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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
35/80

第35話  泥の中の前線

人死にを書くのは気が滅入ります。

第35話  泥の中の前線


 レッドクルス号は、雨が上がると前線へと赴いた。

今度の前線は、この間行った場所よりもさらに東の方だった。

ミリオンダラー7Gが先に、前線へと出向いているはずだ。

地上部隊も多く投入している。

これにより、グラデュアル軍はかなり後退しているみたいだ。

戦況は天気によっても変わるものだし。

地球軍の攻撃部隊が、空爆を行ったのが効いて、前線での歩兵隊が前進するのは容易かったようだ。

しかし、レッドクルス号が着陸したところは、先日の大雨でぬかるみになっている場所だった。

火星の土が、こんなにドロドロになるなんて‥‥‥。

レッドクルス号の後部ハッチが開くと、地上はすごい泥沼になっているのが見えた。

ここに負傷者がいるのだろうか?

私たちナースたちも、軍靴を履いて地上に下り立った。

ここがついさっきまで戦場だったところなのか?

私たちは人を見つけることが出来なかった。

「アイヴィー先輩、ホントにここが前線だったんでしょうか?」

 シュシュが訊いてくる。

「レッドクルス号がここに着陸したってことは、ここが前線だったんでしょう」

「でも、人っ子一人いませんよ?」

「泥の中を探して。皆にも伝えて」

「はい!」

 シュシュは言う通りにした。

私も泥の中をくまなく探したが、誰も倒れている者を見つけることが出来ない。

スコップがいるな。

いっそ、ブルドーザーで、この泥をさらってみたい。

そう思っていると、遠くで轟音が聞こえた。

敵の空中戦艦が、四艦いた。

ここからは遠い。

でも、こちらはレッドクルス号とミリオンダラー7Gだけ。

分が悪かった。

遠くの敵戦艦が、砲撃を開始する。

「退避しろ!」

 レッドクルス号の後方ハッチから、ドロシーが叫んだ。

私たちナースは、その場をすぐに離れた。

敵のレーザー弾が、泥を巻き上げた。

「シュシュ、早くレッドクルス号の中へ!」

「はい!」

 私とシュシュは、レッドクルス号の中へと急いだ。

爆発が私たちの周りで起こる。

戦場だと、私は思った。

いや、実際にここは戦場なのだ。

前線である限り。

その時、シュシュは足を泥に取られて、身動きが取れなくなっていた。


 助けなきゃ!


 私はシュシュのところへ走る。

レッドクルス号の中から、ドロシーが私に叫んだ。

「おい、アイヴィー・クリステル・ボルチモア!そいつはもう置いていけ!早く戻るんだ!」

「いいえ、出来ません!」

 私は命令に逆らい、シュシュを立たせると、ぬかるみに泥を飛び散らせながら、一緒に走った。

その時、近くで起きた爆発で、シュシュが足を負傷した。

その場に倒れ込むシュシュ。

彼女は泥にまみれた。

しかし、足の負傷の方が深刻だった。

赤黒い血が、ジュクジュクと出ている。

これではレッドクルス号まで走れない。

私はシュシュを持ち上げ、背中に担ぐと、よろよろと一歩一歩歩いた。

そうこうしているうちに、レッドクルス号からコスモハープーンが一発、発射される。

レッドクルス号で一番強力な兵器だ。

私たちの頭の上を、ハープーンが飛んでいく。

そのまま大きな放物線を描くように、ハープーンは敵の方へと向かっていった。

着弾までおよそ7秒。

6,5,4,3,2,1‥‥‥。

遠くのグラデュアル軍空中戦艦群は、一隻が大破した。


 今だ!


 私はシュシュを担いだまま、レッドクルス号に戻った。


「お前、命令違反だぞ」

 ドロシーが私に言った。

「はい、分かってます」

 私はそう言うと、ケガをしたシュシュを奥へ運んだ。



読者の皆様に幸あれ!!

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