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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
60/80

第60話  猛吹雪の中で

コーヒーを6杯も飲んでしまいました。

第60話  猛吹雪の中で


 レッドクルス号が木星に到達する前に、木星のグラデュアル軍の基地も市街地も、地球軍による大規模な爆撃を行ったのは耳にしたが、効果はそれほどなかったようだ。

軍需工場はかなり破壊できたが、市街地への空襲は、壊されても軍とは関係ない施設ばかりなので、グラデュアル軍に怒りを与えただけなのかもしれなかった。

でも、そんなことは知らない。

もともと奇襲をかけてきたのはグラデュアル軍の方だ。

だから、逆に地球側が相手をどう攻撃しても、許されるというのがこちらの言い分だ。

戦争を始めた方が責任を取るのは、当たり前だ。

それを分からせてあげるのが、こっちの使命でもある。


 それにしても、私たちナースが雪原へ下りるのは、もうちょっと後だろう。

グラデュアル軍が体制を整えるには時間が掛かるはずだ。

まぁ、体制を完全に整える前に攻撃を優先させていれば、軍備が雑なままなので、先制攻撃をされても地球軍側が有利となる。

戦いは、万全を尽くしてからやるものだ。


 レッドクルス号を下りた私たちは、雪原に足を乗せる。

雪の積もり方が尋常ではなかった。

雪原が地平線の向こうまでずっと続いている。

こういう雪景色は初めて見る。

「アイヴィー先輩、すごく綺麗な景色ですね!地球では見られなかった景色ですよ」

 シュシュがはしゃぐ。

 この銀世界が戦争で血に染まることは、全然意識してないらしい。

 ここで戦いが始まるのよ?

 イチゴ味のフラッペのようになるとイメージすると、分かりやすいだろう。

「シュシュ、そんなにはしゃがないで!」

 私は叱りつけるわけでも、文句をいうワケでも無く、ただそう言った。

「先輩、この景色をフォトに納めて、弟に送ってあげたいです!」

「じゃあ、そうしたら?」

「はい!」

 私は呆れ顔をしたが、すぐにその顔を振り向かせ、シュシュに見せないようにする。

 でも確かに、この銀世界は滅多に見られるモンじゃない。

 貴重な光景というのは本当だ。

 木星がテラフォーミングで、このように化けるとは思ってもみなかった。

 少なくとも、900年前には考えられなかったことだ。

 私も何だか、はしゃぎたくなった。

 そう思うたびに、私は年を考えろと自分に言い聞かせ、思いとどまっていた。

 そう、ここはもう戦争の真っただ中なのだ。

 敵がたくさんいると思って良い。

 そう考えるのが妥当だ。

 私はレッドクルス号の方を見る。

 ここはテラフォーミングされているとはいえ、木星なのだ。

 前線も近い。

 準備満タンでグラデュアル軍を迎え撃つのだ。

 そして私たちナースは、軍隊の兵士たちを助けるのだ。

 それが役目なのだから。


 私とシュシュが、レッドクルス号に戻ろうとしていた時、天候が急に悪化した。

こんなに早く、雲が空を覆うのは初めてだ。

木星ではこれが普通なのか?

雲が集まってくると、突然吹雪いた。

雪が大量に降ってくるではないか。

これは大荒れしそうだ。

私とシュシュは、早めにレッドクルス号に乗った。

外は銀世界から、猛吹雪へと変わった。

この天気の変わりようはすごい。

外にいれば、雪に埋まってしまってるだろう。

それほどの大雪だった。

シールドを張ったレッドクルス号も、次第に雪に埋まっていく。

こんな中で戦争するのか。

私は逆に感心してしまった。

戦火も埋まるほど降り注ぐ雪。

そんな中で、現地に先に派遣されていた地球軍の軍艦勢とレッドクルス号は合流した。

ようやく戦いが始まる。

マイナス20度の極寒の地で、私たちの戦いは、ゴングが鳴るのだ。

それに備えて、私たちには防寒服と厚手の手袋、それに軍靴が支給された。

それを身に着ける頃には、レッドクルス号の外ではドンパチが始まるだろう。

こんなところで死ぬわけにはいかない。

私は生きて、地球へ戻るのだ。

改めて、決意を胸に秘める私だった。



読者の皆様に幸あれ!!

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