4.プディング美味しい
※今回短いです
空いていたテーブル席の一つに座り、持ってきたお菓子とジュースをゆっくりと味わうことにする。
この辺りには幼いながらも侯爵家の権力に群がってくる子供達もいないしあまり近寄らないため我が家のパティシエが腕によりをかけて作った自慢のお菓子を楽しむことができるだろう。
(これ、このプディング!ねっとり甘くて美味しいやつだわ!!最高!!!)
本来こういう場では社交をしなければならないのだろうが(特に侯爵令嬢という私の立場上)、どこでヒーローやヒロインに繋がるかわからない。
だったら最低限の社交だけしてあとは引き籠るか壁の花になる…のは難しいだろうがこういう場所なら社交から逃げられるのである。
だいたい乙女ゲームやら少女漫画やら最後にざまぁされる悪役ってのは基本取り巻きをひきつれているものだ。孤高の悪役もいるにはいるが、そういったキャラは話が進むにつれ主人公の仲間になったり人気が高かったり優遇されているのである。
ぼっち上等!死亡フラグが折れた19になったら遅まきながら積極的に社交して心許せる友人でも作ればいい。死ぬのに比べたらこんなのどうってことない。
そう結論づけて私は目の前のプディングを一口頬張る。
(これ作ったのリオルかしら?それともザザ?あとで聞いてまた作ってもらおっと)
そういえば小説の中でも料理描写はあったな、と思い出す。世界観に合わせて西洋風の料理名が多かったが、前世でも聞いたことのある名前ばかりだったはずだ。まぁ謎の名前の料理名を出してそれを読者に理解させるために説明する、という手間を省いた結果かもしれないが現在とても助かっているのでありがとう作者、と心の中で感謝を述べた。
その時。
「ねぇ、それ何?」
「!?」
突如後ろから声をかけられ、驚いて振り向くとそこには――
評価・ブクマありがとうございます。