個人差
ステータスウインドウからハナコさんに連絡する。
思えばあれから一度も会話してないな。
「こちらハナコです。お久しぶりですね」
「そうですね。しばらくスキルポイントがたくさんあることを忘れてました。もっとスキルポイントは積極的に使った方がいいんですかね?」
「いえ、是非ともあなたのペースで使ってください。それでご用件は」
「最近魔法を使い始めましてね、【魔力回復】を頂きたいんです」
「【魔力回復】ですか?」
「はい」
「わかりました。ところでなんですけど、レベル100のままでよろしいんですか?【限界突破】は要らないんでしょうか」
「ああ、それですか。僕は取得しないことに決めました」
レベル100が近くなった人はスキルの【限界突破】を取得し、100以上に上げられるようになるというのが基本だ。だが確かに【限界突破】を得ると更に強くなれるがレベル100でもかなり強いし、これでスキル枠を使う必要もないかなと思ったのだ。
お姉ちゃんによれば、少しずつ強くなっていく感覚が癖になるらしいが、僕はいきなり強くなったのでよくわからない。
というか、もしまたネスドラゴンみたいな魔物を倒すことになったとき、レベルが2000とかに上がると思うと反動が怖い。少しトラウマになってる。
「―――というわけなんです」
「なるほど、理解しました」
「ただ、魔物と戦う上でなにか目標があった方がよいと思いまして、そこで消費ポイント10万の【時間停止】の取得を目指すことにしたんですよ」
10万ポイントは達成感がありそうだ。それに【時間停止】は僕が持つ他のスキルとも相性がいい。
「【時間停止】ですか…本来は一人で稼いで得るものでは無いんですけどね」
確かに10万ポイントは普通、生涯を掛けても容易に稼げる数値ではない。
今まで説明し損ねていたのだが、スキルポイントは人に譲ることができる。なのでポイントを売るみたいなこともできるし、逆に売ってたりもする。ポイントを借りて利子をつけて返すみたいなシステムもある。
スキルポイントを持ったまま死亡するとポイントは完全にパーになるので、死期が近いと感じたなら誰かに預けて置くことが推められている。
そして【時間停止】を得た人がこれまでにいなかったわけではない。
その人は大富豪としての財力で多くの人からポイントを集めて手にいれたらしい。
「でも、僕はできそうな気がするんですよ」
「…まあ、目標を持つことはのはいいことですからね。頑張って下さい」
「…とりあえず【魔力回復】でしたよね」
「あ、そうでした。お願いします」
話がずれていた。雑談が目的じゃなかったのに。
「では最後の確認です。取得したスキルはポイントに戻せません。よろしいですか?」
「問題ありません!」
「―――はい、完了しましたよ。確認してください」
右下に小さくステータスが表示されている。
よし、スキルに【魔力回復】がついている。
さて、魔力は…といってもそんなにすぐ回復するわけでは…
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魔力:133/220
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「あれ?」
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魔力:176/220
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通話の画面とステータスの画面を入れ換える
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魔力:220/220
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…全回した。
「なんか、すごい速さで回復してるんですが、どうなってるんですかね?」
「えー、ちょっと調べてみますね」
「――原因がわかりました」
「どうでした?」
ハナコさんがなぜか言いづらそうな顔をしている。
「どうやら"個人差"だそうです…」
「ああ、そっちか、不具合とかじゃなくて良かったです」
個人差だったのか。確かに人によって回復の早さが違うことがあるしね。
もしスキルに不具合が存在するなら…今後スキルを安心して使えないのではと考えていたが、なさそうなので安心した。
「いや、受け入れるのが早くないですか?!普通全回復に3~4時間かかるんですよ?!」
「しかし説明に時間は書かれてませんし、そういうこともあるのでは?」
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【魔力回復】:魔力が自然に段々と回復する。
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3~4時間などと言うのは目安でしかない。2時間で回復する人もいるのだ。
回復時間が短くても不思議な点はない。
「…確かに、あなたらしい考え方ですね」
「?」
「いえ、お気になさらず」




