第66話 再び雪原での死闘
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第66話 再び雪原での死闘
木星での戦闘は、約二か月のにらみ合いの後、決着がつけられようとしていた。
その間に雪原に塹壕を掘り、そこに立てこもる地球軍兵士たち。
海兵隊も動員された。
レッドクルス号からも増援のために、ロイとキャルガ、それにクリスも出兵した。
今日は雪がチラチラと降っていた。
この降雪量でも寒さは段違いで、前線に揃えていた戦車部隊も、凍り付く寸前だった。
レッドクルス号は前線に近いところで待機させている。
これはサンジェルマン艦長の判断だった。
敵は高射砲を並べているはずだ。
それは木星の立体映像からも分かる。
それに敵も戦車部隊を用意していた。
これで戦車隊と戦車隊の砲撃戦が展開されることは分かっていた。
敵はYOJS203地点で包囲網を張っている。
それを潰せばこちらが勝ったも同然である。
戦闘前に、出来るだけ情報を集めておくのが重要だ。
これはいつの時代でも同じだ。
情報を固め、そして的確に殲滅する。
それが戦いというものだ。
戦いが始まるまで、まだ時間はある。
私たちナース陣は、塹壕の中で待機していた。
もちろん、戦闘中に負傷者が出れば、すぐにレッドクルス号に運べるように、待機しているのである。
これもサンジェルマン艦長の指示だ。
私たちを危険なところへ待機させてと思うだろうが、塹壕というのは意外に安全なのだ。
直撃さえ食らわなければ、防御陣地となるのである。
さぁ、戦いは始まる。
慎重に安全に行動しようじゃないか。
その時、戦闘の始まりを告げるかのように、敵の艦隊のミサイルが、地球軍陣地へと飛んで来る。
それを迎撃する地球軍。
さらに大量のミサイルが飛んで来た。
全部迎撃するのに、艦隊の大砲がどんどんと撃ち上げられる。
夕暮れの空には明るい光がたくさんできる。
ちゃちな陽動作戦だ。
敵は大勢で武器を持って、こちらに突っ込んでくる。
地球軍兵士たちが、自動光銃で狙いをつけて、パパパパと撃った。
敵はバタバタと倒れる。
特攻なのか?
私は塹壕の中から頭を出して、それを見ていた。
怖いもの見たさというヤツだ。
戦闘の真っただ中にいる私たちナース。
戦車部隊も出発する。
雪の上を履帯が噛みつくように走った。
木星対策のために、履帯をスリップさせないように改造してあるのだ。
これで最高速度70キロまでスピードが出せる。
戦車部隊は一気に間合いを詰めに行く。
これが地球軍の戦い方だ。
戦車の後ろには、パワードスーツを着た兵士たちが武器を構えながら、攻撃する。
敵はどんどん倒れていく。
こちらに被害はほとんど無い。
これが戦闘と言えるのだろうか?
一方的な戦いに、まるでゲームを観てるような、そんな気分になった。
地球軍の軍艦勢が、一斉にコスモハープーンを飛ばして、敵の軍艦を轟沈させていく。
そのドンパチは、二時間続いた。
地球軍兵士たちも100人ほど減った。
それでも、敵の数の方が多かった。
多い分だけ、殺していったが、それでも相手の突撃は止まらない。
私たちは敵の勢いに恐怖した。
なぜ自分から的になりに行く?
それでも止まらない軍勢は、もはや狂気としか言えなかった。
こちらの火力の方が勝っているのに、相手の攻撃は、さらに続いた。
これはもう、一方的な殺戮にしか、ならなかった。
それでも倒さないと、こちらがやられる。
軍艦からも、高角砲で敵を撃ってもらった。
あちこちで爆発が起こり、雪を舞い上げた。
すごい砲撃に、相手は吹き飛ばされていく。
こんな戦いは初めてだっただろうか?
いや、火星でも同じようなことがあった。
あれと一緒だ。
奴らは死ぬ気で突撃してくるのだ。
恐ろしくはないのか?
それとも、相手の意地だろうか?
それでも奴らは突っ込んでくる。
迎え撃つ地球軍。
戦闘がひと段落すると、戦車隊も歩兵師団も戻ってきた。
私たちナースの出番だ。
塹壕から出た私たちは、傷を負って、担がれている兵士たちを、宙に浮く担架の上に乗せると、彼らをレッドクルス号に乗せていった。
ほとんどが軽傷だった。
重症の人もいるにはいたが、助かる見込みはあった。
ナース服をドロドロの血まみれにして、私たちは負傷兵たちを運ぶ。
私は兵士の一人に尋ねた。
「戦闘はもう、完全に終わったんでしょうか?」
無事だった兵士が答える。
「ほぼ制圧した。あとは残党を撤退させるか、皆殺しにするかで、木星での戦いは終わる」
私はそれを聞いて、ホッとした。
今日で木星は、地球軍の勝利となったのだ。
あとは自分の仕事をするだけだと、私は思った。
読者の皆様には感謝しかありません!!




