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【雑談配信】ファンを助けた話

全年齢向け総受けBLです。

分かりやすいイチャイチャしません。


通称いわおに『いわゆる普通のお兄さん』とは……ラトラ、めぎ、千歳、カンナによる4人組の動画投稿グループ。メンバー全員が兄であることから、その名前がつけられた。

中学時代の友人関係で結成された。元々ソロ配信者であったラトラが3人に声をかけたのがきっかけ。高校生や若い世代からの支持を集める話題の配信者グループ。


ラトラ いわおにのリーダー。千歳とカンナとは幼馴染。ファン第一主義者で、自分への愛に鈍感なところがある。ソロ配信時代はツンデレキャラだったはずだが。グループ内で個人ファンが少ないのがコンプレックス。一人称は「僕」


カンナ いわおにの男前枠。ラトラが好きでわかりやすく貢いでいるが、本人には気づかれてない。器用な為、努力すれば大体のことはこなせる。一人称は「俺」。


千歳 いわおにのちょっぴりSな王子様枠。ラトラは親友で彼のことをらーくんと呼ぶ。ずっと片思いを続けている。

王子様にこだわるのには理由があるとか。

一人称は「ボク」


めぎ いわおにの盛り上げ役。千歳とカンナとは違い、ラトラのことを友達として好き。よくソロ配信で自分のファンと漫才を始める。

面倒見がいい。

一人称は「オレ」

「そういやオレこの前ファンを助けちゃったわ〜」

めぎくんがいつものドヤ顔をして、話し始めた。

「珍しいですね」

「珍しいな」

「珍しいね」

『珍しい(ファン総意)』

『雪でも降るぞ』

「そんなに珍しいか??!」

全員に突っ込まれためぎくんが、頬を膨らませた。

ちーくんがその頬をつんつんとつつく。

「いたいいたいっ!」

「それでどういうふうに助けたんですか?」

「牛丼ととんかつで迷ってたからオレが選んでやった!」

静寂が訪れる。コメも流れない。

めぎくんがきょろきょろと周りを見渡す。

「…………それは助けたって言えるのか?」

真面目なカンナが聞き返した。

「なんだよ!?この決断は大きいだろ!?」

『真面目に聞いた俺らを返して』

『どうせそうだろうと思った』

「た、たしかに悩んじゃうかも……」

「いやいやらーくん無理にフォローしなくていいですから。」

ちーくんにつっこまれた。

でも僕も迷っちゃうし、めぎくんの潔さや諦めの良さは個性だと思うし……。

「そういうお前らはどうなんだよ?!オレの神ファンサ超えれんの!?」

「ボクはこの前歩いてた時に、ボクのぬいぐるみつけてる子がいたんですけど。嬉しいなって思ってたら、そのぬい落ちていっちゃって。慌てて拾って手渡ししました。」

カメラに向かって王子様スマイルを決めるちーくん。

「王子様だな……」

「それはもはや運命って思っちゃいそう。」

「推しからのファンサ勝ち組じゃん。オレの負けだわ……。」

めぎくんはあっさりと敗北を認めちゃった。でも勝てると思ったのか、次の矛先はカンナに向けられた。

「でもでも、カンナはそういうファンサしないよな?!オレの仲間だよな?!」

カンナは意外にも人と関わるのが苦手。

普段僕と遊んでる時に話しかけられたら、大体隣で黙ってる。

「俺そもそも声掛けられないしめぎと一緒かもしれねぇ……」

「ボクもです。普段は話しかけられませんよ」

ちーくんは話しかけられないっていうより、話しかけさせないようにしてると思うんだけど……。ちーくんの私服お洒落で似合うんだけど、声掛けづらいし。

コメント欄を見ていると、長文のコメントが目に入った。

「でもカンナコメントで言われてるよ?『外国人に話しかけられて困っていたら英語ペラペラな人が助けてくれてよく見たらカンナだった』って」

「えっそれマジ?!絶対偽物だろ!」

「あーなんかあった気するな」

『カンナが英語ペラッペラ?!』

『そういえば洋ゲーその場で翻訳しながらやってたよね』

『さすが器用枠』

「実はカンナくん英語ボクより上手いんですよね。カンナくんすごいんですよ」

「っていうか詳しく聞かせろ!」

「詳しくも何も普通だけどな。ラーメン屋探してたから連れてった。」

カンナ以外の僕たちの顔が固まった。

話が変わってきた。

『そっちじゃない』

『いやそっちも気になるけどファンは?』

「……もしかしてお前のお気にのラーメン屋じゃねえよな?」

「そこだけど?」

やっぱりかぁ、とカンナ以外全員大きくため息をついた。

「えっダメだった?!」

「あそこはあんまり大衆受けはしないんじゃないかと……その、スイーツラーメンはラーメンって言わないんです……」

カンナがそんなまさか?!って目を大きく見開いた。

『初めての単語スイーツラーメン』

『カンナ舌バグってるの本当だったんだ……』

『それは美味しそーってならない』

「美味しいって言ってたぞ、炒飯食べてたけど」

「確かにラーメン以外は美味いけど、なぁ。」

「あそこラーメン屋って言わないからね!?」

「それは外国人さん可哀想……多分ラーメンを食べに来たはずなのに……」

『逆に気になるんだけど』

『検索しても出てこない怖い』

『英語喋れるのより味音痴な方が衝撃的だった。』

「まぁズレてるとこもカンナらしいけどな」

この流れだと次は僕か。

「えっとじゃあ僕は……」

いいかけると、めぎくんに遮られた。

「ラトラは意外じゃないんだよなぁ。ファンどころかよく老人を助けてるし。」

いやそれはおじいさんおばあさんが話しかけてくるから話聞いてるだけで……。

「っていうからーくんはよく声掛けられますよね。」

「わかる。ラトラと一緒だと本当よく声掛けられる。」

「そんなことないよ?!」

正直、声掛けられる事はこのメンバーじゃ多い方だと思うけど、人助け的な意味で僕のこと知らない人ばっかだし……。

「あっやっぱりいるじゃんなになに『道に迷って、涙目になってたらラトラくんが助けてくれました。道教えてもらって途中まで送ってもらったんですけど、別れ際に「良い日になるといいね、楽しんできてね」っていわれて一生推すと決めました。あの時はありがとうございました!』ってまじのイケメンじゃん!!?」

迷子……?そんなのあったような気もするしなかった気もする。

「らーくんそれは罪すぎる……」

「すげぇ流石ラトラだわ。どうやったらそんな言葉思いつくんだ??」

ちーくんとめぎくんが僕を見る。慌てて僕は手を振った。

「違う違う!昔、そう言って去ってった人がいておしゃれだなって真似してただけ!今考えると恥ずいし今度から言えなくなっちゃったじゃん……!」

「いいじゃんラトラっぽくて。そういうとこ格好良いと思う。」

真っ直ぐとした瞳のカンナにそう言われて、思わずカメラでもカンナでも無い方を向いてしまった。

「ほんと?じゃあ今度からも使おうかな」

『ラトラの顔赤くなったの俺じゃなきゃ見逃しちゃうね』

『カンナいつも直球すぎw』

「それよりらーくんはあまりに警戒心無さすぎて心配なんですけどね。」

「僕だって人並みの警戒心くらいあるよ?!」

そんな誰にでもしっぽ振る犬みたいな……!

「初めて行った場所で地元の食堂教えて貰ったみたいな話なかったか??」

『初めて行った場所で?!』

『地元の食堂ってハードル高くね?オレらには縁がない場所だな……』

『ラトラって人見知りしそうに見えてバリバリのコミュ強だよなエピが強い』

「あー西夏に行った時?バスで隣に乗ったおばさまが教えてくれて」

ご飯食べるとこ探してるって言ったら良いとこ知ってるって言われて、定食美味しかったなぁ。

「前提からオレらと土俵違うんだけど」

「らーくんってそういう所ありますよね。誑かす天才です」

「ラトラって声掛けやすそうに見えるよな」

皆の声のトーンが明らかに褒められてない。

「そうかな?別に普通だけど……」

「オフのボクだったら、声掛けられたのが自分じゃないフリします」

「俺も声かけられるの苦手……」

「オレはそもそも寄ってこないけどなぁ。でもラトラほど声かけられたらイラッとするかも」

「えっそうなの?!声掛けられたら嬉しいよ?」

『これがいわおにの天使枠ですよ』

『俺も声掛けられるとイラってするからわかる』

『らーくん押し売り弱そう』

「そういうところです。らーくんの警戒心。」

「俺たちが守らなきゃ……」

「はいはい、過保護になりすぎんなよ〜。っていうか結構時間経ってんな。そろそろ終わるか。」

「そうですね。皆、おやすみなさい」

「今夜もありがとな、いい夢見ろよ」

「じゃあ皆、夢の中で会おうね!」

ばいばーいと手を振りながら、めぎくんが停止ボタンを押した。

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