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地球の提携先で、同郷の女の子(猫)とスローライフしたい ~チュートリアルが妙にしつこい件~  作者: 夢ノ庵


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第12話 ざっくり100匹の換算で良いですか?

 各部屋にそれぞれ4~5匹のゴトロリが、ベッドの下や家具の影に潜んでいたそうだ。

 それらも全てまとめて、2階の廊下に無造作に積み上げていく。


「かなりの数いたね。部屋の方もありがとう」

「いえいえ、カナタさんの駆除法が素晴らしかったです。床も、わたしが踏み潰しちゃった所以外はキレイなままですし……」


 階段を上がってすぐ左手の所は、ゴトロリの血と体液で床が汚れている。


「で、ゴトロリの駆除は終わったけど、ギルドにはどう報告すれば良いの?」

「普通のゴトロリ依頼だと、駆除の証明ができる部位を持っていって報告するんですが、数が……」


 そうだよね。この数から全部、証明できる部位を切り取っていたら、せっかくキレイに駆除したのが台無しになりかねない。


「ギルドの人にここに来てもらうみたいなことって、できるのかな?」

「はい、できます。その方が手っ取り早いですね。今呼んできます!」


 と、レイアはパッと階段を駆けて行ってしまった。

 俺は、とりあえず駆除できたことをさっきの店の人に報告でもしようか。


 俺も俺で、階段を降り、外へと出た。


「おい兄ちゃん、ど、どうなんだ? もう中にゴトロリは、いないか?」


 さっきの人が駆け寄ってきて、怯えた様子で問うてくる。


「生きてるゴトロリはいませんけど、死骸は山積みあります」

「うへぇ! 後からギルドに追加で依頼を出すから! 死骸も片付けてはくれないか」

「あ、それと、駆除する時に1匹、体液ぶちまけちゃったのがいたんですが……」

「うげぇ! それも追加で依頼するから! 清掃もやっちゃくれんか……?」


 まぁ、掃除くらいなら掃除道具さえあればできる。

 俺の一存で決めていいのか少し迷ったが、この店員さんの怯え方では掃除もままならないだろうし。


「良いですよ。掃除道具、勝手に借りても良いですか?」

「あぁあぁ! 何でも店の中にある物は自由に使ってくれ! 必要な物があれば買ってくるぞ!」

「いや、そこまでは……ただ、血の跡はちょっと残っちゃうかも知れないです」

「血の跡かよ……それは、敷物でも敷いてごまかす。とにかく清掃を頼む!」

「分かりました、店内の道具、使いますね」


 俺はひるがえって、再び店内に戻った。


 *


「なんて数なんでしょう……」


 黒縁メガネのギルドの女性は、2階の廊下を塞ぐほどに山積みされた死骸を見るや、腰が抜けたのかその場にへたり込んだ。


「あと、お店の人が死骸の搬出と清掃を追加で依頼するそうです。清掃はもう終わりましたけど」


 俺は立て掛けておいた汚れたモップを指さす。


「はい、追加依頼を頂いています。それにしてもお掃除まで……本当にお疲れさまでした」

「いえいえ。それより皆さん何でこうもゴトロリに弱いんですか? 実は何か酷く害があるとか?」

「ゴトロリは、生活害獣のひとつに過ぎないですが……ゴトロリを好きな人はいません」


 キッパリ。そんな感じの強い言い方で言い切った。


「まぁ、俺の世界にもやけに嫌われてる虫がいたんで、分からなくはないですが……」

「ゴトロリの虫ですか? 虫くらい小さいと、こう、何かの隙間から出てくる、とか……?」

「そうですね。ドアの下の狭い隙間も自由自在に出入りするって聞いてましたけど」

「地球にはもっと怖いゴトロリがいるんですね……私もこれ、数えたくないので、ざっくり100匹の換算で良いですか?」


 良いですかと言われても。さすがに100匹はいなかったとも思うが。

 それに第一、今回の依頼を受注したのは、レイアだ。俺の一存で決定はできない。


「レイア、100匹分の仕事で大丈夫?」

「はい、少なくとも損はしてないです! あとはカナタさんに全部お任せしますっ!」


 なんか知らんが任されてしまった。

 俺たち的には損はないのだろうが、ギルドの方はそれで大丈夫なのか?


「ギルドとしてもそれで大丈夫ですか? 正確さに欠けますけど」

「本来であれば全て数えるのが筋ですが、これ私が数えるとか、もう本当に無理なので……責任者の権限で、通します」


 それで良いものなのか? 組織として。

 まあそれだけゴトロリは嫌われ者ってことか。


「死骸の搬出もお願いして良いですか? 先ほどギルドとして店主さんから正規に依頼を受けましたので、追加報酬をお支払いできます」


 おっと追加報酬。嬉しい響きだ。

 とは言え、100匹はいないにしても軽く50匹は平気で超える小型犬サイズの生き物だ。

 搬出するにしても、両手で持てるだけ、ではかなり時間が掛かる。


「店主さーん、荷車みたいな物ってあります?」


 さっき怯えた様子だったいかつい男性は、この店の店主だった。

 俺が聞くと、ようやく落ち着いたのか、威勢の良い声で、


「荷車の用意はできる! ただ、必ず布を掛けて運び出してくれ。ゴトロリの姿が見えるのはまずい」


 と返ってきた。ちなみに1階からである。店主なのに、現場の2階には上がってこない。


「そういうもんなんですね、ゴトロリ。布は、用意してくれれば見えない様に掛けますよ」

「分かった、荷車は階段下に付ければ良いか?」

「はい、助かります」


 これで運搬は問題なし。いや、捨てるにしても場所を選びそうだな。


「あの、ギルドの……」

「えっ、あっ。私は生活者ギルドの責任者、ルリィと申します」

「ルリィさん。ゴトロリの死骸って、どこに持っていけば良いんですか?」

「街外れの教会まで運んでください。神父さんの聖魔法で処理すると、魔力結晶だけが残ります」

「その魔力結晶は、どうすれば良いですか?」

「討伐対象の魔力結晶は、討伐なさった方に帰属します。ご自由にお持ちください」


 ふむ? 魔力結晶はお金に替わるそうだし、労働した分も損はしないようだ。

 とっととこの死骸の山を片付けて、ギルド登録も済まそう。

 いつまでもレイアにおんぶにだっこじゃいけないからな。

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