合同結婚式
みどりに大阪市が行っている合同結婚式があると伝えました。
*20組の新郎新婦の結婚式を行なうということ。
*費用は全額大阪市が持ってくれること。
*花嫁衣裳を着られること。
みどりは涙ぐんでいます。
「花嫁衣裳を着られる……嬉しい……。
お父ちゃんとお母ちゃんに見て貰いたい。」
「ほんなら、課長に聞いて申し込むで。」
「うん。お願いします。」
「ほな、今から行て来るわ。
もしかしたら、まだ居はるかもしれんから…。」
「うん。ここで待ってます。」
「行て来る。」
就業時間が過ぎているので、庶務課には誰も居ないと思っていました。
走って行って驚きました。
庶務課ではほとんど残っていました。
息を切らして来た四郎を見て、課長が声を掛けました。
「するか! 結婚式!?」
「はい。お願いします。」
「分かった。ほな、申し込まな…な。
書類は………これや。
書いて出して……
おい、今ここで書くんか!?」
「はい。早う出さなあかんと思いまして…。」
「好きにしいな。」
社宅の申し込みも、合同結婚式の申し込みもしました。
「20組に入れたら ええなぁ。」
みどりと二人で決まっても居ない社宅、そして………合同結婚式に想いを馳せる二人です。
二人共に結婚式を挙げることが出来たら、「親孝行が出来る」という想いがあります。
15歳から働いている若者たち。
結婚式を挙げられなかった若者たちへのエールのような合同結婚式でした。