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輝いている未来

宮川四郎が入社した会社の工場は敷地が大変広くて、独身寮があり、社宅があり、理髪店もありました。

四郎は寮に入りました。

四畳半の部屋に二人です。

同じ学校だから仲良くなくても知っている人なのは、二人共に楽でした。

後に分かったことですが、中卒でこの会社に地方から入社できたのは四郎と同室の山本武だけでした。

中卒でこの会社に入社しているのは大阪に家がある人達でした。

工場での仕事は、敷布などを作る仕事です。

寮での生活についての説明があり、入寮式が行われました。

翌日に工場内で入社式が行われました。

四郎は張り切っていました。

頑張って働いて得た給与を少しでも多く家に送ると決めていたからです。


「お父さん、お母さん、俺、頑張るけん。」



料亭に就職した松本三郎は住み込みで働きました。

店に着くと、店主の妻と子ども、そして先代の店主に挨拶しました。

従業員は板前が5人、仲居が8人居ました。


「お()はん、ここは大阪やさかい。

 大阪弁でないとあかん。

 早う、大阪弁で話せるようになりなはれ。」

「はい。頑張るけん。…あ…頑張ります。」

(ちゃ)う。気張ります。……や。」

「はい。気張ります。」

「それで ええ。気張りや。」

「はい。」


店主は一番若い板前に言いました。


「勝男、お前はん、色々と教えたんなはれ。」

「へえ。旦那(だん)さん。」


先代が声を掛けました。


「お()はん、幾つや。」

「はい。15です。」

「15か…… 気張りや。」

「はい。」

「勝男も頼むわな。」

「へえ。おや旦那(だん)さん。」

「三郎、返事は『へえ!』だすで。」

「へえ。」

「よろしおます。」

「へえ。ありがとうございます。」

「『ありがとうございます。』やない、『おおきに』だす。」

「へえ。おおきに。」

「そや。気張りや。」

「へえ。」


覚えるのが大変だと思いましたが、店に出ていると、店は大阪弁であふれかえっていて、覚えられそうだと思ったのです。

仕事は、店の掃除、食器洗い、使い走り、後は言われたことを手を抜かずにすること!と教えられました。


「頑張るけん。お父さん、お母さん、待っとって、いつか店出すけん。

 いつか、大阪に呼び寄しぇちゃる。待っとって。」

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