一度動き出したら止まらない!
九月二〇日、とうとうクラセ・アビエルタの日がやってきた。少しでもたくさんの保護者に授業を見てもらうために、授業参観は二時間行うこととした。
最初は算数、二時間目はスペイン語の授業をそれぞれ行うこととなった。そうすることで、子どもが二人以上いる家庭でも、全てのクラスの授業が見られるように工夫した。
小学生の子どもが三人以上いる家庭のために、授業中の出入りも自由とした。しかし、授業中に廊下などに出て、会話をし出す保護者も予想されたので、授業中の私語は厳禁であると、地区教育事務所長からのお達しがあった。
この日、藤木君も朝からサンホセに駆けつけてくれた。彼が来たことで、私とは違ったアドバイスがもらえると、カンディダ先生は喜んでいた。
やがて、授業開始に合わせて、多くの保護者がやって来た。まあ、それでも多いクラスで児童三〇〜三五人に対して、保護者二五名ぐらいである。これは一番丁寧な授業と、事前の連絡もきちんと行ったカンディダ先生の場合である。
一方、何もきちんとした準備もせずに、いつも通りの一問一答式の授業をしたクラスは保護者が三名しか見に来ていなかった。しかし、そのことを全く気にしていなかった。
どちらかと言うと、保護者がほとんど来なかったことを安心しているようだった。この温度差をどう埋めるかが、これからの私達の課題である。
学校全体では一五〇名ほどの保護者が来ていた。クラスによって偏りがあるものの、一回目にしてはまずまずであろう。これなら、二回目、三回目をしていく中で、保護者の口コミなどでクラセ・アビエルタのことが広がっていくことが、これまでの仲間たちが築き上げた過去のデータでも明らかである。
十クラスで一五〇名と言うことは、平均すれば一クラスに十五名が来たことになる。今日は私が参加人数を教えてしまったが、次からは自分たちで数えてもらって、自分たちで分析もしてもらうようにしようと考えている。
このことは藤木君とも話した。もちろん、この日の授業が終わった後に、校長と地区教育事務所長にも話しておいた。藤木君は私の言いたいことをすぐに理解してくれたが、校長達はいまいちよく分かっていないようであった。しかし、三回ほど説明して、何とか分かってもらった。
また、十名の先生に一人ずつ授業のいい点を書いてまとめた紙を二人で作ってから、一人ずつ先生達に手渡した。これは全ての先生が喜んでくれた。中にはカンディダ先生のように、「問題点も教えて欲しい」と言う人もいたので、そう言う人には問題点も丁寧に教えた。
しかし、そうやって聞く先生には大した問題点はない。本当はそう言うことをわざわざ聞かない教員の授業こそ、突っ込みどころ満載なので、いろいろと言って説明したかった。
だがそれをやると、せっかく芽生えてきたやる気を削ぐ結果にもなりかねないし、一回目なので大目に見ることにした。まずはどんな形にせよ、クラセ・アビエルタを学校行事として定着させることが最優先である。




