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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第64話  傷と感情

今日はなんだか雨ですね。

第64話  傷と感情


 私は肩に負った傷を、ゲイルさんに治癒能力で治してもらった。

雑菌などに感染してなければいいのだけれど。

少し安静にしておくようにと、看護師長さんに言われたので、私はそうさせてもらうことにした。

私が治療を受けている間、レッドクルス号はもう、前線を離れているところだった。

木星にある地球軍基地へ向かってるらしい。

私たちはそこへ向かうのだ。

それにしても、戦場では、私たちはそんなに負傷兵たちを回収できなかったのか、それが知りたかった。

シュシュがそれに答えてくれた。

「アイヴィー先輩、先輩が手傷を負ってからも、海兵隊の人たちが駆けつけてくれて、敵の残党を狩ってくれましたよ。だからもう、そのあとは他の皆も前線での負傷者はかなり回収できてます。安心して休んでくださいね」


 シュシュの言葉が私を慰めてくれる。

 私も迂闊だったし、戦いよりも負傷兵の確保が私たちの任務だ。

 そう言うのなら、それで良しとしよう。


「傷も治ったし、私はバイタルに入りたいわ」

 私の言葉に、ゲイルさんもシュシュも反対した。

「いやいや、先輩!安静にしてろって言われたばかりじゃないですか!休みましょうよ!」

「でも、お言葉に甘えたいけど、私は本来、治すことが目的で、この艦に乗艦してるわけだし‥‥‥」


 私のわがままかな?


「先輩、あとは私たちに任せてください!私が先輩の失態の尻ぬぐいしますから」

 シュシュは悪気はないのであろうけど、言動がキツいな。

 尻ぬぐいでスイマセン‥‥‥。


 私は、臨時のためのベッドに寝かされた。

こんなところで休んでいられない気持ちが、私の感情を襲う。

真面目なところが裏目に出たようだ。

それでも敵が攻撃して来れば、寝てなんかいられないのだけれど、そんな気配は無かった。

まぁ、それでいいのなら、ゆっくりしておくか。

木星にまで来て、こんなんじゃ、先が思いやられる。

ここは病院船の中なのだ。

ナースが寝てるなんて、シャレにもならないではないか?

上を見ると、真っ白い天井がそこにはあった。

見知らぬ天井を見て、思うことはあった。

この部屋の外では、血があちらこちらに散らばって、どこもかしこも白い壁や床が、赤く染まっているのだろう。

血は怖くない。

でも、他人の痛みは、今回の件で分かった。

これが負傷するということなのだ。

その激痛は、想像してたのとまるで違っていた。

痛みには耐えることが出来たとしても、出血によるショックは免れない。

それはもがいても耐えられないほどの絶望感へと変わっていくのだ。

それが身に染みて分かることだった。

兵士たちは、こんなのにいつも耐えていたのか。

知らない方が良かったが、それでも知ってしまったのだから、始末に負えない。

私はそれでも傷口に清潔な手で触れなければならないのだ。

死なせないためにも……。


 次第に私は眠気を感じた。

意識が薄れるのと同時に、体に力が入らなくなっていく。

これは眠いからなのか、意識を失っていくからなのか、分からなかった。

私は傷を負って、感情が薄れてきてるのだ。

まだ戦いは続いているというのに。

それでも私の意識は、どんどん失っていった。


 これは、あとでドロシーにでも知れたら、どやされるだろうな。


 そう思いながらも思考は消え、私はフッと電気が消えるような感じで、眠りについた。



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