桜時（改稿版）
暁の家にお泊り会の話。
その日、俺は暁の家に泊まり込みで遊びに行った。 暁の母親が出迎えてくれた。暁の親は、片親で母親は水商売をしていた。派手な人で、暁に似て目が透き通っていて、すべてを見通すような瞳をしていた。 晩御飯はすき焼きだっだ。
新鮮な卵を小さな器に入れ、ほぐす。すき焼きは、いわゆるお鍋のようにグツグツ煮込むものではなく、肉や具材そのものをそれぞれの絶妙な加熱加減で楽しむもの。具材を一気に鍋に入れてしまわず、１段階目はねぎをまず焼き、砂糖を下に引いて肉を絡めながら焼く。割り下を注ぎ、２段階目はほかの具材を楽しむ。
それが、暁の家のすき焼きのルールだった。
すき焼きをあまり家で食べたことのない千春には新鮮だった。
暁「千春の口に合うかわからないけど。でもこれでもいつもよりは高い肉なんだよ。母さん、千春来るから、奮発したみたい」
東雲という暁の妹も一緒に鍋をつついた。 小学生にしては、色っぽい子だった。 でも千春に緊張しているのか終始無口だった。
暁「東雲、千春かっこよくて照れてるみたい」
晩御飯がすんで、暁の母親が店に出勤していなくなった。居間では、東雲がクレヨンで何か書いていた。 太陽だった。
暁「東雲、なんで太陽黄色くかくの？太陽って赤じゃない？」
東雲「お外でみる太陽は、黄色いもん」
千春「外で見るのは黄色いかも。惑星自体は赤いのかもしれないけど」
東雲がしょんぼりしたような顔で、暁に問いかけた。
東雲「暁お兄ちゃんも、離婚して別に暮らしてるお兄ちゃんも太陽の名前なのに、なんで東雲は雲なの？お父さんが違うから？」
泣きそうだった。千春が口を挟んだ。
千春「東雲も太陽だ。太陽の名前だよ」
東雲は満足したようだ
寝る時間になって、暁の部屋で２つの布団をひいて横になった。
千春「人の家の布団って、不思議なにおいがする」 千春がそういうと、
暁「俺はべつになにもにおいしないけどね」
暁「－千春は俺と同じにおいがしたよ」
前も言ってたけど、どういう意味なんだろう。
千春「ふーん」
千春はそのまま眠った
7話よろしくお願いします。
