転生の目的(2)
転生の目的はポイントの競争だ。ポイントと言っている時点でわかったかもしれないが、天使が稼ぐポイントはスキルポイントと同じものだ。本来のシステムではあっちの世界の住民が稼いだスキルポイントの半分が女神に入り、住民達がスキルと交換することでさらに入る。そして得られたポイントは給料として我々に入る。といった感じ。しかしこの大会では転生者が稼いだポイントが女神を経由せずに直接担当に入る。
そのポイントを競う大会である。得られたポイントは賞品としてもらえる。そう聞くとおいしいだけに聞こえるが、そもそも参加に500ポイントほど取られる。上手くいかないと赤字もあるのだ。
さて、モチベーションの変動を避けるために転生者には話さない決まりである。なのでここは自然にごまかすことになっている。
が、
(まずい、考えてなかった。どう説明しよう)
ハナコは参加が初めてであることもあり、考えてなかったのだ。焦りながら思考を巡らせた。
(魔王―――はいないし、災厄を止める―――起こるとは限らないし。というかこんな大勢で世界を救うというのも不自然だよね)
(実験の被検体―――はイメージが悪いし、私も知らない―――とは言いづらいし…)
そもそもハナコは嘘が嫌いである。だがここはそうしないとどうにもならない。
「うーん、やっぱり大丈夫です。今の質問は忘れてください。こういうのは自分で考えた方が楽しい気がしてきました」
「ああ、確かにそうかもしれませんね。わかりました」
…どうにかなってしまった。
「他に質問はありますか?」
「あとは自分で調べます」
「わかりました。何もなければあちらの転生門に向かってください」
ハナコは彼を転生門へ送り出す。
「それではよい人生を!」
ようやく転生です。