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第11話 いやそれもう分かったから

 どれ。


「プギュー」


 踏んではみたが、上手く踏めなかった。鳴かせただけに終わった。

 小型犬ほどある生き物を『踏み潰す』のは、頭では何とかなっても身体が拒否る。


「俺、こいつら踏み潰せないかも」

「慣れれば簡単ですよ、見ててください!」


 と、レイアはその足下に寄ってきていたゴトロリを、床に垂直の強いひと踏みで、見事に潰した。

 ただやっぱり懸念は当たる訳で……


「床、かなりゴトロリの体液で汚れてるけど、大丈夫なのそれ?」

「えっ? あぁ……」


 レイアは少し困り顔になって、こちらに来た。


「これまでお外でのゴトロリ駆除は受けたことがあったんですが、屋内は初めてで……」

「ここって、多分だけど宿になってるよね? 部屋の配置とか見る限りだけど」

「そうっぽいですね、床が汚れると、しかもそれがゴトロリの体液だと、ちょっと良くないかもでした……」


 勢いで駆除先に来てしまったが、踏み潰すとそれはそれで問題がありそうだ。

 俺は少し考えた。


 ゴトロリは、実質的な害は無い生き物のようだ。

 スライムの時は、チュートリアルがあれこれ口を出してきたが、今は沈黙している。

 危険性はないとしても、増えるスピードが速そうなのは、さっきのメッセージから分かる。


「ねぇレイア。ゴトロリって魔物?」

「はい。魔物の一種です、害獣ですから」

「噛み付いてきたりするの?」

「ゴトロリに噛まれた話は、聞かないですね。みんなすぐ逃げちゃうからかも知れないですが……」


 攻撃性も低いらしい。だとしたら、選択肢は絞られる。


「これさ、ひっくり返して喉の辺りを潰せば、体液も出させずに駆除できると思うんだけど、どうだろう」

「ちょっとひっくり返してみますね」


 俺の提案に、レイアは手近にいた1匹をガッチリと両手でホールドすると、お好み焼きでもひっくり返すようにして裏を向けた。


「なるほど、ひっくり返すと、もうそれだけで動けないのかこの魔物」

「みたい、ですね……喉は、ここでしょうか」


 レイアがゴトロリの頭の少し下に指を当てる。


「ちょっと俺にやらせて」


 と、俺がしゃがんでいるレイアの横に立つと、ピュイーピュイーと2度鳴った。


『警告:ゴトロリが間もなく増殖します』


 えっ、もう? さっき増えたって告知があったばっかりじゃん。

 ともかく俺はウィンドウから目線を外し、ゴトロリの首っぽい所をグッと押してみた。

 プギャ、と一鳴き。更に力を加えると、小枝を折った様な感触が手に返ってきた。


 ピロン、と鳴る。


『情報:ゴトロリを討伐しました。経験値12を獲得』


 おっ、やれたか。この方法だったら、床を無闇に汚さなくて済みそうだ。


「レイア、今俺がしたみたいに、ひっくり返して喉を潰そう。体液が出なくて済む」

「はいっ、分かりました!」


 そう言ってレイアは奥の方に駆けていった。

 俺は足下のもう1匹もひっくり返し、喉をグイッと押し潰す。またピロンと鳴る。


『情報:ゴトロリを討伐しました。経験値12を獲得』


 いやそれもう分かったから。同じ告知は省略、とかできないものか。うざったい。

 と俺がお節介ウィンドウに嫌気が差している時、奥からレイアの声でキャッと聞こえた。


「レイア大丈夫?!」


 俺は立ち上がり、急いでレイアが行った廊下の奥まで進む。

 そこには、山積みになってるゴトロリがいた。それぞれウズウズ動いていて、確かにこれは気持ち悪い。


「油断しました……突然増えるなんて」


 レイアは尻餅をついた格好でゴトロリの山を眺めていた。


「放っておくともっと増えるといけない。早めに数を減らそう」

「は、はいっ、カナタさん」


 そこからは、ひたすら作業だった。

 甲羅を持ってひっくり返して、喉に指を押しつける。ピロンと鳴るが分かりきった内容なのでもう無視。

 俺もレイアも、言葉もなく黙々とゴトロリの喉を潰していく。


 しばらくそうしていると、不意にピュイと鳴った。ステータスが開いた時の音だ。


『レベルが1上がりました。配分できる経験値があります』


 今は経験値の配分なんてしてる余裕は無い。

 喉を潰したゴトロリの死骸をかき分ける様にして、新しいゴトロリを駆除し続ける。


 ――しばらくそうしていて。


 動いているゴトロリの数は、ようやく数えられる程度だけになった。

 俺もレイアも、ずっと中腰での作業だ。ちょっと腰への負担が辛い。


「あと3匹ですね、カナタさん」

「ああ。隠れてるのとか、いないかな」

「じゃわたし、全部のお部屋を調べてきます! 残りはお願いします!」

「分かった。潰し残しがあるといけないから、しっかり見てきて欲しい」


 はいっ、と元気良く立ち上がったレイアだったが、やはり中腰作業はキツかったのだろう、腰の辺りを自らさすっていた。


「さて、さっきから見てなかったウィンドウ」


 俺は視線を動かして、幾つもたくさん重なって表示されてるウィンドウをざっくり視界に入れた。

 レベルアップのウィンドウが3枚、それから討伐のウィンドウは、無数にあった。

※ここからは、月水金+土or日の21時10分の投稿に切り替えます。引き続きよろしくお願いします。

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