第8話 新iPS細胞の出番
SFってリアルに書かなくても良いものなのかなぁ?
第8話 新iPS細胞の出番
戦闘から二日後、私たちのもとに、新型のiPS細胞が届いた。
地球の医療機関から特別に発注した物だったが、銀色の袋に入れられたそれは、青い色をしたゼリー状のもので、それを患者の傷口に当てれば、細胞の活性化が著しくなり、傷が短期間で治せるというシロモノであった。それはサンプル品だが、これが多く使われれば、たくさんの負傷兵が助かるはずだ。
このゼリー状の物を、スライムセルと呼んだ。
「新技術ですね」
私は看護師長さんに言った。
「そうね。技術の進歩はすごいわ。もう人間なんていらなくなるのかも」
「それって笑うトコでしょうか?」
「感心するトコよ」
私とシュシュは代表で、そのスライムセルを、ランダムに選ばれた患者の傷口に、手袋の上から乗せて、様子を見た。
およそ50分くらいで患者の傷は、消えていた。
「これは画期的ね!」
思わず口にする私。
「先輩、これがあれば、戦争に勝てますよ」
シュシュが言った。
別に戦争だけのために開発された物じゃないと思うけど‥‥‥。
こういうところがシュシュらしいわ。
私はスライムセルをどけて、シュシュに渡すと、治ったケガの部分にアルコール消毒をして、次の患者のところへと向かった。
このスライムセルは、使い回しが出来るらしい。
でも、5人目の患者のケガに使ってみたところ、傷口が治るのに3時間かかった。
「これは傷を治すには、最高でも七回が限度ね」
私はシュシュに記録を頼んだ。
「仏の顔も七度までってことですね」
全然違うと思うわよ?
この子はたまに、アホなことを言う‥‥‥。
まぁ、それはいいとして、このスライムセルは、戦場では必ず必要になるであろうと思った。
治癒力としては、ゲイルさんの治癒能力の次に使える物だったからだ。
より多くの兵士たちを治癒するのが私たちの仕事なのだから、こういうアイテムがあるのは、ありがたいの一言に尽きるのだ。
結果を報告して、すぐにでもこのスライムセルを、地球からたくさん取り寄せて欲しいと要請するのが吉だ。
月に運ばれてきた患者の三割が生き残った。
さらに地球へ運ばれた四割が、地球の医療機関で助かり、あとの者は亡くなった。
遺体安置所はパンクしていたので、地球から遺体を運んでくれる船を待った。
戦争には死者がつきものだ。
火星で亡くなった兵士たちは、放置されているだけであろう。
私は地球のために死んでいった兵士たちを思って、祈りを捧げた。
窓の外には火星が見える。
あそこは今でも戦場だ。
助けには行けない悔しさが私の中にはあった。
戦況が変われば、それだけ死者や負傷兵の数も減ることだろう。
私はそう思った。
きっと戦況は変わる。
それを信じて、私はナースとして頑張れると思った。
地球を信じよう!
宇宙で爆発が起きないとしたら、話が盛り上がりませんよね?




