表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

第10話 非推奨:甲羅の上からの攻撃一切

 レイアの後ろに続いて、街の中を駆ける。

 レイアは足が速い。敏捷を上げた方が良かったかも知れない。


「ごめんなさい! 速く走りすぎました!」


 曲がり角で待っていたレイアと合流する。

 さっき筋力を上げたはずだが、走ってみてもあまり実感は湧かない。たった3だし、そんなものか。


「いや大丈夫。街の中だから迷子にもなりづらい。それで、ここの通りなんだよね? 食事の香りのする」

「はい。あそこにある『男酒場ルイス』からの依頼だそうです」


 男酒場。何とも汗臭そうなネーミングである。

 ゴトロリ退治は、そんな男衆でも嫌がるような代物なのか。


「じゃあ早速行こうか。ゴトロリで困ってる人がいるんだよね?」

「はい。依頼の内容としては、建物内のゴトロリの駆除。今は2階から降りてこない様に何とかしてる最中とのことでした!」


 なるほど、2階に害虫は集まってる訳か。

 まだゴトロリに出くわしてもいないが、何匹も気持ち悪いのがいたら、確かにちょっと嫌かも知れない。


 俺はそんなことを思いながら、『男酒場ルイス』の入口のドアを開けた。


「お客さん! 今はゴトロリが出ちゃったから営業中止だ」

「いや、俺達は飲みに来た訳じゃなくて、ゴトロリ退治に来た」

「何?! もう手配が付いたのか、さすが生活者ギルドだ」


 毎日トレーニングしていそうな屈強な身体付きの男性が出迎えてくれた。


「ゴトロリは2階ですねっ?」


 俺とレイアは店内に入り、2階へと上がる階段を確認した。

 階段の真ん中くらいに、樽やら机やらでバリケートが組んであった。


「お嬢ちゃんまでゴトロリの駆除するのか? あんなおぞましいのを」

「わたしは地球出身なので、ゴトロリ、怖くないです! こちらの男性もそうですきっと!」


 きっと、という言葉が何かのフラグの様に感じられ、ちょっと背筋が寒くなる。


「じゃあ、あとは頼んだ」


 その男はそれだけ言い残し、建物から飛び出していった。

 既にフロアには誰もいない。厨房の方にも、ひと気は無い。


「まずあのバリケードをどけないと、2階に上がれないね」

「そうですね。ただ完全に取っ払っちゃうと、ゴトロリが1階に逃げるといけないです」


 さっきまで人がいたであろう痕跡があちこちに残る酒場のフロア。

 食べかけの皿、飲みかけのビール。


 余程みんなゴトロリ嫌いなんだな。


「じゃ、俺達が通れるだけ樽とかをどけて、入ったら積み直しておこうか」

「それが良いです」


 と不意にピコンと鳴った。


『警告:ゴトロリ増殖中』


 うぇ……こんなわずかな時間で増えるような生き物なのか。

 そりゃ緊急依頼を出したくなる気持ちは分かる。


「カナタさーん、通れるようにしたので、上がって来てくださいねー」

「分かったー、今行く」


 既にレイアは大きな樽を1つどけて道を作ってくれていた。

 俺も行かねば。急いで階段を駆け上り、どけてくれた樽の内側に入って、また樽を元の位置に戻す。

 これで2階は、対ゴトロリ戦の専用施設になった。どんなんだ? ゴトロリって。


「あーもう、こんなに増えるまで無視してるなんて信じられない」

「そこに、もういるの? ゴトロリ」

「います、かなり。足下気をつけてください、ゴトロリ、うっかり踏むと足くじきます」


 暗くなっている2階のフロアをじっくり見てみる。

 おっと、アレか。ゴトロリ発見。


「見た感じ、ダンゴムシと言うよりアルマジロの方がピンと来るな、この生き物」


 てっきりデカい虫を想像していたが、違った。

 四つ足の生き物・ゴトロリの目が、暗闇の中でうっすら光っている。

 あまり気味の良いものではないが、言うほど嫌悪感は感じない。


「で、どうやって退治するの? ナイフとか無いよ?」


 俺が言うとレイアは口角を上げ、床をダンと強く踏みならした。


「こんな感じで、踏み潰します。スライムといっしょで、倒すと魔力結晶が取れます」

「結構見た目堅そうだけど、特に背中の部分とか」

「背中の甲羅の所はナイフも通らないので、甲羅ごと踏み潰す感じでお願いします!」


 レイアの言葉にかぶせるように、ピュイーピュイーと2回鳴った。

 ウィンドウは何を言い出すんだ?


『警告:ゴトロリ接近中

 推奨:ひっくり返して攻撃を通す

 非推奨:甲羅の上からの攻撃一切』


 これは……

 困ったな、チュートリアルの推奨とレイアの退治法が真っ向からぶつかっている。


「ねぇレイア、この生き物、腹の方は多分柔らかいんだよね? 腹側を攻めた方が良いんじゃない?」

「えっ? 強く踏みつければ、床と甲羅に挟まれた胴体の部分、簡単に潰せますよ?」


 と、言ってる間に、足下にゴトロリが2匹寄ってきてた。

 とりあえず、チュートリアルの言う事は無視して、ゴトロリを踏んでみることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ