第49話 湖でのひと時…
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第49話 湖でのひと時…
私たちナースは、研修が終わると皆で街へ出て、水着を買いに行った。
コロニーの中には湖があるらしく、そこで海水浴ならぬ、湖水浴をしようというのだ。
私たちはモールに行き、水着売り場でいろいろと揃える。
水着は特に何でも良いらしい。
私はピンクのビキニを買った。
割と良いデザインであって、健康的なスタイルを表現できるような水着だった。
シュシュはけっこう大胆な水着を選ぶ。
露出多めと言ったところか。
「シュシュ、そんな水着買って、恥ずかしくないの?」
つい私は、シュシュにツッコんだ。
「青のつなぎだから、別にそんなに大胆ってことでもないと思いまして‥‥‥」
それはそうかもしれないけれど。
「けっこう思い切ってるのね」
「そうですか?」
シュシュには自覚がないようだ。
まぁ、いいけど。
シュシュの話だし。
「それより、海兵隊の方々も湖に来るんでしょうか?」
「さぁ‥‥‥」
「一緒に遊びたいです」
「あのロイって海兵隊の人の事?」
シュシュは苦笑いした。
図星か。
「先輩も誰かとお付き合いされてはどうですか?」
「え?」
私に振るのか。
「私は従軍ナースとして、召集でここに来たのよ。レッドクルス号に乗るのだってそう。だから、私には仕事が一番」
「へー。つまらないですよ、それ」
うるさいなー。
人の事でしょ?
「まぁ、あなたが男性とお付き合いしても、私は応援も否定もしない。自分のことだって疎いんだし」
「先輩はもっと、気を抜いたほうが良いですよ」
ほっとけ!
買い物が済むと、私たちは翌日の湖水浴に備えた。
* * *
次の日は晴天だった。
天気も空気を読むらしい。
まぁ、空気を読むから天気とも言うが。
私たちは皆で、湖にやって来た。
湖には、ほとんど着替えるところは無かったが、湖水浴場として着替えるところが、別にあった。
そこは砂浜になっており、まるで海水浴場だった。
コロニーの人もチラホラいた。
それでも私たちナースの貸し切りに近い状態であった。
大人数で、湖に入り、キャッキャと遊ぶ。
つかの間のひと時だった。
私も年甲斐もなくはしゃいだ。
こういう日がずっと続けば良いのにと思った。
ゲイルさんは着替えないので、湖には入らなかった。
こういう時、ホムンクルスのゲイルさんは、蚊帳の外みたいで、気の毒だったが。
そうこうしているうちに、海兵隊の人たちもやって来て、私たちに混ざる。
ロイがシュシュのところに来ていた。
あの二人、このコロニーにいる間に、一回は求め合うだろうと思った。
シュシュはあれで、けっこう純粋なのだが、そのせいで、コロッと男に騙されそうだ。
私が守ってやらなくちゃと思うのは、余計なお節介だろうか?
私のところへは、クリスが来た。
さすがに水着でメタボ腹は隠せない。
「クリスさん」
「やぁ、アイヴィーさん」
モテなさそうな男が、私のことを気に入ったのか、お近づきになりたいようだった。
私はこの人と恋愛する気はない。
でも、私の上官だ。
足蹴には出来ない。
ちょっと困ったが、クリスの優しそうな目が、私には気に入らなかった。
優しそうな男の方が、下心があるのだと思った。
だいたい、女は皆、恋愛脳だと思う方がおかしい。
女だって、恋愛や結婚よりも仕事を優先する人もいるのだ。
それが私だ。
こんな休日に、気を緩めない私も少し、リラックスすれば良いのだが、それが出来ないのだ。
明日になるか、数か月先になるかは分からないが、再びレッドクルス号に乗って、前線に行くのだ。
私はそっちの方が気になった。
それでもクリスは、私に話しかけてきた。
「君はいつも、気が張ってるね」
「え、そうですか?」
それは自分が一番分かっているが、あえてトボけてみせる。
「そうだよ。オンとオフは使い分けなきゃ。もっと楽しんで!」
見透かされているようで、少しイラッとした。
「私は私で楽しんでますから」
「そう?ならいいけど」
余計な心配をありがとう。
でも私は、あなたに興味はないので、そこんとこ、よろしく。
晴天の光で、湖はキラキラと光っていた。
犬の散歩に行ってきます。




