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碧空に謳う
A
雪を溶かし垂水走る
東風のぬくもり
指に添えて空を仰ぐ
梅の華形
誓い重ね咲いた香りも
星詠む刹那
盛者語りも板につかずに
八重桜散る
B
淡く淡く恋を忍んで
色も滲むあたらの草結び
S
五月雨幾度洗えど凛と立ち行く
禊は風に放てと汗を散らし伽藍に謳う
A2
汚れ咲いた緋散りの花
鮮と匂えよ
泥濘みから雲を睨む
言葉いらぬ美
B2
高く放つ光儚く
されど心揺らす一雫
S2
疾風と穿つ時雨が徒花叩き
掃けたる空が青なら泥を蹴立て我らは謳う
S3
吹き散らせ靉靆
霧雨滴払って凛と立ち行く
征く瀬は風に倣えと遠く謳え 華々しく
濡らした衣うち捨てただ見栄を切る
見据えた空が青なら汗と泥を誉れと謳え