ですべて構成されてるおかげで本当にいろいろと便利なもんだな。
「さて、この試合、相手の久瀬とかいう奴はかわいそうだな。相手がキョウじゃあ勝ち目はねえな。」
「そうかな?あたしはキョウくんの方がかわいそうだな。」
「……ほう。」
文月の意味深なセリフに、俺は少し興味をひかれる。
「ともくん……ああ、久瀬くんのことね。彼ね、この学校のレベルで見たら魔法はすごくないかもだけど、すごい身体能力があるんだ。それに、それだけじゃない。その身体能力を生かすことのできるすごい魔法があるんだよ。」
そう言って俺を見る。そして、詠唱破棄で何かの魔法を使ったようだ。
「うん、身体能力のレベルなら、神谷君すらも遥かに凌駕するよ。身体能力、自信あるんでしょ?」
「ふん、喧嘩は技術でやるもんなんだよ。身体能力だけでやるもんじゃねえ。」
「技術だってあるよ。彼は、たぶん君よりも。」
文月は、いつもの笑みを浮かべるでもなく、真剣に俺を見る。正直、俺は喧嘩には相当自信がある。魔法を使わずに、素手だけで魔法を使う奴を圧倒したことだってある。だが、遥の目は、本気で久瀬は俺より強いと信じて疑っていない。おそらく、それも真実だからだろう。
だが……
「それでもキョウが勝つさ。あいつに勝てるやつは、この世に二人くらいしかいねえさ。」
俺はそれだけ告げると、そろそろ始まるであろうキョウの試合を見るため、試合場へと足を進めた。
「ふ〜ん、気になるね、その二人って。」
その俺に並んで、文月もまた歩きだした。ここからは歩いて大体10分弱くらいか。そのころまでに、試合はどう動いてんだろうな?
「……うそだよね?」
試合場についての文月の第一声がそれだった。
「いやいや、マジだよ、マジ。」
それを言ったのは、すでに試合を済ませたキョウの
「まあ、当然のこったな。」
俺はそう言って、先ほどまでの戦場を眺める。
どうやら、今回のフィールドは森林だったらしい。らしい、と言うしかないのは仕方がない。別にフィールドがもう消されているからじゃあない。
……もう、そこには何があったのか、判明できないほどにぐちゃぐちゃにされていたからだ。そこにあったはずの木々は完全に焼き払われ、その粉々にされた木屑は全て吹き飛ばされ、地面はぐちゃぐちゃの泥のようになっている。
俺たちがここに到着した時点で、すでにキョウの勝利は決まっていた。完膚なきまでの、圧勝で。
「いや〜、でも中々に久瀬くんも強かったよ。実際、こう見えて勝てたのはぎりぎりの差だったからね。実はさ、もう治してもらったけど片腕斬られたし。」
そう言って、キョウはすでにくっついている右手を見せた。口では笑って見せているが、短時間での激戦が繰り広げられたことだけは俺にも理解できた。
「ほらな、言ったろ、文月?どうあってもキョウが勝つって。」
すでに文月は、いつもの笑みを浮かべる余裕もないようで、俺の言葉すら耳に届いていないようだった。
続く