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第2話 チュートリアル、もう戦闘ですか

 地面には芝のような草があったから、それほど痛くはなかった。

 が、状況を飲み込む間すらもらえず、俺の身体の上にその猫耳少女が乗っかってきた。


「ご主人様っ、来てくれたんですね! ずっと待ってたんですよ!」

「ご……ひ、人違い人違い。俺、ここの住人じゃない」

「分かってます! わたし、地球でご主人様に助けてもらった猫です!」

「地球で助けた猫……」


 『お前は生前、1匹の猫を助けた。その功績をもって……』


 俺の頭の中に、ついさっきおじいさんに言われた言葉がリフレインする。


「で、でもごめん。俺、猫を助けた覚えがないんだ」

「多分そんなことだろうと思ってました! ご主人様は優しいのに色々うといところがあるので!」

「ううーん、うといと言われても、どうにも思い出せないんだよ。俺、何したの?」

「ハンバーガーをくれました!」

「……ハンバーガー? それって、猫にあげて良い物なの? そもそも。あげた覚えもないけど」

「ここじゃなんなので、まずは街に行きませんか? そこでお話ししましょ、ご主人様!」


 街には元々行くつもりだったけれど、よく考えると身分証も何もないわけで、既に住人のこの子が付き添ってくれるのなら怪しまれない、かも?

 少々打算的で引っかかるけれど、俺はこの猫耳少女の言葉に乗っかる事にした。


「じゃ行きましょうっ、ご主人様!」

「うん、分かったしそうするけど、君が乗ったままだと俺は動けない」

「ひゃあ! ごめんなさーい!」


 ぴょんと俺の身体から飛び退く。うっかり系の娘さんかな? この子は。


 俺を先導して、少し前を歩く猫耳少女。近くで見ると、その尻尾のふさふさ感は結構すごい。

 手入れも行き届いている感じで、毛並みというか尻尾の毛にツヤを感じる。


 後ろ姿を見る限り、そのボディーは引き締まっており、鍛えられている。

 衣服は、ちょっとガサガサした感じの生地感で、麻だろうか? 綿の感じではない。


 この子はものの数分も掛からず街から駆けてきたが、こうして歩いていると、そこそこの距離はある。

 少し話しかけてみようか。


「ねぇ君、君の名前は?」

「わたし、レイアって言います。ご主人様は?」

「相沢カナタだけど……ご主人様なんて呼ぶ割には、俺のことあんまり知らない?」

「あは、ごめんなさい、そうなんです……助けてもらっておいて、なんですけど……」


 一体いつのことなんだろうな。

 ハンバーガーというキーワードをもらってもなお、猫を助けた出来事は浮かばない。


「俺、ついさっきこの世界に来たばかりで、この世界のルールとかよく知らない。けど、俺自身がご主人様なんて柄じゃないから、名前で呼んで欲しいかな」

「そうなんですか? それじゃあ、カナタさん、って呼びます?」

「うん、そうして欲しい。俺もレイアさんって呼べば良い?」

「ご主人様はご主人様なので、レイアって呼び捨てにして下さい。さん付けで呼ばれると、少し気持ちが落ち着かないです」


 うーん、乙女心、ややこしいな。あまり関わってこなかった分野だし、よく分からん。


「じゃあレイア、少し教えて欲しい。今俺って、どういう所にいるの? 地球と比べて違う事は?」

「ここはハスティアナ王国の王都、ハスティナの近くです。わたしも説明を受けただけで受け売りなんですけど、この星って地球と提携関係にあるんだそうです」

「へっ?! なにそれ」

「なんでも、地球で不遇の死を遂げた人や、色々な事情があって地球よりここの方が良い人や動物を、地球から移送する先がここなんですって」

「へぇ……そんなのがあるんだ。隠されてた真実、みたいなものなのかな」

「どうでしょう? わたしもここに来て初めて説明された時には驚きました!」


 そう、か。レイアは元々猫だった。けれどここに来て、猫耳少女になった。

 俺は不遇の死の枠で、レイアは色々な事情って枠でもって、きっとここに来たんだな。


「レイアは、えっと、この世界で言うと何になるの? 獣人、みたいな?」

「はいっ、獣人族・猫科です! 他にもいっぱい、色んな『族』があって、色々な姿や歴史を持ってるんです!」


 歴史。エルフとかそういう長命種とかもいるのだろうか?

 それに聞き落とせないのは、レイアはこの世界で説明を受けたと言ってる。

 まさにチュートリアルを進んでいる感じだけど、俺もきっとその説明を受けるんだろうな。


「……そう言えば、この世界に来る時に、魔法があるって聞いたけど、そこは?」

「魔法、ありますよ! わたしはあんまり得意でないんですけど、火を扱ったり氷を作り出したり、色々派手です!」

「色々派手、ね」


 魔法が使えたら面白いなと思ったことは、日本で生きていればきっと誰でもあったと思う。

 実際に魔法というのが使える世界に来たけれど、まだその全貌は見えない、か。


 と、突然ピコンと音が鳴った。

 目の端くらいの位置に、ウィンドウが出現している。なになに……


『注意:左側方から危険度1の存在の接近

 推奨:戦闘実施 成功率98%』


 えっ、戦闘だって?!

 俺はウィンドウの表記から左を向いて身構えた。

※第10話までは毎日21時更新予定です。続きもよろしくお願いします。

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