1/2
その戦い
廊下中に大きな、空気が破れるような大きな音が響きわたった。掃除用ロッカーが倒れる音だ。
「バリケードが破られるぞ!」
生徒の一人が叫んだのとバリケードが破られたのがほぼ同時だった。そして次の瞬間には、廊下中が一気にどよめいた。
「よし、このまま進むぞ!」
今度きこえてきたのは敵の声だ。敵も相当必死のようで、今にもかれそうな声だ。
気がつくと、敵はバリケードを破っていた。無惨に押し倒された掃除用ロッカーを、敵は死に物狂いで乗り越えてきた。
だいたい、二十人くらいだろうか。ものすごい勢いでこちらに迫りくる。
対してこちらはその倍以上はいるはずだ。
人数的にはこちら側が圧倒的優位にあるはずなのだがどうやら、こちら側はかなり危機的状況にあるらしい。敵はもうすぐそこまで来ている。
だが……。敵をこれ以上進めさせるわけにはいかない。この先では生徒会による会議が行われている。
何としてでも守りとおさなければならない。何としてでも。学校を守るためにも。
怒号のような声が飛び交う中、氷室祐輔は立ち上がった。