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5.美少年とお目付け役

 肩より少し長い艶やかな黒髪を後ろで一つにまとめ藍色のリボンで結び、同じ藍色のジャケットにフリルのついたブラウス、深い赤色のタイをした美少年が立っていた。歳は多分私より2つか3つ上だろう。ちなみにズボンは黒で靴も黒だ。彼の幼いながらもクールな風貌にも合っていてシックに決まっている。以上、ジェシカのファッションチェック終了。

(…ってそうじゃなくて)

「プディングですわ。欲しいのでしたらあちらにございますわよ」

 とケーキ類が置いてある一角を指して会話は終わりとばかりにまたテーブルに向き直ろうとすると、

「取ってきてよ」

「は?」

 ……いかん、地声が出た。

 いやでもこいつはいったい何を言っているんだろうか。

 ここ、侯爵家。私、ここの娘。今日の主役。

 そしてお前はいったい誰なんだ。

「えっと、どちら様でしょうか?」

 余所行き笑顔を貼り付けて尋ねる。あ、こめかみがちょっとピクピクしてきた。

 だって私はこいつのことを知らない。今日の親連れの挨拶でも見なかったし、今までの子供参加OKのパーティやお茶会でも見たことがない。

 服装からしていいところのボンボンなんだろうが、今日の主役の顔も知らないとかどこのモグリだ。

 私の問いに少年は

「俺の名前?ロイだよ」

 とあっけらかんと答えてくれた。しかしそれは私の問いに対する満足いく答えではない。

 私が聞いたのは「作法ができてないお前はどの家の出身の誰だ」と訊いたのであって「あなたのお名前なぁに?」ではない。

 ちゃんとした教育を受けていないのだろうか。うちのパーティに呼ばれるくらいだからある程度格式のある家の出身だろうに。

「あの、そうではなくて…」

 ともう一度ちゃんと訊こうとした時。

「あ!そこにいらしたんですね!!」

 と15、6くらいの男性がやってきて彼――ロイの腕をつかんだ。対するロイは年上の彼に対して偉そうな態度で

「なんだ、もう見つかってしまったのか」

 と不貞腐れている。

 おそらくこの二人は主従に近いなにかなのだろう。お目付け役と我儘ぼっちゃんといったところか。

「なんだじゃありませんよ!こんなところで……ってジェシカ様ではないですか!」

「あ、どうも…」

 流石に彼は私の顔を知っているようだ。お目付け役までダメ人間だったらどうしようかと思った。

「申し遅れました。私はトーリット伯爵家の次男モンドと申します。この度はお誕生日おめでとうございます」

 トーリット伯爵…確か当主は王の側近でできる人だって噂だ。

「ご丁寧にありがとうございます。当家のパーティを楽しんでいってくださいまし」

 

「なんだ、お前がジェシカだったのか」


 黙れ小僧。

評価・ブクマありがとうございます。

来週投稿頻度少し落ちるかと思います…

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