第54話 ローリ・カルテット研修医
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第54話 ローリ・カルテット研修医
長かった休暇も終わり、私たちナースは現在、勉強会を開いて、一生懸命ノートパソコンにメモを取っていた。
軍支給の小型ノートパソコンだ。
現代の電子機器は素晴らしい。
過去であったならSF的な機械に思われるだろう。
それでも、実際に開発されたノートパソコンは、今はもうスマートフォンよりもサイズが小さかった。
それゆえ、目を悪くする者もたくさんいたが、現代では目の手術を受ければ、視力はすぐに回復するのだ。
便利な世の中になったもんだ。
宇宙に飛び出した人類に敬礼をしたい。
そんな技術が無ければ、今ごろ地球はグラデュアル軍に乗っ取られていただろう。
この技術があればこその戦争なのだ。
今の軍備が無いと、私たちはあっという間に占領されていたことだけは確かだ。
それでも戦死者は出るが。
そこで私たちナースは活躍するのだ。
この勉強会も、大切な時間であった。
次に向かうのは木星だ。
まずは木星についての勉強をしていく。
そのあとに木星を乗っ取っているグラデュアル軍の装備や保有戦艦の数、それに歩兵の数を知っておく。
グラデュアル軍はしたたかだ。
連中の戦争の仕方は単純なのである。
攻撃あるのみ。
それだけだ。
戦略や戦術も確かにあるが、私たち地球が、戦争前にニッケルの輸出をしていたから、惑星グラデュアルは栄えただけであって、輸出を止める、すなわち経済制裁をすれば、相手側は、軍備を縮小させるしか無いのだ。
それゆえ、グラデュアル軍はこれから消耗戦へと突入していくはずなのだ。
そこへ地球軍が、一斉攻撃をすれば、グラデュアル軍は落ちる。
本当に単純なことなのだ。
戦況は土星あたりから、逆転してしまうだろう。
それを待つだけだ。
その前に、グラデュアル軍の手に落ちた木星や土星に上陸しなくてはならない。
大量の兵が投入されるだろう。
戦死者の統計も、計算上で出るはずだ。
私たちレッドクルス号に、どれだけ運ばれるのかも。
そういった統計学まで、私たちは勉強する。
学ばなければ、対処も出来ないし、正確な戦争状況も把握できない。
戦争とはそういうものだ。
勉強会には、私の妹のマリアと、さほど変わらないような少女も出席していた。
あれは誰だろう?
私はそっちに興味が行った。
隣の席のシュシュに訊いてみた。
「ねぇ、シュシュ。あの少女は誰なのか、分かる?」
「ああ、飛び級した天才少女、ローリ・カルテットですよ。軍の研修医です」
「飛び級?そんなに賢い子なの?」
「そうですよ。レッドクルス号に乗るんですよ」
「よく知ってるわね。あの海兵隊の人にでも聞いたの?」
「ええ、まぁ‥‥‥」
「レッドクルス号内で、恋愛なんて‥‥‥」
「そこまでの関係じゃないですよ。私はいずれ地球に戻って、それから結婚とか考えようと‥‥‥」
「そうなの?」
「はい」
私はため息をついた。
そのため息は、どんな大声よりも会場に響いた。
おっと、いけない。
集中集中!
私はまた、ノートパソコンにメモを打ち込んだ。
しかし研修医をレッドクルス号に乗せるのか。
この戦争の状況は、こういう勉強会でもいまいち理解が出来ない。
すべては命懸けでないと、戦いに勝つのは難しいんじゃないだろうか?
私は犠牲になるわけにはいかない。
必ず勝って、妹のところに帰るつもりなのだから。
戦って勝つ。
シンプルで良いじゃないか!
読者の皆様に幸あれ!!




