第46話 都市へ
「インデペンデンス・デイ」が地上波で放送されるみたいですね。
第46話 都市へ
地球軍からの郵便船が、スーパーコロニー00へとやって来た。
郵便船と言っても軍艦だ。
あちこちに被弾した跡がある。
戦火の中を、通り抜けてきた様子であった。
しばらく停泊するらしいので、地球に何か、送る物などがあれば、安く手配するというのだった。
私は地球にいる妹のマリアに、ケーキでも送ろうと、ケーキを買いに、シュシュを連れて、一緒にコロニーの鉄道に乗った。
大きな都市へ向かうためだ。
別段、ケーキなどはホテルの近くの街でも買えたのだが、都市に出たくなって、鉄道を利用して都市へ向かった。
シュシュは楽しそうに、鉄道に乗った。
「アイヴィー先輩、ここの鉄道は旧式の電気で動く電車で、何か楽しいですね」
「まぁね。地球の鉄道はチューブの中を走る、高速鉄道だからね」
「アレに比べると、こっちの鉄道の方が粋がありますよね!」
「うん。でもあんまりはしゃぎ過ぎないようにね。おのぼりさんみたいだから」
私は静かに座席に座っていたが、シュシュは空いてる座席に座ろうともせずに、私の前で立っていた。
列車が揺れるのが面白いのだろう。
地球の鉄道は、速いし、静かだし、揺れなんてないのだ。
それに比べれば、こっちの鉄道は、カタンカタンと音もするし、前後左右に揺れるし、座った方が落ち着いた。
コロニーには、近代的に発達しているところと、田舎のような場所もあった。
鉄道は、そういうのどかな場所も通った。
トンネルの向こうには、大きな湖もある。
その先には大きな都市があった。
あれがこのコロニー最大の都市、クロノポリスだった。
下はダウンタウンだったが、上の方は発展している。
このコロニーでも、貧富の差があった。
ダウンタウンには職を持たない人たちが暮らしているが、クロノポリスでは、美しい都市が広がっているのが分かった。
都市部に着くと、列車を下りて、街へ向かう。
「先輩、ここは地球の都市に似てますね」
シュシュは不思議そうな顔で言った。
確かに似ている。
シュシュはあちこちを見回した。
「まるで地球に帰ったみたいです」
「そうね。地球人も住んでるだろうからね」
「それだけじゃありませんよ。このコロニーで生まれた人たちもたくさんいるでしょうから、異文化交流ですよ!」
「異文化交流‥‥‥」
たまに率直なことを言い出すな、この子。
「地球に似せて造られたんでしょうよ」
「そうですね。このコロニーを造ったのは地球人だろうから。長い年月を経て」
「何世代にも渡ってね」
「はい!」
私たちは大きなモールでケーキショップを目指した。
マリアにケーキを送る理由は、もうすぐ地球の暦では、マリアの誕生日が近いからだ。
マリアの好きな、チョコレートケーキを送ってあげようと思う。
たぶん喜ぶだろう。
マリアはいい子だから。
もう一つ、送る理由としては、私はケーキを送れるくらい、余裕をもって生きている、つまり前線に出ても、ちゃんと無事であることを伝えるためだ。
戦争はまだ終わらない。
だからこそ私は、妹に安心してもらうために、ケーキを送るのだ。
従軍ナースはきちんと給与も発生するので、私は使える時に使いたい。
ケーキも仰々しい物は選ばない。
シンプルだが強いインパクトのある物を選ぼうと思っていた。
どうせ、冷凍のケーキだ。
冷凍じゃないと運べないのは、今も昔も同じだろう。
ほとんどケーキというより、アイスケーキだ。
ケーキショップに着くと、私は迷わずチョコレートケーキを指さした。
「これを送りたいのですが‥‥‥」
店の人に言う。
女性店員が、ケーキを出した。
「いらっしゃいませ。これでよろしいんですね?」
「はい」
「あて先は?」
「地球です」
「では書類に住所と名前、いつまでに送ればいいかを記入してください」
「分かりました」
私は渡された書類に記入をし始める。
その間、シュシュは店内をキョロキョロと見回していた。
私は書類を書き終わると、店員に渡す。
「では、郵便船に間に合うように手配します。ありがとうございました」
やることが終わると、私はシュシュと店を出た。
「先輩、私も行きたいところがあるのですが‥‥‥」
シュシュが言ってくる。
「いいわよ。どこ?」
と、返事をする私。
「おもちゃ屋です」
シュシュは言った。
おもちゃ屋?
読者の皆様に幸あれ!!




