第4話 ナースとしての宣誓
今は法廷ミステリーを書いています。
第4話 ナースとしての宣誓
病院施設での研修から5日後、50名以上のナースがレッドクルス号に乗り込むことになった。
しかし先に火星へ赴いた、他の武装病院宇宙船のナースの数の半分にも満たない人員だった。
召集が来て乗り込むことになったナースたちは、准看護師扱いで、17歳前後の、まだ幼さが残る少女たちばかりであった。
私とシュシュなんかは軍人扱いなのだけれど。
月での研修は、かなり省略されたものになった。
戦場になっている火星では、野戦病院などの施設での負傷兵たちの現状は、かなりひどいことになっているようだった。
私たちは、ケアカンファレンスを通して、お互いに知識や処置などの医療サービスに関しての協議を連日、行っていた。
そして、月の病院施設では、広間にナースたちが全員集められた。
何が行われるのかは知らされなかった。
「アイヴィー先輩、私たちの他にたったこれだけのナースしか集められないなんて‥‥‥」
不安そうに言うシュシュ。
「そうね。それにここに来た時よりも、もっと緊張感があって、ピリピリしてるわね」
私も不安になってきたが、そんなことを話せる空気じゃなかった。
マイクを前に、看護師長さんが立った。
「全員静かに!」
看護師長さんの声も、緊張したものだった。
「皆さんはナースとしてこれから従軍します。しかし、今地球に残っている人材も医療器具も、ほとんどが火星に出払っています。火星ではグラデュアル軍は進撃を強めているそうで、多くの地球軍兵士たちがその犠牲となっているのです。野戦病院では前線のナースたちが負傷兵たちを守り、最善の処置をされています。それをグラデュアル軍に突破されたのは、つい昨日のことです。私たちはなけなしの戦力で、我がF部隊、レッドクルス号に乗って、火星へ出発します。最後の病院船、レッドクルス号は、あと一週間後にはこの月を離れることになるので気を引き締めてください。これより過酷な戦場へと出陣します。皆、ここで宣誓してください」
宣誓?
私は背筋が凍った。
看護師長さんは続ける。
「皆さん、何があろうとも、決して逃げずに戦場で多くの兵士たちを救いましょう。これは絶対的な命令です。宣誓してください。私のあとに続いて言ってください」
何を言われるのか、心が気が気ではなかった。
「私たちは逃げません」
それを言えというの?
「私たちは逃げません!」
全員が看護師長さんのセリフのあとに続いた。
「私たちは恐れません」
「私たちは恐れません!」
「私たちは何があろうとも、絶対に一人でも多くの兵士を助けます」
「私たちは何があろうとも、絶対に一人でも多くの兵士を助けます!」
これが従軍ナースの宣誓なのだろうか?
そう思いながらも、宣誓を続ける私は、地球に残してきた妹マリアのことを思い出していた。
出発まであと一週間。
妹にメールでも送るか。
この先、私がどうなるか分からないんだし。
気が付けば、宣誓は終わっていた。
私は軍のナースとして従軍するのだと、改めて思うのだった。
読者の皆様に幸あれ!!




