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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第27話  砂嵐の中

ガチで戦争物を書きたいです。

第27話  砂嵐の中


 前線ではまだ、あちこちに黒煙が上がっていた。

それを吹き飛ばすかのような風が吹いてくる。

火星では砂嵐がよく吹くらしい。

それまでに傷付いた兵士たちを、レッドクルス号に運び終わらなければならない。

しかし、負傷兵はけっこういる。

すでに半数以上の兵隊は、運び終えている。

とりあえず、乗せるだけでも相当の手間がかかった。

全員を乗せてあげたいが、生きているのか死んでいるのかを確認する必要があるのも確かだった。

死亡者は残念だけど、乗せるのは後回しだ。


 レッドクルス号から、全放送網が開かれた。

『レッドクルス号全諸君、砂嵐が迫っている。仕事を一度終えて、すぐにレッドクルス号に避難せよ!繰り返す‥‥‥』

 

 サンジェルマン艦長じきじきの放送だ。

 現場は騒然となったが、クリス衛生兵が、私たちを誘導した。

「ナースの皆、レッドクルス号の後方ハッチから、中へ入ってくれ。早く!」

 血だらけ、砂だらけになって、負傷兵たちを運ぶナースたちは、仕事を急いだ。

私もだ。

しかし、足元に転がっている兵士たちは、まだ生きているようだ。

転がってるという言い方は不謹慎だが、実際そうなのだ。

この場から離れると、この人たちが砂嵐に巻き込まれる。

私は板挟みになった。

そこへシュシュが来て、私の腕を引っ張った。

「先輩、危険ですよ!早く艦に戻って!」

 私は促されて、シュシュと一緒にハッチへ急ぐ。

遠くから轟音が聞こえた。

かなり遠くだが、砂嵐は秒速100キロで吹いてくるらしかった。

あっという間に赤い砂が、横にふぶいてくる。

私とシュシュは、ギリギリでレッドクルス号の中に避難した。

ハッチが閉まる前に、砂嵐が前線を包む。

私は砂嵐を目の当たりにした。

音を立てて、ハッチは閉まると同時に、レッドクルス号は、シールドを張る。


 ゴーゴーという音が鳴っている外は、一体どうなっているのだろう?


 私たちは、レッドクルス号の運搬用エレベーターを使って、患者をベッドへ運んだ。

ベッド数は375床だったかな?

手術が必要な負傷者は、手術室へ担架で運ぶ。

手術室は13部屋あったが、人手が少ないので、全部は機能してない。

まぁ、軍医長のドロシー・ヴァンンッシェと助手のグルガン・ダット軍医、それにドクター・アルファロックが、手術に当たっていた。


 私たちナースは、止血したり、傷口を消毒したり、本当に基本的なことをしていたが、こういった活動が、負傷兵を救うのだ。

痛み止めの注射を兵隊に打つ、シュシュの姿があった。

注射といってもこの時代の注射は、針をチョンと腕の皮膚につつくだけのものだ。

痛みなどは一切ない。

 

 意識の無い患者には、声をかける。

 私は、傷付いた兵士の一人に、声をかけ続けた。

「大丈夫ですか?返事をしてください」

 数回声をかけると、兵士はうめき声を上げた。

「大丈夫ですか?」

「は‥‥‥、はい」

 見ると、若い男性だった。

「俺は、生きてるのか?」

 まだ、意識がもうろうとしている様子だった。

「帰れるのか、俺は?」

 この兵士は、傷付いたことで里心が付いたようだ。

「帰って、母のステーキが食べたい‥‥‥」

「昔ならともかく、今はステーキなんてジャンクフードですよ?」

「いいんだ。健康に悪くても、食べたい‥‥‥」

「それなら早く手当てを受けて、ケガを治しましょう」

「分かった‥‥‥」

 私は、その人を空いてるベッドに寝かせた。

「ちゃんと治しましょうね」

「ああ」

 私は知っていた。

負傷兵でも、傷が治れば、再び前線に戻されるということを。

それでも、一人でも多く助けるのが、私の仕事なのだ。


 私は次の患者を運ぶために、負傷兵たちが集められている後部ハッチのところへ急いだ。



読者の皆様に幸あれ!!

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