第16話 突然の地球への帰還?
シドニー・ルメット監督の「オリエント急行殺人事件」DVDで観てます。古いけど面白い。
第16話 突然の地球への帰還?
翌日のことだった。
突然地球側から、帰還命令が出たのだ。
レッドクルス号は一度、地球へ帰還する。
私がドロシーのところへ、直接お詫びに行った時のことだった。
「お前のワビはもういい。しかし、これからレッドクルス号は地球に一度戻ることになった」
「えっ?」
* * *
ナースの間でも、騒然となった。
緑の少ない地球で、大規模な山火事が起きたというのだ。
消火チームが海から汲んできた大量の水を、火の回る山に散水して、火は一度消し止められたのだが、消防士1500人、民間人11200人が、大やけどで病院に運ばれた。しかし、医療関係者の数が足りないので、レッドクルス号の搭乗員のナースたちに出動要請が来たのだった。
これから私たちは、一度地球に戻る。
レッドクルス号の最初の初陣は、地球となった。
ナースたち50人と、私とシュシュは、レッドクルス号に乗り込む。
格納庫の扉が開き、地球が見える。
『本艦はこれより、地球へ向かう。全搭乗員はそのつもりで。以上!』
ミルコ・サンジェルマン艦長の放送が終わった。
軍隊では必要ないことは言わない。
ナースたちはそれぞれの部屋に行き、耐衝撃体勢を取った。
動き出すレッドクルス号。
向かうは地球。
月基地に停泊中のドーン・キャリアーQWが、このあともグラデュアル星人との戦いを続けることになるだろう。
私たちは、地球のかつて、南アメリカと呼ばれていた大陸に向かう。
大気圏を抜けてから、それは見えた。
緑に覆われた大地は今、赤黒い炎の残り火でくすんで見えた。
そこにも中型の基地があり、レッドクルス号はそこに着艦した。
私たちはナース服のまま、レッドクルス号を下りて、救助された人たちの手当てに向かう。
山火事によって大やけどをした人は、たくさんいた。
ここでも、山火事に立ち向かうという戦場をイメージする人は多いだろう。
病院はここから西へ20キロのところに、大きなのがある。
総合病院のようだ。
そこからもアンビュランス・カプセルで、被災者を運んでいたが、私たちレッドクルス号のナースは、この場でも治療は出来る。
私たちは煙に巻かれてナース服を汚しながら、救助された人たちを手当てしていた。
ドロシーがレッドクルス号の搭乗口から左手で合図して、患者を中へ連れてくるよう指示した。
「手術が必要な患者を先に運んで!」
この焦げ臭い中、助かりそうな人を優先するのは当たり前だった。
ナースからすれば、そういう命の取捨選択は、必ずしも納得いくものでは無かったのだが。
それでも私を含むナースたちは、比較的助かりそうもない重症患者は、その場に置き去りにするしかなかった。
これでも死者の数は少ない方だった。
こういった場では、感染症の蔓延が心配なので、出来るだけ患者の清潔を保つために、患者が着ている布切れを破り、そこにタオルに浸した消毒薬を当てて、感染症を防いだ。
私たちは宙に浮く担架を、レッドクルス号の中から出してきて、患者たちを乗せる。
シュシュも頑張って、ススだらけになりながら、患者をレッドクルス号に乗せる手伝いをしていた。
皆が一丸となって、この火事場の命をたくさん救う活動を行った。
レッドクルス号は、燃料の続く限り、20キロ離れた病院へと往復して、やけどの治療をしながら、救助活動に尽力した。
1974年版「オリエント急行殺人事件」。こういうミステリーを書きたいです。




