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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第52話  アンドロイドとの出会い

三谷幸喜脚本の「黒井戸殺し」をDVDで観てます。

第52話  アンドロイドとの出会い


 私たちは久々に、レッドクルス号に召集が掛かって、集まった。

一人、薬剤師の人を乗せるので、紹介したいというのだ。

何でもサンジェルマン艦長が搭乗を決めたとか。

武装病院船であるレッドクルス号なので、必要な人材なのだろう。

しかし、私たちに紹介されたのは、人間でなく、ビアンカ・ラッセルという女性型のアンドロイドであった。

「初めまして。ビアンカ・ラッセルです。この航海に私と共にする皆さんに、挨拶を」

 どう反応してよいのやら。

私は手を挙げた。

「あの、ビアンカさんは薬剤師だとか‥‥‥」

「ええ。私は薬剤師として皆さんをサポートさせていただくことになるのです」

 見た目が普通の人間の女性のようだが、白衣を着ているので、アンドロイドのようには見えなかった。

「私は自立型アンドロイドで、戦場では盾にもなるので、私を頼っても良いですよ」

 

 それは頼もしい。

 でも、薬剤師なんでしょ?


「私の他に、数百種類の薬を一緒にレッドクルス号に載せます。管理は任せてください」

 ビアンカは、自信満々で言った。


 ホムンクルスの他に、AIロボットの軍医、その上アンドロイドの薬剤師か‥‥‥。

 レッドクルス号がイロモノになっていく。

 ま、いいけどね。

 私は私の仕事をやるだけだから。


 ドロシーが、そこへ現れた。

「それでは、ナースの皆、解散!各自、休暇に戻れ。いずれ戦場に戻ることにはなるから、今のうちに、命がある大切さを知りながら、休暇を楽しめ。以上!」


 私たちはその場で解散した。

たったアレだけのことで、全員召集をかけたのか。

レッドクルス号が出発する時で良かったんじゃないだろうかとは思ったが、休暇を消化する意味では、まぁ、良い時間潰しにはなったかな?

私もその場から去ろうとした。

その時、私はドロシーに名指しで呼ばれた。

「アイヴィー・クリステル・ボルチモア一等兵曹」

 一瞬、私のことだと分からなかった。

でも、ここでスルーしたら、無視したとか言われそうなので、私は足を止める。

振り向くと、ドロシーが私のところへやって来た。


 何だろう?


「アイヴィー・クリステル・ボルチモア一等兵曹、ちょっといいか?」

「はい?」

「今日は少し、私に付き合ってくれないか?」

「え?」

 意外なことを言う。

私に何を付き合わせるつもりなのか?

考えても始まらないので、私は返事をした。

「はい。あの‥‥‥」

「ちょっと出掛けたいんだが、一緒について来てほしい」

「どこへ行くんですか?」

「それは、おいおい話す」


 私はドロシーと、どこかへ出掛けることになった。


*        *        *


 鉄道に揺られながら、私とドロシーは、普段着で一緒に座っていた。

ドロシーが私に話しかける。

「実は私は、このコロニーの出身なんだ」

「え、そうなんですか?」

「そうだよ。言ってなかったか?」

「記憶にありません」

「そうか。実家がこのコロニーにあってな。そこへ向かってる」

「え、軍医長のご実家に?」

「ああ。一人だと帰り辛くてな」

「どうしてですか?」

 私は尋ねた。

 私を同行させたのは、どういうことだ?

「うむ、私の体は、見れば分かるだろうが、利き手と両足を失くして、足だけ義足を付けているだろ?それ以外はもう、見た目通りだ」

「SGSにかかったからですよね?」

「そうだ。この体を家族に見せるのは、これが初めてなんだ。私は家族の絶望感が辛い。いや、たぶん私の早とちりかもしれないが、私にとってもそれは勇気のいることなんだ。だから一人で実家に顔を出すのに、誰かについて来てほしかったんだ。私のわがままだよ」

「そうなんですか。でも、どうして私なんですか?」

「お前は私に噛みついてきたことがあったろ?そんな奴は初めてだ。だから、こいつは肝が据わっているなと思ったんだ。すまなかったな、ついて来させて」

「そういう事情があるのなら、私は構いませんよ」

「そう言ってくれると私も助かる」


 鉄道は、のどかな田園地帯の真ん中にある駅で、停車した。

「ここで下りる」

 ドロシーは駅のホームに下りた。

私もそれに続いた。


 何だか緊張してきた。


 ドロシーの家族に会うのだ。


 私は横に座っていれば良いのか?



読者の皆様には感謝しかありません!!

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