【好みのタイプ】発表するだけ
この作品は全年齢向け配信者BLです。
ヘタレ男前攻め×天然鈍感受け×執着理性攻めに近い三角関係コメディーです。
あんまりイチャイチャしません。
許せる方だけどうぞ
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登場人物紹介
通称いわおに『いわゆる普通のお兄さん』とは……ラトラ、めぎ、千歳、カンナによる4人組の動画投稿グループ。メンバー全員が兄であることから、その名前がつけられた。
中学時代の友人関係で結成された。元々ソロ配信者であったラトラが3人に声をかけたのがきっかけ。高校生や若い世代からの支持を集める話題の配信者グループ。
弟妹ちゃん……いわおにのファン総称。
ラトラ ……いわおにのリーダー。千歳とカンナとは幼馴染。ファン第一主義者で、自分への愛に鈍感なところがある。ソロ配信時代はツンデレキャラだったはずだが。グループ内で個人ファンが少ないのがコンプレックス。一人称は「僕」
カンナ ……いわおにの男前枠。ラトラが好きでわかりやすく貢いでいるが、本人には気づかれてない。器用な為、努力すれば大体のことはこなせる。一人称は「俺」。
千歳 ……いわおにのちょっぴりSな王子様枠。ラトラは親友で彼のことをらーくんと呼ぶ。ずっと片思いを続けている。
王子様にこだわるのには理由があるとか。
一人称は「ボク」
めぎ…… いわおにの盛り上げ役。千歳とカンナとは違い、ラトラのことを友達として好き。よくソロ配信で自分のファンと漫才を始める。
面倒見がいい。
一人称は「オレ」
「いわゆる普通のお兄さんトーク略していわおにトーク!!ってことで弟妹ちゃんたちこんばんは!」
今日の動画のオープニングはジャンケンに負けためぎくんだ。
僕たちは、『あいちゅーぶ』っていう動画サイトに動画投稿している配信者。
グループの名前は『いわゆる普通のお兄さん』略して『いわおに』。
弟妹ちゃんはファンの総称だ。
今はメンバーの4人で、明日投稿するための動画を撮っている。
「早速行ってみよー、じゃん!今日の雑談ネタはズバリ好きなタイプ!」
めぎくんは『好きなタイプ』と大きく書かれたフリップをカメラに向けた。
「おいおいそれ燃えないか…?」
カンナが止めようとしたが、めぎくんは聞く耳を持たない。
「大丈夫、弟妹ちゃん達からの質問箱で1番多かったやつだから!つまりこれで燃えたらお前らのせいな!!」
「いやめぎくんびしっじゃないんだよ?!後で怒られるよ?!」
僕がつっこむと、隣にいたちーくんが口元を隠して笑う。
「んふふっ、めぎくんらしいですね。」
「オレの好きなタイプは顔が可愛い年下の子!これしかない!!何なら弄ばれてぇ!」
「こうなる気がしてた。」
「うわ……直球すぎて引きます」
カンナもちーくんも引いてるし。
「こういうのは正直に言った方が盛り上がんだよ!テンポよく行くぞ、ラトラ!」
急に僕に振られて、必死に考えてみる。
「えっと、ボクも可愛い子が好きかも。可愛い子っていうか努力して今よりもっと自分を良く見せようとしてる子好き。」
「ほらぁラトラも仲間じゃん!」
仲間かな?僕は弄ばれたいって言ってるめぎくんと同類なのか……。
「いやいやめぎくん。らーくんは中身の話なので真逆ですよ?」
「そうだな、流石に違うと思う。」
「なんだよ同じ可愛いじゃん!カンナはわかるぞ、優しい人だろ!」
次の矛先はカンナに向いた。
いわおにの男前枠といえばカンナだ。
「ああ、優しいは第1条件だな。欲を言うなら強いとなおいい」
「強くて優しい子ってこと?」
僕が聞き返すと、カンナは少し考えてから、答えた。
「どっちかって言うと優しいけど強いみたいな。って俺はもういいから千歳は?!」
「ボクは賢い人がタイプです。あと年上の方のほうが魅力的に映りますね。」
カメラに向かって微笑むちーくん。
これがうちの王子様枠だ。
「さすがちーくん大人っぽい……」
「王子……」
「さらりと言えるのが格好いいんだよな千歳。」
「んふっ、そうですか?正直に言っただけですよ?」
全員の好みのタイプを吐かされたあと、めぎくんが腕を組んで頷いた。
「なんていうか全員無難だな。」
「言わされたのに?!」
「そりゃそうだろ。めぎが1番スベッたけどな」
「今のところめぎくんの一人滑りですよ。他の質問ないんですか?」
「あーあー聞こえねぇ!じゃあこれとか?」
ごそごそと、カメラの後ろに周り別のフリップを持ってきた。
元の位置に座り直すと、じゃん。っとまたフリップを出した。
「『もしも女だったら結婚したいメンバーは?』お前ら本当そーいう質問好きよなぁ〜。オレは選ぶならカンナ!」
「えっ俺?!」
気を抜いていたカンナが、驚いている。
「カンナって絶対尽くすタイプだと思うんよなぁ〜。尚且つ家庭大事にしそうだし。好条件!」
まぁ、それは何となくわかる。
配信外で1番差し入れが多いのもカンナだし。
「カンナは浮気もしなさそう」
「浮気なんてするわけないだろ?」
「顔で選ぶなら絶対千歳だけど、美人は見飽きるっていうし……」
「その言い方、顔だけしか見られてないみたいで嫌なんですけど。」
普段顔を顰めないちーくんが明らかに嫌そうな顔をした。
「カンナは誰の嫁になるの?」
このままだと話が進まなさそうなので、僕はカンナに聞いた。
「俺はラトラだな。顔が好みだしめっちゃ貢ぎたい」
予想外の答えで、少し顔が赤くなる。
「いや貢がないで!さっき美人は飽きるって話した後なのに?!」
「それはめぎの話だろ?めぎは美人に飽きるかもしれねーけど俺は飽きない自信ある。」
カンナがじっと目を見つめてくるので、僕はめぎくんに助けを求めた。
「ラトラ諦めろ。幼なじみで見飽きてねぇなら今後も見飽きねぇよ」
「良かったじゃないですからーくん。きっと幸せにしてくれますよ♡」
「えぇ、これこそ顔で選ばれたんじゃないの……?」
腑に落ちなくて、つんっとカメラの外を向くと、今度は僕がターゲットにされた。
「そういうラトラは誰選ぶ?」
「僕が女の子だったら結婚したいタイプかぁ。でもめぎくんかなぁ、恋人にしたいならちーくん。」
「意外。オレなの?誰にも選ばれないって思ってたわ。」
「えっボクとは遊びだったんですか?」
「いや違う違う、逆!!僕が遊ばれる方!」
「千歳……そんな……っ」
「色々ツッコミたいですけど、とりあえずらーくんの言い分を聞きましょう。」
3人の目線が僕に集まった。いやでも理由はちゃんとあって。
「ちーくんはそもそも結婚に興味無いし、数ヶ月も立たずに別れ話切り出されそう。あとそもそも異性だったら僕に興味持たれそうにないし…。」
幼馴染で親友だから僕はちーくんに関しては詳しいつもりだ 。
どやっとして言ったら、ちーくんは思ってたより慌てていた。
「その言い方は語弊ありますね?!」
「あーでも分かる。千歳ってそういうとこあるよな、意外と人見知り。」
もう1人の幼馴染、カンナにも言われたらそれは、もうそういうことなんだよちーくん。
「オレも初対面の時すっげぇクールだなって思ったもん。もちろんかっこいいって意味な!」
「あの時はらーくんと出会って初めて別のクラスになって不安で……いや、カンナくんは人の事言えないですよね?!」
それは僕も思ってたけど。
「…………いや今は千歳の話だし。」
僕の幼馴染2人とも人見知りなんだよね。
「でもボクは結婚するなららーくんかな。手先が器用だし、裏でたててくれそうじゃないですか?」
「それはまさにラトラだなぁ。」
いやどこがまさに僕なのか分からないんだけど。
「そう俺もそう言いたかった!」
「3秒で分かる嘘やめてくれる?!」
さっき顔って言ったじゃん。
「それに他2人はあんまり結婚したいってタイプでは……」
「それは酷くね?!」
「ちょっと傷ついた……」
「もうそれは企画倒れだよ……」
それ言っちゃったら誰も選べないよ……。
「でもラトラは結婚するならカンナって言うかと思ったわ」
「カンナは、んー初恋だし」
「……らーくんらしいですね」
ちーくんがんふっ、と笑って、めぎくんとカンナが固まった。
もしも僕が女の子だったらカンナって初恋のお兄さんポジだと思うんだよね。
なんでも出来て、男前なとこもあるし。
「……ゴッホゴホッ……!!」
咳き込んだカンナが、水を取りに行った。
「……それ言っていいの?」
「えっ?言っちゃダメ??」
「今の言い方だとラトラの初恋がまるで……」
「まぁこういうところがらーくんなので。カンナくん大丈夫ですか?」
戻ってきたカンナにちーくんが声をかける。
「ごめん、めぎここカットしといてくれ……」
顔の赤いカンナが、編集者にNGを出した 。
「まぁそうよな。カンナ映ってねぇし……仕方ねぇか撮れ高」
「めぎくんそろそろ時間的にも締めに入りませんか?」
ちーくんがパンっと手を叩いた。
「じゃあ今夜はこの辺で。おやすみ〜!」
「「おやすみなさーい」」
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