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ちなみに、俺の彼女はアイドルです。

作者: ロック

ゆっくりとゲームセンターに入る。

今日もソロプレイだ、俺は雷電IIの筐体に100円を入れる。

俺がプレイする理由は、単にゲームをすることが目的じゃない。

現実逃避のために「Repeated tragedy」を聞く。

しかし、どうも今日は集中できない。

ステージ2で、俺は横からくる戦車にやられ、コンティニューをせずに、ゲームセンターを出て、次は図書館に行き、俺の彼女が表紙に飾られてる雑誌を手に取った。


「・・・今日も素敵だよあやね。」

彼女の表情はとても綺麗だ、雑誌越しであれば。最近どうもマンネリ気味だし、どうも最近人生上手くいってない。

俺は久しぶりに彼女の所属するアイドルグループリリースイベントに行ってみる。


地下アイドルから一気に、成長したものだよ。

俺はイベントが終わってその場を立ち去った。


5年前

俺はその時、商社で営業として働いていた。しかし、同僚や同期と全く話が合わないし、そもそもプラトン全集やゴルギアスを会社の休憩室で読む馬鹿がどこにいるんだよ。

飲み会も次第に誘われなかった。

何もかも怠かった俺は、定期的にネット配信をしていた。

リスナーの1人と仲良くなった俺は彼女とラインを交換して、当時JKだった彼女の悩みを真剣に聞いていた。

特に真剣に進学について、相談された俺は「進学をして、何がしたいのかを考えたら?」って回答したら、彼女は「実は本当は…アイドルとか芸能活動とかやりたいんだよね」と答えた。


俺は「なら、なれば良いじゃん。」と彼女に答えた。

「もし、今からでもなりたいのなら、俺が事務所紹介するよ」

「いや、アイラの手を借りたくはないから、

自分でやってみるね」

「…ちなみになんでアイドルを目指してるの?」

「ちっちゃい頃からハロプロとかAKBとか、好きだから」

「君はアイドル業界の現実を知った上で言ってる?」

「・・・知らない」

「根拠とかないけどさ、…そもそも雇用ってわけじゃないし、事務所と揉めることも多いし、・・・まぁ蚊帳の外の俺が言うことじゃねえ。まぁ頑張れや」


「あのさ、

アイドルになってもあたしと関わってくれる?」

「お前俺のこと好きなん?」

「いや、そんなんじゃないけど」


翌日デートした。

1ヶ月後、彼女はアイドルになった。

3ヶ月後付き合った。

俺と彼女はホテルに入った。


そこで俺はひたすら、自宅から持ち込んだウルトラマンパワードのブルーレイばっかり見ていた。

彼女が俺を抱く。

ウルトラマンと怪獣が戦ってる途中、俺と彼女はベッドの上でお互いが怪獣になってた。


事務所にバレることはなかった。

何故なら俺は、性欲が皆無に等しく、彼女とは主に、通話での会話が中心だし、それにホテルに誘ったのも彼女からだ。僕から誘うことはほとんどない。


1年が経過して彼女は高校を卒業した頃には、当該グループが地下から地上に上がっていた。

とある曲がTiktokでバズって、6ヶ月で700万回再生数を叩き出した。運というのはすごいものだ。

これをチャンスだと思った事務所は、積極的な活動をし続けた。


そして、当の俺は営業課から異動となり庶務課に飛ばされた。

毎日雑務に追われる日々、定時で上がれるメリットとは引き換えに給料がそこそこ下がるというデメリットはあったが、楽だったし良かった。

それよりも仕事中は苦痛だが、家に帰って色んな会社の沿革や、古代ローマ史を読むことが僕の心を晴れやかにする。

しかし、それ以上に嬉しいのは"俺の彼女"が徐々に変化していくことだ。

どんどん可愛くなっていく、そして彼女が雑誌の表紙を飾ったのは、嬉しかった。


「グラビア見たよすごく可愛かった」

「ありがとうアイラ〜」

「あやね、いつも頑張ってて偉いよ」

「アイラも頑張ってるよ〜」

哲学の話をしたい…芸術作品についても語りたいけど我慢せねば。

20分ぐらいで、通話を終わらせ、自宅にあるPC88で、ソーサリアンをプレイする。

"メデューサの首"の"森"というBGMは、心を震わせる。


こうして惰性で付き合い続けて、1ヶ月ほど経った頃リークが一つが流れた。

それは、現役社長とあやねが付き合ってるというリークだ。

浮気されたのかもしれない、でもそんなことはどうでも良い。


それより、俺は事務業務でミスを連発し、会社から解雇を言い渡された。

実は庶務課に異動してから、ミスが多く、信頼を大きく失っていたのだった。

「解雇か、自主退職かだけ選ばせてやる」

「俺もうしばらく働きたくないんで、解雇でいいです。そしたら、多少失業手当も多くもらえるので」


28歳無職俺

22歳トップアイドル彼女。


トップアイドルになった彼女は定期的に口座にお金を入れてくれる。

今俺ができることは、彼女の愚痴を聞くことだけだ。無関心なのか、それは果たして愛なのか。

ただ、彼女が出演するMVだけは、可愛いし彼女の踊りは、真似したくなる。


現在無職の俺は、定期的に送り続けてくれる彼女からの入金で生活をしてる。

そして、たまにジャグラーを打ちにいく、タイアップがここ最近減ったし、俺も働かないとなとは思ったがそんな気力ももうない。


・・・劣等感…

何回BBを引いても、アイドルと付き合っても、自分自身が成功しないと劣等感に変わるんだな。

だが、解雇された俺は、そこから逆転なんて考えられない。

大器晩成型だとも自分は思えない。

学生時代からロシア文学が好きな陰キャ。


俺は、自宅から遠く離れた静かな森へ足を運んだ。

きっとあやねは、あやねは他の男と幸せになってくれるだろう。


森へ足を踏み入れた俺は、静かな森の中を歩きながら自分の人生を振り返った。

「何が間違っていたんだろう?」と思いながら、過去の出来事を思い起こす。


彼女との出会い、彼女の夢への挑戦、そして俺自身の葛藤。

彼女が忙しいスケジュールの中でも、彼女の成功を支え続けた自分。


それでも、自分自身はどんどん迷子になっていった。

「もしかしたら、自分はただ彼女に依存していただけなのかもしれない。」

心の奥底で思うと、自分が悲しくなる。


静かな森の中で一人考え込んでいると、ふと前方に小さな明かりが見えた。

近づいていくと、そこには小さな茶屋があった。

俺は気にせずに中に入り、店主に挨拶した。

「いらっしゃいませ、お一人ですか?」と店主が声をかけてくれる。


「はい、一人です。少し休憩させていただけますか?」と俺は頼んだ。

店主は優しく微笑んで言った。「もちろんですよ、どうぞお座りください。」 


俺は小さなテーブルに座り、店主が淹れてくれたお茶を手に取った。

「あなたは悩んでいるようですね。」と店主が俺を見つめながら言った。

「俺は、悩んでない。ただ彼女がどんどんキャリアアップしていってるのに、俺は、全然成長できてなくて、徐々にそれが劣等感に変わっていったんだ」


店主は微笑みながら言った。

「人生において、迷いや葛藤は誰しもが経験するものです。それは成長や変化の兆しでもあります。」

俺は、店主の言葉に耳を傾けた。


「あなたの彼女がキャリアアップしていく一方で、自分自身が見失ってしまったと感じるのは自然なことです。でも、それはあなたがただ彼女に依存していただけではないんですよ。」

店主の言葉に俺の心には少しの希望が芽生えてきた。


「人生は一筋縄ではいかないものです。成功や幸福は他人と比べたり、特定の結果だけで測るものではありません。あなたは自分自身を見つめ直し、新たな道を見つけることができるでしょう。」


店主の言葉が俺の心に響いた。彼女の成功にとらわれずに、自分自身の幸せを見つけることが大切なのだと気づいたのだ。

「店主、ここは、PayPay使えるか?」

「使えないのよ現金だけ」

「…小銭ねえわ」と俺は10000円をさっと、店長に渡した。

「釣り、お客さーん」

俺は「良い話を聞かせてくれてありがとうな」と立ち去った。


森を抜ける頃には、新たな決意が心に宿っていた。

彼女の幸せを願いつつも、自分自身の人生を歩むために前に進むことを決めたのだ。

解雇された現状では厳しいかもしれないが、自分の興味や情熱に向かって新たな挑戦をする覚悟が芽生えた。


彼女に感謝しながらも、自分自身の成長と幸せを追求するために、新たな道を歩み始めるのだ。

どんな困難が待ち受けていようとも、俺は自分の人生を切り拓く覚悟で歩み続けるのだった。

そして、何よりも大事なのは彼女と自分を比較しないことの大切さを感じた。


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