第73話 ジャングル惑星の脅威
リアルと虚構の間を表現するのが難しいです。
第73話 ジャングル惑星の脅威
私たちナースも、ジャングルの前にある広い場所に、軍用テントを張って、待機していた。
ここは土星でも、環境が良かった。
それでも昼は暑かったが、一番マシなところであるのだ。
こういう環境に来て、初めて戦場以外の場所も、過酷だと知った。
しばらくして、大雨が降り出した。
気持ち悪くなるほどの大粒の雨が、ジャングルにも降り注ぐ。
これでは地球軍兵士たちもたまらないだろう。
これでグラデュアル軍も動けるのか?
私はゲイルさんと一緒にテントの中に入った。
「すごい雨ですね」
私はゲイルさんに言った。
「人工的に降らせているのよね?それでこの雨とはね」
ゲイルさんは簡易テーブルを組み立てながら言う。
「こんなジャングルでの戦いは、熾烈を極めるでしょう」
「そうですね」
私はテーブルを組み立てるのを手伝った。
「グラデュアル軍は必ず、このジャングルを地の利として、戦いを仕掛けてくるはずよ。兵士たちはそれに気をつけないといけないわ」
「地の利ですか?」
「ええ。この軍事作戦には穴がある。ジャングルにタコ壺を掘っておけば、爆撃しても、敵に届かない」
「なるほど」
私は感心した。
この人、いやホムンクルスは、冷静に分析しているようだった。
無論、地球軍も同じことを把握しているだろうけど。
「こういう時、どう戦うのがベストなんですか?」
「軍事的には数で押すのが一番だけど、それだと犠牲が多過ぎる策かもね」
「軍事的にはあり得るんですね?」
「まぁ、私たちには情報は伝わっては来ないけどね」
「どうしてです?」
「誰かが捕虜にでもなって、拷問されて口を割ったら終わりでしょ?」
「ああ、そうですね」
「私たちナースが捕まっても、その場で撃ち殺すのが作戦の範囲内なのよ。だから捕まるわけにはいかない」
「捕まる時は、敵と一緒に殺すのが当たり前ってわけですか」
「そうよ。だから、絶対に捕虜にはならないで」
「は、はい」
私たちナースでも、犠牲は付きものってことか。
その前に撃たれるかも‥‥‥。
こんなところにいたら、戦火が来ることも考えられる。
私たちはジャングルのそばで待機するしか無いのだ。
戦闘が始まる音が聞こえる。
自動光銃の発砲音がここまで届いたのだ。
パパパパという連続音が聞こえてくる。
爆発音も聞こえた。
敵の前線基地からの攻撃が続く。
空に向かって飛び立った艦隊も、攻撃を食らった。
敵は想像以上の物資を、土星に集めたらしい。
爆発が空中の艦隊を襲った。
轟沈する艦も出た。
それほど強力な大砲を、敵は持っているのだろう。
土星の前線は、かなりすごいことになっていた。
それを私たちナースも、自分の目で見ることになった。
ジャングルに落下する地球軍の軍艦。
大爆発が起こり、軍艦は木っ端みじんになる。
すごい光景だ。
私もゲイルさんも、呆然とした。
これでまた、死人がたくさん出る羽目になる。
「ゲイルさん、あれはどうします?」
「あの巡洋艦のこと?」
「ええ」
「もうダメね」
ゲイルさんは、助けるのを諦める。
私もそうした。
あんなジャングルが火の海になるほどの爆発があった後では、そう思うしかないだろう。
こっちの身が危なくなってもシャレにならないし。
シュシュが慌てて、落ちた軍艦へと行こうとした。
私はシュシュを掴んで止めさせる。
見捨てることも、ナースのやることの一つだろう。
矛盾しているかもしれないけど‥‥‥。
それでもシュシュは、助けに行こうと、私の手を振り払った。
読者の皆様に幸あれ!!




