↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アボガド売りの少年  作者: あまやま 想
日本帰国後
PR
50/55

気持ちがあれば必ず伝わる

 今こそ、もう一度話さないといけないと感じた。そうしないと一生後悔するのはないかと感じたのである。私は今思っていることや、これからやろうとしていることを全て親に伝えた。親は全てを分かってくれたのかよく分からない。


「まだ、決まったわけではないけど、まずは一生懸命やってごらん。ここ何ヶ月かのカナの頑張りは、きちんと私達に伝わったから…」


「母さんの言う通りだよ。カナが軽い気持ちで将来を考えているわけでなく、自分のやりたいことのために真剣に向き合おうとしていることがよく分かった」


と、両親が言ってくれた。私は必ず、このチャンスをつかんでみせると固く心に誓った。試験の日、これまで面接では幾度無く上がって、途中でしゃべれなくなることがあったのに、この日に限って、落ち着いてすらすらと話せた。また、筆記試験もそれなりに手応えを感じた。


 二月、ようやく結果が届いた。私はおそるおそる通知を開ける。面接ではやれるだけのことはやった。仕事に対する心構えと熱意を聞かれたら、


「中南米に骨を埋める覚悟です」


ときちんと言い切ることができた。スペイン語力を試す筆記試験や面接もやれるだけのことをやれた。今回、採用されるのはたった一人だけ…。もし、ダメだったとしても、ここまでやれたら十分だとさえ思った。


 サルドノでの二年間と、日本へ帰ってからの半年間が走馬灯のようによみがえる。これまで、たくさんつらいこともあったし、たくさん苦労した。でも、それ以上に得るものがたくさんあった。その答えが今出るような気がした。


 手が震えて、なかなか封を開けることができない。このままではいけないと思い、あわててはさみを探す。そして、ようやく見つけたはさみで封を切る。やっと、封を開けることができた。


「えっ!」


 思わず大声を出してしまった。ダメかと思っていたのに、合格していたからだ。私はあわてて、自分の部屋を飛び出した。そして、一階の台所で夕食を作っている母親に、合格したことを告げた。


 母は大喜びをした。それを見て、私はこれが紛れもなく、現実であることを改めて感じた。完全に希望通りとはいかなかったけど、再び、世界を相手に働けることをうれしく思った。海外でこれまで培ってきたスペイン語を使って交渉したり、商談をまとめたりする。そのように海外の人を相手に仕事をすればするほど、間接的に国際協力や国際援助につながると私は信じている。


 ボランティア集団協力隊を終えた後、直接、国際協力や国際援助などに関われるのはほんの一握りである。その多くは日本で国際援助などと何の関わりのない仕事をすることを選ぶ。中には小学校や中学校の教員として、教育現場にてこれまでの経験を子ども達に伝える道を選ぶものもいる。


 しかし、どの道を進んだとしても、ボランティア集団協力隊員として培った世界を思う気持ちはけして消えることはないだろう。その輪は、帰国後も途絶えることなく永遠に続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。