第36話 アイヴィーの処分
最近キツイです‥‥‥。
第36話 アイヴィーの処分
シュシュは幸い、軽いケガで済んだ。
ゲイルさんが治癒能力で傷を治す。
「二人とも無事で良かったわ」
治療が終わると、ゲイルさんは笑顔で接してくれた。
私は礼を言う。
「本当にありがとうございました、ゲイルさん」
「いいのよ、このくらい」
ケガが治ったシュシュも、礼を言う。
「すみません、本当にありがとうございます」
「戦争をしているところに私たちはいるのよ。ケガすることくらいあるわ」
ゲイルさんは本当に良い先輩だ。
「それよりアイヴィーさん、呼び出しが出てるでしょ?」
「え、あ、はい」
私はドロシーに呼ばれたのだった。
「行ってきます」
「今から?」
「はい。今から行ってきます」
私は処置室を出ると、ドロシーの部屋へ行った。
* * *
ドロシーの部屋は、勲章やトロフィーがたくさん飾ってあった。
これ全部、ドロシーの物?
まるで英雄のようだ。
彼女にこんな経歴があったなんて。
伊達に軍医長をしてるワケでは無いようだ。
そんな軍医長だが、いつも酒をあおっているのは、やはり現場に出られなくなったからだろう。
利き手の右手や両足を、SGSで失ったのがきっかけで、ヤケになっているのだから、しょうがない。
部屋にいたドロシーは、酒のビンを机に置くと、失くした右の腕を私の方へ向けた。
「アイヴィー・クリステル・ボルチモア一等兵曹、なぜ呼び出したか分かるか?」
「はい。さっきの現場で私は仲間のシュシュを助けに行って、そのせいで命令違反をしてしまいました」
「そうだ。だがお前の、その勇気は称賛に値する勇敢な行為だ。それは認めよう」
「は、はい」
「なので、命令違反のことは軍法会議にはかけない。第一、私にそこまでの権限もないしな」
「はぁ‥‥‥」
「ただ、私はお前が心配だ。危険をかえりみずってのは、お前たちナースでも兵士でも、やるもんじゃない」
「でも、私の後輩があの時、泥に足を取られたのは事実です。とっさに助けなきゃって思ったんです」
「友達を助けるのが、従軍してきたナースの使命ではないはずだろ?そんなのは、マニュアルには無い」
「で、でも‥‥‥」
「お前の気持ちは分かる。仲間を大事に。それは確かに大切なことだ。しかしナースよりも、戦場で戦果を挙げることの方が大事なのだ。今回はレッドクルス号のコスモハープーンで敵を足止めさせられたが、あれはサンジェルマン艦長の判断だ。艦長にはキチンと礼を言っておけ。それだけだ」
「それだけ?」
「ああ。言ったろう?私にはお前を命令違反で正式に咎める権限は無いのだと」
「はい‥‥‥」
「行って良し。次からは気をつけるんだぞ?」
「分かりました」
「これより、レッドクルス号はまた、基地に戻る。ただ、この戦場において、ナース同士の馴れ合いは禁物だぞ?いいな?」
部屋を出ようと背中を向けた私に、ドロシーは言う。
私は振り向いて言った。
「はい」
そして私は、ドロシーの部屋から出た。
なんだ。
きっと、重い罪に問われるかと思った。
命令違反したのに、あれだけなんて、ドロシーはひょっとして良い人?
私は、シュシュのところへ戻った。
それにしても、あの前線はなぜ、兵士たちを見つけることが出来なかったのだろう?
私にはそっちの方が疑問に思った。
読者の皆様に幸あれ!!




