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天然でマイペース

≪グリーン≫


「ソラ、うまくやってるかな?」

「あ、ああ、ソラのことだし、大丈夫…だと思うぞ」

(何かまたとんでもないことしてませんように)


 そう言うのはグリーン・アレクサンドラ。アレクサンドラ家の長男。安定した職業である騎士を目指して修行している。なかなか厳しく、試験に何度も落ちているが諦めず努力している。ソラとは五歳離れている。


 ソラについて、最初は弟ができたことにグリーンは喜んでいた。

 しかしソラが五歳になった頃、アレクサンドラ家では剣をで戦うための稽古を始めることになっているのだが、模擬戦グリーンがいくら挑戦しても勝てなかった父に二、三日で勝てるようになってしまったのだ。

 もちろん身体能力の差で実戦で勝てるわけではなかったのだが、動きが【剣術上達】を持つ父より無駄がなく、極まっていた。


 ソラは剣術だけに収まらず、お絵描きすると芸術家並みで、掃除を任せると一日かかるようなものを一時間で終わらせてしまう。十歳ぐらいのころには図書館にある本の内容をほとんど把握したなどと言い出すこともあった。

 グリーンはそんなソラの多才っぷりの底知れなさに、少し恐怖を抱いていた。


 *


(いや、さすがにこれはおかしい。夢であってくれ…)


 冒険者になったソラが一度帰ってきた。ちなみにミルクもまだいる。見せたい物があるから帰ってきたと、ここじゃ狭いといって庭先までつれてこられたのだが、それはネスドラゴンの魔石だった。


「見て見て。ネスドラゴンを倒したよ」

「…なんてことだ…」


 ランクEXを倒すなどと言う言葉は定番のジョークとして使われるようなものであり、実際に起こりえるようなことではない。

 彼が超人なのは十分わかっていたはずだが、これはもはや―――物理的におかしい。


 物理的におかしいと言えばスキル、この世界で人々が何気なく使っている"スキル"というものは、仕組みが謎に包まれており、専門の研究家によれば「そもそも解明は不可能である可能性が高い」などと言われているが、強すぎるものはいつの間にか取得出来ないようになるし、大昔にほとんど無くなっている。

 それに仮にグリーンが知る限りのそういったスキルをかき集めたとしても、ネスドラゴンを倒すのは実現性が低い。


「ソラ…本当に倒したのか?」


 そう言うのはミルク。いつもソラを普通の弟として扱うが、さすがに引いていr――――


「すごいじゃないか!ソラ!」

「そう言ってくれるとうれしいな」

「すごいよ!だってネスドラゴンは討伐の事例がないランクEXだよ!それを冒険者始めて数日間で倒すなんてもはや歴代最強の偉人とも言える!さすが自慢の我が弟よ!」

「倒したのは初日なんだけどね」

「本当にソラはすごいな~♪ほら、お兄ちゃんもなにか言いなよ」

「……………」


(前々から思っていたが…)


(やっぱりこいつら天然過ぎるよな?!。同じ環境下で育ったのに、俺とこの差は何だ?)


 グリーンは、百歩譲ってソラがネスドラゴンを倒せるにしても、せめてもっと自重してほしかった、隠すなりごまかすなりしてほしかったと思った。


(落ち着け、冷静になろう)


「ソ、ソラ、それを普通の人が見るとショック死するから、あまり人には見せないようにな」

「なるほどね。じゃあそうするよ」


 ソラは素直だ。もっといろいろ言いつけておくべきだったと、グリーンは後悔した。


 *


≪謎の男≫


 あれから数日経った頃、謎の男は新聞を読んでいた。


(ふむ。スタート村は壊滅すると思ったのだがな)


 通常の魔物は人間を感知しないと大人しいのだが、あのネスドラゴンには近くに人間がいない時には人間の匂いがついたものも破壊するように()()()()()

 だが村は無事だった。それどころか動き回った形跡もほとんど無かったそうな。まるで村に到着してすぐに消えたかのように。


(何か異常なことが起こったというなら調べる必要があるが、壊滅しなかったことに関してはさほど問題ではないだろう。なぜなら今回()()()()ことは、()()()()()()へ向けた実験に過ぎないのだから)


 男は古びたオーブを見つめながらほくそ笑んだ。


(次にこれで何か出来るとすれば半年後ぐらい、だがあとはこれを動かすエネルギー源が揃えばこの問題はなくなる。もうすぐ完成だ)


 ランクEXがスタート村の近くに出現し、同時にダンジョンブレイクが起きたことが人為的なものだと気づいた者は、誰一人いなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ですが、後先考えずに投稿してしまい、ストックが無くなっていしまいました。なので次の投稿まで数週間か数ヶ月ほど空いてしまうことになると思います。


それでも興味を持って頂けたならば、申し訳ありませんがそれまでお待ちください。

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