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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第51話  食事への招待での出来事

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第51話  食事への招待での出来事


 ゲイルさんをはじめとする、私とシュシュの三人が、助けた女の子の両親から食事の招待を受けた。

このコロニーでの、初の会食となる。

私やシュシュは、ほとんど何もしていないのだが、というより、ナースとして当たり前のことをしただけなのであって、そこまで感謝されるべきことではなかったが、相手の好意を無視するわけにもいかず、私たち三人は、招待に応じて食事に呼ばれた。


 その人たちの家で、夕食に魚のパイや、チップスが出てくる。

私とシュシュは、食事を楽しんだ。

ゲイルさんも食事に手を付ける。

「私たちは現在、グラデュアル軍と戦うための武装病院宇宙船のレッドクルス号に乗っているんです。今はまだ、次の惑星には行ってないので、このコロニーでしばらく待機しているんですが‥‥‥」

 ゲイルさんは女の子の両親に説明する。

「そうなんですか。あのグラデュアル軍と戦う兵士たちのお世話をされているんですね」

「お世話というよりも負傷兵たちのケアがメインですね」

「やはり、たくさんの人が戦場に殉じているのですね」

「そうですね。敵も一切引かないですから、退却無しに攻撃してきますよ」

「危険では?」

「私たちナースは、後方支援という形で、戦場へ行きますから。それでも危険であることは確かかもしれません。私は平気ですが」

「平気なんですか?」

「はい。私はホムンクルスなので、ちょっとやそっとの爆弾や光銃では死にません。頑丈に造られているんです」

 ゲイルさんがそう言うと、何だかその場の空気が変わった。

それを感じたのは、ゲイルさんもシュシュも同じだった。

「あなたはホムンクルスなの?あの伝説の地球のモンスターの?」


 モンスター?

 私はその反応に、少し驚いた。

 地球の伝説として、ホムンクルスはこのコロニーに伝わっているのか?


「私はずっと前に造られた、人造人間です。別にモンスターでは‥‥‥」

 ゲイルさんはそう言ったが、それでも相手の反応は悪かったようだ。

「モンスターじゃなかったら、何なの?人造人間って、人じゃないんでしょ?」

「確かに普通の人ではありませんが‥‥‥」

 気まずい雰囲気が充満した。


 ホムンクルスは伝説の化け物とでも言うのか?

 アンドロイドやAIロボットは普通にいるのに?


 何だか食事を楽しむ雰囲気ではなくなったため、私たちはすぐにその家から出て、軍港に戻ることにした。

何だかなぁ~‥‥‥。


 私には分からなかったが、ここでは未知の存在は奇妙、不思議に思われるのかと思った。

というより、あれはホムンクルスに対する差別や偏見の目だった。

それを想いながら、私はゲイルさんやシュシュと帰りを共にした。

「ゲイルさん‥‥‥」

「平気よ。誰が悪いのでもない。こういう運命なのよ」

「でも‥‥‥」

「人の痛みや苦しみが分からないんですもの。治癒能力はあるけど、それだけ。気にしてもしょうがないわ」

「ゲイルさん‥‥‥」

「アイヴィーさん、心配してくれるのは嬉しいわ。でも私は今までも、そしてこれからもずっとホムンクルスなのだから、いいのよ」

「そんな‥‥‥」

「あなたたちよりも優れてることも無いんだし、気にしないわ」

 私は黙ってしまった。

シュシュも同じだ。

ここで下手なことを言っても、火に油かもしれない。

でも納得のいく言葉が私には出てこない。

出てきたとしても、それを口にできる声は出なかった。

きっと、それで良いのだろう。

私に慰められることは出来ないし、それを望んでいるゲイルさんではないだろう。

ただ、このコロニーに人の優しさはあるのかと、思い悩む羽目になったことだけは確かだった。

私たちは何と戦っているのだろう?

それすら分からないでいた。

休暇が長引けば、それだけ悩む時間も増えるかもしれない。

私は早く仕事に戻りたくなってしまった。

悩む時間はいらない。

いるのはナースとしての本分を果たすだけなのだから。


 帰路につきながら、そう考えてしまう私だった。



読者の皆様に幸あれ!!

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