第65話 アイヴィーのいない間に‥‥‥。
だんだん普通の戦争物っぽくなってきました。
第65話 アイヴィーのいない間に‥‥‥。
私が目を覚ましたのは、眠りについてから三日後のことだった。
三日も寝てたのか!
私はとりあえず、起きてシュシュを探した。
彼女は今、レッドクルス号にはいるのだろうか?
どうも一度、この艦はまた、前線に行ったらしい。
運ばれてきた負傷兵たちが増えている。
私はすぐに、手当てに加わった。
シュシュが私のところへ来る。
この艦にいたのね。
シュシュは心配そうな顔で、私に話しかけてきた。
「先輩、起きたんですね。具合はどうですか?」
「ああ、大丈夫よ。私も仕事に戻るわ」
「先輩は三日も眠っていたんですよ?」
「うん、分かってる。だから人手がいるでしょ?」
「そうですけど‥‥‥」
「私が起きたのに、仕事に復帰できないようなタマに見える?」
「先輩にタマは付いてません」
「タマって、肝っ玉のことよ。肝臓よ!」
「ああ、肝臓ですか」
調子が狂う。
でも、こういうやり取りが、なんだか新鮮に思えた。
「それで、また戦闘があったのね?」
「ええ。グラデュアル軍が高射砲を撃ってきて、それをまともに食らった兵隊さんが、多数運ばれてきたんです。そのうちの何人かは手足を吹き飛ばされてました」
ゴア描写みたいになってきたな。
でも私は、たくさん運ばれてきている負傷兵たちを見ても、平気な顔になっていた。
もう、こういうのに慣れてきたのか、私がもうすでに狂ったのかは分からないが。
戦闘はいかにも昔風に行われているんだなと、逆に感心してしまった。
高射砲なんて、今の戦争には使わなくなったと思っていたが。
それでも、戦場では効き目があるようだ。
こんな辺境の植民惑星では、戦い方がどんどん古臭くなっていってるようだ。
それでも、こちらの被害は甚大だ。
戦いは一進一退を繰り返している。
敵をナメてたから、こうなってしまったのだなと、私は思った。
それでも木星を落とすのは時間の問題だ。
援軍が到着すれば、形勢逆転になるのは間違いないのだから。
私は負傷兵たちをベッドへ運んだ。
動脈が切れて、出血している患者もいた。
輸血しないと助からない。
私はすぐに、輸血の準備をした。
シュシュが私の手伝いに来た。
「先輩、輸血用の血液製剤です!」
それを受け取った私は、すぐに患者の腕に針を刺す。
血が患者の腕から体内へ運ばれていく。
その間に止血鉗子で動脈からの出血を押さえた。
これは本来、医師が行うものだが、私は知識があったので、それを思い出しながら処置する。
「シュシュ、ここは私が診るから、あなたは他の患者を!」
「はい、先輩」
シュシュは他の運ばれてきた負傷兵の応急処置に回った。
処置が間に合う患者もいれば、すでに処置不能の患者もいる。
助かりそうな患者だけを優先するのは、どこでも同じだろう。
そういう残酷な判断も、私たちナースには求められるのだ。
そうしないと病院はパンクしてしまうからである。
これがナースの仕事なのである。
そしてここは、戦場なのである。
助かる者より、死んでいく者の方が、圧倒的に多かったが、死体袋もモルグもそんなに用意されているわけではない。
死んだらもう、終わりなのだ。
亡くなった患者は、残念だが宇宙葬になるか、前線に戻す他は無かった。
残酷だろうが、これも戦場の一部なのだ。
今、目の前にいる患者も、急に容体が急変するかもしれない。
そうなってみないと分からないものだが、助かる見込みがあるのであれば、私は付きっきりで看病することにした。
たとえ一人であっても、救える命は救う。
それがナースなのだから。
読者の皆様には感謝しかありません!!




