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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第79話  終戦と帰還

あと一話でおわりです。

第79話  終戦と帰還


 良からぬ話を聞いた。

対消滅科学爆弾が惑星グラデュアルの市街地に一発落とされたというのだ。

とうとう人類は、究極の選択をしてしまったのか。

爆発は、惑星グラデュアルの地表の5分の1を破壊し尽くしたのだ。

何もかもが吹き飛んでしまったらしい。

この目で見なくとも、どんな状態になったのか、想像は出来た。

しかし、現地の人たちは、それ以上の地獄を見たことだろう。

悪魔のXデイだった。

そして二発目の対消滅科学爆弾の投下を検討している最中に、敵側から無条件降伏の通達が、地球側に届いたのだ。

やっと、この戦争は終結した。

終わったのだ。

すべてが‥‥‥。

私たちはそのすべてをレッドクルス号から、ただ見ているだけであった。

二日後、レッドクルス号に帰還命令が出された。

私たちに出来ることはもう、何もなかった。

ただいるだけで、戦争は終わってしまった。

こんな結末を望んではいなかったが、それでも戦争終結にはため息が出た。

誰も喜ばなかった。

チャペルに行って、祈る者もいた。

私たちは、戦争の終結のために、恐ろしい間違いを犯してしまったのかもしれない。


 シュシュも自分の仕事のために、前線へ出たはずなのに、その職務を果たすことが出来ないまま、こんな結果で戦争が終わるとは思ってもみなかったのだろう。

「先輩、私たちってこんなに無力だったんですね‥‥‥」

 シュシュの声が枯れていた。

 不思議と、真っ白な顔をして、表情だけは笑っていた。

「あんな爆弾なんかで敵を殺して、何になったのでしょう?」

 私は何も答えられなかった。

「私にも分からないよ。でもこれで、地球に帰れるし、妹にも会える。だから‥‥‥」

「戦いって皮肉ですよね。勝った方が、相手にひどいことをしていたという現実です」

「そうね‥‥‥」

 シュシュは自分がナースとして活躍が出来ることだけを望んでいたのだろう。

それでも現実は違った。

これから私たちは地球へ帰る。

あとのことは、お互いの政府同士がどうにかするだろう。

それでも地球側は、火星から海王星までを自分たちの植民惑星として取ることが出来たのだから、それはそれで万歳だろう。

結果的にはそういうことになるのだから、植民惑星の確保には成功したのだ。

というより、グラデュアル軍が出てこなくても、植民惑星にはするつもりだったので、悪い虫を追い払っただけと考える者もいることだろう。

この戦争は、ただそれだけのために始められたのだ。

まぁ、グラデュアル軍が火星まで迫って来たのだから、地球が無事で何よりだった。

それだけは一つ、言えることだろう。

私たちは自分たちの惑星を守り抜いたのだ。

それだけは誇って良いことなのかもしれない。


 レッドクルス号はこれより帰還する。


 帰りを待つ者たちのもとへ。



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